アイリス 死亡





スタ スタ スタ スタ


ところ変わって、

ここは、第一にビーストに襲われ無くなった

第八騎士群の跡地


わたしことアイリス・スカーレットは

炎部隊を率いてここの調査へと向かった


「……」


「アイリスさん、最近めちゃくちゃ集中されてますね!

ビースト相手に連戦連勝!!

いやーー、尊敬しますわーー!!」


一人の炎部隊の女性が言った


「ビーストが突然進化して炎に強くなる可能性がある

油断しないで。まだわたし達の戦いは

終わった訳じゃない。」


「アイリスさん聞いた?

大隊長、第七医師団って名前に改名して

ヒヒュード合衆国に向かったようだよ?


この場合、私達も第七医師団って名乗った方が

良いのかな?

でも、私達炎で生物兵器と戦ってるじゃん?

これって医者ではないよね。」


「……何が言いたいの?」


「……私達、独立した方が良くない?

ビーストを倒せるのは私達しかいないし、

依頼は沢山くる。

そして独立する訳だからお金が前より沢山手に入る!!

めちゃくちゃ良いじゃん!!」


「……馬鹿なこと言わないで。

お金の為に戦ってる訳じゃない。」


「えー、いーじゃん。」




ビュー……


「……来る」


荒廃した街に風が吹いている


その風は、何かを知らせるように

風を鳴らしている


第六感が告げている

「危険だ」と……知らせている


単純な警告に、わたしはこう言う

「もう遅い」……と


スタスタスタスタ


!!?


「足音!!」


炎部隊は、その方向を向く


「炎陣!!」


私はすかさず指揮を取り、

戦闘体勢を取る!!



ギャオオオオオオオオオ!!!!!


一匹の謎の魔獣……ビーストが来た


その声は、今まで聞いたこともない

雷撃の如き迫力の声を放っていた!


しかし、その毛は今まで見たことのない色をしていた


「……黒?」


それは、炭のような黒い毛をしていて

他のビーストより一周り大きく、ガタイも優れていて

異常な雰囲気を放っていた


「攻炎陣……着火!!」


ハイ!!


ボォォォォォォ!!!


皆も火の魔法に慣れ、

以前より威力が増した炎を放った!!


……


「……!!?」


その炎は確かに30メートル先に届いている

しかし、そのビーストは全く効いていない様子だった


スタ スタ……


そのビーストは、炎を押しのけて歩き出した


「部隊長……!!」


「……大丈夫!!

あのビーストが動けないように……

炎を纏わりつかせて!!」


ハイ!!


(早くわたしの火の魔法を発動した方が良さそう……)


わたしは右手を前に出し、

集中する為に目を閉じた


この数週間で分かったことがある


それは、魔法は人の想いが結晶になったようなもの……

魔法は、人の想いの強さで力が強くなる


わたしはそれに気づいた


しかし、そのせいで

わたしはビーストと最初に戦った

あの魔法を使えずにいる


わたしは、あの時の感情を思い出せずにいる


でも、それでもやるしかない

わたしがやるしかないんだ!!


(よし……前ぐらい大きな球の感触はないけど

握り拳ぐらいはあるかな……)


そう思い、わたしは目を開けた




…………………………


「なに……これ………………」


目を開けた時

それはわたしにとって絶望を意味していた


前まで話していた人の首は裂け

骨が折れて体がありえない方向に曲がっていた


「うそ…………!!?」


全滅していた


わたし一人残って




「……うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」


わたしは、膝に力が入り無くなり、

その場に倒れ伏した


ギャオオオオオ


一匹の黒の魔獣は、簡単に炎部隊を全滅させ

高らかに咆哮した


「に……逃げなきゃ…………」


あれは人類が手に負える相手じゃない


大して目を閉じている時間はなかったはずだ

せいぜい一分か二分程度……


しかし、その時間だけで

人の壁を超えたはずの炎部隊が

最も簡単にやられてしまった


逃げようとさっきからしているが、

恐怖という荷物が重すぎて逃げれない


スタ スタ スタ スタ


(あ……死んだ)


先生とまた会う約束をしていたのに……

わたしは、こんな所で死んじゃうのか……


ごめん、皆……

今までありがとう……そして、さようなら……


ゴッ


鈍い音が鳴り、わたしは徐々に意識を失っていった……



………………………………




「……とう、指揮官

おかげで上手くいったね。


でもまさか、炎部隊はそこまで弱かったとは……

どうやら魔法というものを

まだ上手く扱えてなさそうだなぁ。」


誰かの声が聞こえる


12歳くらいだろうか……

声変わりをしていない男の声がする


(わたし……生きてる!?)


なんで!!?

なんでわたし生きてるの!?


確かにわたしはビーストに殺されたはず……


なのに、なんで!?


「う……」


「お、起きたようだね。

さすが救世主と呼ばれたことはある。」


わたしは目を開け声を発した

現状があまりに理解出来ず、つい起きてしまった


でも、一つだけはっきりしていることがある


それは、ビーストはわたしを殺すつもりではないこと




「……」


「何か言ったらどうなんだい?」


手首を縄で縛られている


何か尋問するつもりなのだろうか


それとも、じっくりなぶり殺しにするのか……


「まぁ、黙るのも無理はないね。

だって救世主アイリスは、もう死んでいるからね。」


「……?」


「理解出来ないだろうが、君は聞かなきゃいけないよ。

だってその本人"だった"人だもん。」


「何を言って……」


「――人間型生物兵器NO.88609

ビースト・アイリス

ようこそ、我らがアジトへ!!」

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