騎士団長 ハンネバル・ドーヴェル

騎士団長ハンネバル・ドーヴェル




「来るのが遅かったね。ドーヴ」


「……親父」




ザワザワザワ


「あれ、騎士団本部の超大物じゃねーか!?」


「しっ、アーフィン声でかいわよ……!!」


「でもよでもよ、あのハンネバル・ドーヴェルだぜ!?

騎士の中の騎士、kingknight騎士の親だぜ!?

すげぇんだろうな……」


「救世主アイリス・スカーレット隊員の

顔を一度みてみたいと思って来たのだが……

そっちもなかなか大変だね。ドーヴ。」


「その呼び方、懐かしいな……

モテなす為の座る椅子もない程に大変だ。」




「……それで、さっきの言っていたことは何だ?

"サハギン"……!?

300年前の"三国大戦"がキッカケってどういう……!?」


「フッフッフッ、忘れたのかい?

……私は"何でも"知っている

この世の善、或いは悪

常世全ての真理さえも、全て……」


「……何年も経たないうちに、

不気味さは数段と上がったようだな。」


「実の息子に数年ぶりに会ったんだ。

喜ばないはずがない……」


「……と、危ない、論点がズレてしまった。」


「話を戻そうか。


サハギン

それは、人間の遺伝子を取り込んだ

サメが突然変異して生まれた

陸海両用戦闘型生物兵器。


基本は海底に住んでおり、

泳ぐ速度は時速300kmで、群れで泳げば津波が起きる。

戦闘になれば、槍を装備して襲ってくる厄介な敵だ。

前回のビーストが優しく思える程にね。」


「300km……!!?

そんな情報、全く聞いていないが?

その口ぶりからすると、

前のビーストの情報も隠しているように見える……」


「いやはや、

あれは我々が秘密裏に消しておきたかった。

君達というイレギュラーな存在さえいなければ、

こんなことにはならなかったというのに……」


「……こんなこと?」


「私達騎士団クラスの組織ともなると、

"あちら側"の組織とも絡むようになる。


それと騎士団は、君達のせいで

敵対関係になってしまった。


魔法の本も、流された訳じゃなく

あちら側の組織がサハギンに、

奪うように命令したのだろう。

あの本は、津波程度で流される物ではないからね。」


「あちら側の組織とは……?

……自我を持つ本、ネクロノミコンとは一体……?」


「先に魔法の本について話そう。

本屋の魔術師と別国の騎士黒魔術師……

年齢は違えど、その外見……そう、どちらも黒ローブだ

おっと、黒魔術師は知っているかい?」


「あぁ……知っている」


「そうかい、なら話は早くなる。


創生の時代に戻り、時は800年以上前

ローブ一族という民族が居た。

その一族は、神から作られし本

"アル・アジフ"を守る一族だった。


君達が持っていたネクロノミコンは、

アル・アジフを当時の言語に翻訳した物だよ。


その一族は、アル・アジフと

ネクロノミコンの両方を守っていた

しかし、時を連れ自分達の使命を忘れていって、

文明も発達したことにより、

世界各国に散っていった。


ここまでは良いかい?」


「本屋の魔術師のようなローブを着た民族が

魔法の本を守っていた。

でも、次第に散り散りになっていった……」



「よろしい。


ローブ一族は、神の使いということで、

身体能力は高く、普通の人間とは比べ物にならなかった

魔法の本はなかなか人間の手には渡らなかった。

しかし、次々と散っていったということで

一族は弱体化していった。


そんな時に、"あちら側の組織"が

ローブ一族に目を付けた。


弱体化していったということで、

あちら側の組織は、簡単にローブ一族を捕縛することが

出来た。


そのローブ一族は、身体能力がとてつもなく、

生物兵器にするには持ってこいだった。


ある時はネズミ、ある時は魚……

そう、あの魔獣は"キメラ"だったんだ。」


ザワザワザワ


「おい……これ、俺らが聞いて良いやつなのか?」


「一体、何がどうなって……!?」


話を聞いていた隊員が騒然としている


「ここに居る者も聴くと良い。

第七騎士群は特別だ。何せイレギュラーだからね。


しかし、ローブ一族でも、

魔の手から離れ、逃げのびたり

世界各国にいるローブ一族の末裔も居る。


その中で、唯一逃げのびることが出来た……

"初代本屋の魔術師"と呼ぼう。


その初代は、命懸けで

ネクロノミコンを守りきった。


しかし、このままではいつかやられてしまうことは

初代にもわかっていたのだろう。


そこで初代は、あちら側の組織に対抗出来るように

ローブ一族のその身体能力で、名声を広げていった


初代はカリスマ性もあり、

民を纏める存在となり、いつしか初代は

英雄的存在となる。


しかし、あちら側の組織も黙ってはいなかった。

様々な方法で初代の息の根を止めようとしたが、

ことごとく失敗した。


その結果、初代は"ラース騎士連邦国"という国を作り

騎士団という強力な軍団を作ることに成功した。」


「この国が作られた経緯が

まさかそんなことだったとは……」


「そうしてあちら側の組織も流石に手を出せなくなり、

やがて邪魔だてもしなくなる。

国ごと滅ぼす為にキメラ軍団を作ることに専念した。


本を守るという目的を達成した初代は

騎士団だけ残し消えていった。」


「……本屋の魔術師、それは本名じゃないんだろう?

本当に何でも知っているなら、名前は分かるよな」


「私は何でも知っている。

その初代は、目的を達成した後、

ある港町で静かに暮らしていたという。

その名は……」


"ラース・ドーヴェル"

私達の祖先だ

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