脱獄




タッタッタッタッタッ


「カイゼンさん!!暴れてください!!」


小生は敵を見つけ次第

カイゼンさんに暴れるよう令を下す!!


「オラァぁぁぁぁ!!!」


「!!?何だ貴様ら……うわぁぁぁ!!」


ボコーン!!


「オラオラオラぁぁぁ!!

第七医師団のお通りじゃぁぁぁ!!」


「カイゼン兄貴!!一生着いて行きます!!」


「アーフィン、ワタシ達もやるよ!!」


「合わせろ、カレン!!」


二人は息を揃えながら剣を構えて

敵兵の居る方へ突撃する!!


ゴーン!!


「ぐわぁぁ」


二人はその剣を、刃を使わず平らな場所を

敵兵の頭にくらわせた


「皆、殺さないように進むんだ!!」


「シュヴァルツさん!!

俺達は今どこに向かってるんだ!?」


「兵士の一人がここの内部構造を写した

地図を持っていた。

それを見ながら移動しているけど……

そろそろ出口のはずだよ!!」




「……………」


上に繋がる階段の前に、黒いローブを着た

禍々しい男が立っている


「そこをどけぇ!!」


アーフィンが剣を突き立て

その男を倒そうとする


「……待て、アーフィンさん!!」


「……ハァッ!!」


カキィィン!!


石の通路に音が鳴り響く


ローブ男は正拳突きをし

アーフィンの鉄の剣をへし折った!!


「……ええっ!?鉄の剣を素手で!!?」


「……その程度か。」




タッタタッ


「なんだこいつ……只者じゃねぇ」


「……アーフィンさん、小生にその剣を。」


「ええっ!?この折れた剣で

アイツと戦うつもりなのか!?

いくらシュヴァルツさんでも……」


「……大丈夫ですよ。」


「お、おう……任せた」




「ワタシの剣の方が良いんじゃ?」


「シュヴァルツさんには考えがあるんだろ……

いや、単純にカレンさんのこと

忘れてるかもだけど……」


スタスタ


「……くるのか。その剣で!!」


「……武士は刀を2本も持たない。

この方が対等だと思い、戦いに挑んだ。

それに……おぬしの武器にも合わせられると思った。」


「……この武器は強すぎる。

……来るなら死ぬ気で来い!!!」


………………


一雫が落ちる間が空く


それは、嵐の前の静けさより靜に。

同時に、戦いの火蓋が切られたことを意味していた!!


ダンッッッッッ


その一歩は、雷神の如き一歩だった


大きく前に突き出したその右足で走り始めたその姿は

全員の眼を置き去りにするほど

敵へと、一直線に向かった


(速い!!!!!)


ただ一直線に移動してきたシュヴァルツ

しかし、ローブ男にはそれが予想外で

反応が遅れていた!!


カァァァァン!!


「……その武器は使わないのではなかったのか!!」


ローブ男は、胸の辺りに隠していた短剣を

咄嗟に取り出し攻撃を防いだ


「気をつけろよ……この武器は……

刃の表面に皮膚が触れれば気絶……

擦れば即死の暗殺用の短剣だ……!!」


カンッカカン!!


キン!!


鋼鉄と鋼鉄が交わる音が

石の通路に鳴り響く


剣が擦れた箇所には火種が飛び散り、

暗い通路が一瞬だけ明るくなる


「ッ!!」


その明るくなった時に、ローブ男に隙が生じた!!


「甘い!!」


クルクルクルッ

ダァァァン!!


「ぐっ……」


小生はその隙に、勢いよく回し蹴りをし

体勢を崩した


ダッッッッッ


「ハァァァァッ!!!」


その体勢が崩れた時

追撃……いや、トドメの一撃に

折れた鉄の剣をローブ男に向けて走った!!


ガキィィィン!!


「そこまでだ。」


「!!?」



折れた剣がローブ男に届く寸前

何者かが剣を交え、小生の剣の勢いを止めた



「……黒魔術師、遊ぶのはこの辺にしろ。」


「……遊びという範疇は、彼にとっては超えていた。」


「……その特徴的な紫スーツは……ヴァーズさん!?」




「……小生達を解放しに来た!?」


「そうだとも。

我々はヒヒュード騎士軍の意思とは関係なく動ける騎士

"名誉騎士"。

名誉騎士は、君達

第七医師団を管轄下に置くことを決定した。」


「……?一体何がどうなって……!?」


シュヴァルツは混乱する


「そこから先は私が説明する。」


!!!


「「「先生!!」」」


「……まずは外に出よう。」




ヴァールテクス新王城 一階


「……よし。」


私達は、何とか元の場所に戻ることが出来た


「……それで隊長。

一体全体何が起こって……?」


「苦労をかけたな。

王から直々に勲章を与えられた騎士、

即ち名誉騎士達が私達を投獄するのは

早計であると言う結論を出し

解放するよう言った。」


「つまり俺らの苦労は……」


「意味はなかっただろうが……

皆がこの国でも通用するって分かった

良いじゃないか。」


えぇ……


「直に他の団員も解放されるだろう。

解放されたら、まずは名誉騎士の

保護管轄下に置くということだ。


そしてこれから行くのは「名誉騎士城」という場所。

その名の通り名誉騎士が住まう城。


全く。この国に私達は振り回されているな。」


「……まずは第七医師団の医療力を見せてもらおう。」


黒魔術師が、品定めをするように言った

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