主人公がネクロマンサーの老人なのがアレですが、素敵な純愛物語です。不勉強でラナンキュラスというお花を知らなかったのですが、綺麗なお花ですねぇ。 このお花のような、素敵なお話です。
「ラナンキュラスの郷愁」の「骨で着飾って」は深い愛を感じます。これまで目を通してきた参加作とは違って、「着飾って」に優しさを感じました。(個人的解釈なんですけど)うまく説明できないのですが、「ああ、この人は彼を愛しているんだな」って感じました。ファンタジーはあまり読まないのですが、この世界観はうちとけられました。また、ちゃめっ気な語口が好きです。
人の記憶とは不思議なもので、あれだけ机に向かって四六時中にらめっこした教科書の中身はかけらも記憶に残らないのに、ちょっとした恥ずかしい出来事やうれしい出来事は、ふとした瞬間に克明に思いだすことがある。そうした人の記憶の不思議を、本作は鮮明に描写しきっている。流れるような場面転換と軽妙な語り口でつづられる物語は、読者をラナンキュラスの花畑へといざなってくれるだろう。お見事!