第2話 ただいまと言える場所


 田舎町の何処にでもある一軒家。

そこはいつも私を招き入れてくれる、優しく暖かい姉妹が居る。

私は部外者であるにも拘らず、彼女達は私を、本当の家族のように接してくれた。

実際は私にも家族は居る。

いや、居た、のほうがこの際正しいかもしれない。


 私の家族。

父母兄妹、そして私の何処にでもある普通の家族だった。

でも、その普通は時として一瞬で瓦解する。

それは、ひと夏の夢のように儚く、まるで朝顔の如く一瞬だった。


 家に帰ったときには、私以外の家族は全員斑の肉の塊となっていた。

交通事故、だった。居眠り運転のトラックに巻き込まれて。

 なぜ私は助かったのか。簡単な話、その場に居なかったのだ。

学校ではなく、部屋に引き篭もっていた。


 私に対するいじめがあったのだ。

理由は簡単だ。「周りと違って異質だったから」だ。

根暗だの、陰鬱だの、湿っぽいだの。ただ静かに学校生活をしていただけなのに、私はなぜ的に成らなきゃいけなかったのか。いまだモヤモヤした気持ちに苛まれてしまう。

 それの所為で、私は引き篭もってしまった。逃げてしまったのだ。

そこから総てが壊れた。家族にも相手にしてもらえず、私を除く団らんが始まった。

 その後、私以外の家族は、私に内緒で旅行に行く計画を立てていて、その結果の事故だった。


 私は施設に引き取られた。そして、またいじめだ。

このループから抜け出すために私は施設から逃げ出し、あの家に転がり込んだ。

 そんな部外者の私にも、暖かく接してくれた。

「辛くなったら何時でもおいで、私達は何時でも歓迎するよ」

 そう言ってくれた。


 何時からか忘れてしまっていた様々なものを取り戻したのだ。

太陽のように暖かい温もりと笑顔。

血の繋がることの無い、私を迎え入れてくれた家族。

そして。



【ただいまと言える場所】

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