ナガサキ・アユミとザルグヘイム都





…………………………


小生は早速、黒髪の青い目をした男性が居るか

街の人たちに聞いて回っていた


「……という男性を見ませんでしたか?」


「いや……知らないね。」


老人がそう答える


「そうでしたか……すみませぬ。」




「もうここら辺には居なくなったのか……?」


スタスタスタ


小生は、いくら聞いても情報が入ってこないので

辺りを見ながら、そう考え始めた


「うーむ……」


タッタッタッタッタッ


「シュヴァルツせんぱーーーい!!

待ってくださーーーーい!!!」


「……?あぁ、あなたは

歩兵部隊隊長の……」


「ハッ!! 第七騎士群歩兵部隊部隊長

ナガサキ・アユミです!!」


身長は170センチ、細身で

モデルのようなガタイの良さの彼女は

第七騎士群で歩兵部隊の部隊長をしていた

ナガサキ・アユミという名の銃の名手だ。


腰周りにはハンドガンが二丁あり、

黒髪ショートで、半袖のTシャツと

青いズボンがを履いている




「……それで、あなたは何故ここに?」


「……あたし、

シュヴァルツくんの大ファンなんです!!」


「……!?」


「腰に携えた刀にその知的な瞳……

そして何より、あのアズキさんとの

No.2を賭けた戦い……!!」


「見てたんですか!?」


「自分のことは良いからと、

自分だけ第七医師団から離れ、

仲間の成功を祈るあなたに惚れたんです!!」


「……まさか、先生に内緒で来たんですか?」


「いいえ!!ちゃんと許可は取ってあります!!」


「それなら良いんですが……

本当に良いんですか?

第七医師団に居た方が安全ですよ?」


「良いんです!!

シュヴァルツくんの為ならば、

この命、惜しくはないです!!」


「は、はぁ……」


小生は戸惑いを隠しきれないが、

彼女の実力を信じて同行してもらうことになった


小生にファン……!?

そんな人物が居たのか……




「これからどうするか……」


「アタシ分かりますよ。

アズキさんの行った方向ぐらいは」


「本当ですか!?」


「ハッ!!ここより南南西の場所

王都"ザルグヘイム都"へ続く道に

戻っていったみたいです!!」


「急ごう!!」




ザルグヘイム都


灰色の石レンガが果てまで道を成す

風が敵となり味方となる


ザルグヘイム


運命に導かれた二人の戦場人


太陽は暑く照っている


ザルグヘイム


そこは由緒正しき石レンガ街


色んな建物に石が使われている


「おー……ここがザルグヘイム都!!」


ナガサキさんが驚いた顔で言う


「ここまで発展した街は

小生達の国であっても、そうそうお目にかかれない。

まさか国を跨いでこんな場所に来れるとは、

夢にも思ってなかったぞ。」




「……ここで決まりか……?」


「シュヴァルツくん?」


「いや、ここは商業地区と言うこともあって

裏組織がここに隠れ潜んでいたりしている

かもしれないと思った故、

少し覚悟が居ると思ってな……」


「……一応、ここに来たという旨の報告を

大隊長に言っておいた方がよろしいのでは……?」


「郵便ポストが何処にあるかもわからないのに

どうやって手紙を送ると言う。

……行こう。」


スタスタスタ


「ま、待ってくださいよ〜」




「こんな顔の人は居ませんでしたか?」


「ん〜……わからん」



「居ませんでしたか?」


「いや……」



「居ませんか?」


「私にはわかりません」




「う〜む……」


「シュヴァルツくん、アタシの間違いだったかも……」


「……まだ決まった訳じゃない。

……ひとまず、もう夜だ。

今日の所は宿屋に泊まろう。」


「ハッ」




ガチャッ


「……らっしゃい」


一人の太ったおばさんがそっぽ向きながら挨拶した


「……シュヴァルツさん、

本当にこんな所で良いんですか?」


「お金が無いからね……」


「……フン、言っとくけど

妥協でこの店に入ったんならお断りだよ。

ただでさえ、最近物騒だってのに

何でこの街には来る人が絶えないんだろうねぇ……」


「おばあ様、物騒とは……?」


「そんなことも知らずにここに来たのかい。

最近、人が突然どこかへ消えちまう……

"神隠し"が頻繁に起こってるんだよ。

ったく、何が目的なんだろうねぇ」


「神隠し……」


「お前さん、旅行先で神隠しに会うのは嫌だろう?

今回だけ、無料で寝床を用意してやるよ。」


「おぉ……かたじけない。」




「神隠しの真実を……?」


おばあさんが、意味がわからなさそうな表情で言う


「はい。きっと先生なら

まずは目先の解決出来そうなことを片付けるはず!」


「はぁ……?あんた、バカじゃないのかい!?

神隠しって、あたしが思うに

犯罪集団が人さらいをやってるんだよ!?」


「それは大丈夫です。

小生、負けたことは無いので。」


「えぇ……?」




スタスタスタ……


宿屋の店主に聞いた、神隠しの場所へとやって来た



「周りに人の気配は感じない……

こんな路地裏に居るはずもないが。」


そこは、人気が無く、古い木製の建物の裏側にある

少し開けた場所。

地面も土で出来ており、とても首都内の場所とは

思えない。


「ここで20代前半の男が神隠しにあったらしい。」


「不思議な場所ですね……捜索された跡もない……」


スタ スタ


「「!!」」


足音が聞こえる


小生達は、静かに物陰に隠れる




「……」


足音が途絶えた


立ち止まって何をしているんだろう


「……捜索された感じじゃない。

きっとこの事件は、ジェネシスが糸を引いている……

あの騎士元帥の反乱に乗じて、

生体実験を……?」


(……この人、何を知っているんだ……?

敵かも知らないけど、出て話をしてみよう)


タタッ


小生は、大きな木の樽の影から出て

その人物の居る方向を見た……




「誰!?」


その人物は、こちらを振り返った


「……!!??」


その顔を見て、小生は驚きを隠せずに居た

まぶたをぱちぱちと、高速で開けたり閉じたりした


小生は、その人物のことを知っている

知らないはずがない


そう……その人物とは……


「……アイリスさん!!??」


「シュヴァルツさん……!?何故ここに!?」

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