リグス・バッカーノ





北西最前線




カン!!ガキン!!キン!!


周りから、交わる鋼鉄音が聞こえる


ここは最前線


いつ刺されてもおかしくないような最前線で

西軍は黒、東軍は白い軍服を着ていて、

二つの軍は白兵戦が行われていた


………………




ウオオオオオオ!!


カキンカキンカキン!!!


おれはしがない一般兵士

だけどおれは死んだふりしてる


なぜかって?

そりゃこんな数相手に、生き残れるわけないだろ


もう戦うなんて、やなこったい!!

命がいくつあっても足りゃしないねぇ!


カキンカキンカキン……


おっと、鋼鉄音が後ろから聞こえるようになった


多分西軍が押してるんだろうな


今目を開けたら……

思うだけでぞっとする


神様……どうか生き延びれるように……



カキンカキンカキン……


カキンカキンカキン……………………


カン……………………キン………………


音が聞こえなくなってきた


いや〜、まずは難関を乗り越えたって感じかな〜


よし……隙を見て逃げ出そ……



ガキィィィン!!!


!!??


何だ今の鋼鉄音!?

すぐ真上で戦ってても、

こんな鋼鉄音は聞こえなかったはずだ……!!


ガギン!!グゴン!!ボガギィィィン!!!



ふざけてる!!

こんな音、鉄の剣じゃ絶対聞こえないはずはのに……


ちょっと目を開けてみるか……




「……!!」




「フハハハハァァァァ!!!

"第一人目名誉騎士 リグス・バッカーノ!!

全盛期にて戦場に再臨したぁぁ!!!」


ドゴンバギンドッゴォォン!!!


しがない一般兵士の目に、

文字通り"化け物"が写っていた……




「フハハハハァァァァ!!!」


「なんじゃありゃ……重戦車かよ……」


アーフィンは、西軍の兵士達を薙ぎ倒していく

元老兵の姿を見て驚愕している


その他の老兵だった者たちも続々と続いていき、

劣勢だったのが、今では見る影もなかった!!


「全員、あの部隊に続くぞ!!」


先生が士気を上げるよう言った


オーーー!!


俺たちは、その先生に勇気づけられるように

高らかな声で、返事をした


タッタッタッタッタッ




俺達はその後に着いていき、

気付けば西軍最前線のカストラに着いていた……



「フゥーーーッッハッハッハッ!!!」


「何なんだ……あの老人は……

カストラまで一部隊だけでたどり着きやがった……」


スタ スタ スタ


「何だこの騒ぎは……て、なぜここに敵兵士が!?」


一人の男兵士に見つかった


ピーーーッ!!


「正面に敵が居るぞぉぉぉぉぉ!!

……て、何で正面に敵が居るんだよ!?」


「もちろん、ここまで敵を蹴散らしてきたからな。」


元老兵が自慢げに言った


「はぁ……?何言ってんだこいつ?」


ダッダッダッ


「何事か!!?」


「司令官!!敵です!!」


司令官らしき豪華そうな白い軍服を着た男と

その護衛が近づいてきた


「フッフッフ……根絶やしにしてくれる。」


元老兵は、絶対的な強者の目線で言った


「やっちゃえー!!老兵さーん!!」


俺は大きな声で応援する


ピカッ!!


!?


その途端、リグス・バッカーノ率いる

全盛期部隊が光だし、周囲は謎の光に覆われる


カァァァ……


その光がなくなっていき、

目を開けられる状態になった


俺は目を開けてみると……


「……戻ってるぅぅぅ!?」


「ごめん、坊や。戻っちゃった」




「……ええい!!何が何だかわからんが、

とりあえずあの老兵達を倒せ!!」


ハッ!!


スタタタタタ


「そうはさせん……!! 全員、剣を構えろ!!」


ハイ!!


私たち第七医師団は、老兵達の前に立ち

守るように、戦闘態勢に移る!!


「……いけぇぇぇぇ!!!」


ウオオオオオオ!!!


ジオルが令を下すと、第七医師団は走り出し

辺りは戦場になった!!




カン!!カキン!!


ハァァァァ!!


剣を構えた一人の男が、一直線に私の方へ向かってきた


「……久々に戦わなくてはな……」


チャキッ


私は腰に携えた、護身用の長剣を取り出し

前傾姿勢なり、剣を構えた!!


デヤァァァ!!


向かってきた兵士は気迫の表情で迫ってきた!!


カキンッッッッッ


ビリビリビリッ!!


「グッ……」


剣を交差した時、

ビーストにやられた背中の傷が痛み出した!!


「オリャァァァ!!!」


「アーフィン……!?」


グシィィィ!!


アーフィンは自分の剣を、迫ってきた兵士の腹に

容赦なく突き立てた!!


ゲボッ……


ドタンッ……


迫ってきた兵士は、大量の血を吐き出し

その場に倒れ伏せた


「……隊長。俺だって、頼ってもらって良いんだぜ?」


「……すまない!!」




「ハァッ!!」


バサッ


「グハァ……」


ダッダッダッ


奥の方から、敵の増援だろうか

三部隊ほど駆けつけてきた


「まだ敵がいるのかよ……どんだけ余力残してんだ……」


アーフィン達は、後ろに守る人間が居て

なかなか攻められずにいた


「諸君ら、もう諦めた方がよろしいのでは?」


向こうの司令官が、情けをかけるように言う


「ここまで突撃しすぎたか……私のミスだな……」


「……隊長!!」


「……?」


「俺たち、結局魔法に頼っちまってるけど……

やっぱり、人間の底力ってスゲェだろ?

あの老兵の全盛期は、

このぐらいやばかったんだぜ!?」


「……あぁ、そうだな……」


「……それでよ、何だ……

俺に同じ魔法をかけてくれねぇか?」


「!? それって……まさか!?」


「あぁ……!!俺もあのじいさんのように、

未来訪れるだろう"全盛期"になれるかもしれねぇ……


だけど、これは賭けってやつだ。

もしかしたらちっせぇ子供になっちまうかもだし、

もしかしたら変わんねぇかもしれねぇ……


だけど俺、アイリスさんが

ビーストの群れを魔法で倒した時、思ったんだ。

「魔法は人間にとってかけがえのない物」

なんだって……


さっき、俺は興奮しててよぉ

魔法なんかいらねぇっつったけど……

これは"傲慢"ってやつだな。


自分達の力を過信しているとも言えるだろーし、

まぁ発言を悪いように捉えるのはいくらでも出来るけど

まだまだ俺達には、魔法が必要だったんだ。」


「アーフィン……」


「だからよ!! 俺に遠慮なく魔法を放ってくれ!!

約束する、未来の俺は超スゲェやつだからよ……!!」


「よし……なら、やるぞ!!」


「おう!!いつでも良いぜぇ……」


……


イメージする


彼の数年後の、最強の時代のことを……


身長はまだ175ぐらいだが、まだ伸びるだろう。

190ぐらいはなってほしい


体も……太く、筋肉質で誰よりも力が強い


そして何より……魔法も、剣も

全てを使いこなせる程の強者に……

彼は、なっていることだろう……


そんな彼をイメージする


どんな人生が待っていようと、

彼は大成し、他の追随を許さぬ圧倒的強者へとなる


そんな彼を、イメージする……



………………………………

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