ビースト襲来




あれから、様々な方法で火の魔法を試した


火の矢を撃った先で炎を強化は……

一人の力でも人間を

火ダルマに出来る火力が出た


それから、炎を複数箇所あるうちの一箇所に集め、

一つの巨大な炎に出来ることも判明した


ここまでスムーズに事が運ぶのは

炎部隊が火の魔法を使いこなしてきた証だろう


近接戦では、今までガスバーナーを使ってきたが、

別の火が出る物が欲しい。




「……と、ここまでがあれからの研究結果だ。

正直、火の魔法がここまでの可能性を秘めていたとは

考えていなかった。

炎の部隊全員、よくやった!!」


オオオオオオオ!!


「……ということで、研究は終わりだ。

次は"実戦"だ。」


……


「……皆、急なことで緊張するのは分かる。

だがしかし、第三騎士群付近に

謎の人型の獣が出たとの報告が出た。

そこで"団長"から、お達しが来た……

"第三騎士群に部隊を送り加勢しろ"……と。」


私は続けて言った


「つまりは……ビーストとの戦闘になる可能性が高い。

そしてその部隊はもちろん、炎部隊の君達だ。

私も第三騎士群に用があるので付いていこうと思う。

出発は正午0時。それまで心の準備をしろ!」


ハイ!!




「おらぁ、付いて行きたかったけど……」


「カイゼン、君の心も分かる。

しかし、火の魔法が使えない君は

ここで第七騎士群を守っておいてくれ。」


「……わかった!!

おらぁここを守る!!絶対に!!」


「……任せた!!」




そうして、幾つもの馬車があるうちの一つに乗り

炎部隊およそ30人は、

第三騎士群本部がある、

"エース渓谷"へと向かう……




ガタンガタン……


馬が馬車を引く

私達はそれにのり、

風も無いまま景色は移り変わる


まだ実戦経験は無い

しかし、そこには勝利を確信できる程の

革新的な強さがあった


だがしかし、

私はまだ満足はしていなかった


「……あと一つ、足りない………………」


「?先生、どうかしたんですか?」


偶然居合わせていたアイリスが話しかけてきた


「いや……火の魔法は凄い

近距離、中距離、遠距離と

イメージさえすれば、

その戦闘形態を変幻自在に変えることが出来、

それに加え、皆が集まれば

とてつもない火力が出る……」


「それなら、何で頭を抱えるようなことを……?」


「……絶対的なエースが足りないのだ。」


「……エース?」


「そう。この炎部隊に唯一足りない物とは

周りを引っ張ることが出来るエース的存在だ。


しかし、研究の時、

皆大差は無いように見えた。


悪いことではないが、

これでは自分達と同じ力を持った

完全に力が上の存在が現れた時

簡単にやられてしまうんだ……」


「……それなら!」


「……?」


「私の活躍……期待しててください……!!

必ず役に立ってみせます……!!」


「……分かった!

十匹と言わず、数百匹でも倒してこい!!」


「ありがとうございます……!!」








第三騎士群本部 "暁の月"



エース渓谷を超えた先

目の前には、壁や形は第七騎士群と変わらないが、

屋根は赤く、シンボルマークは

"暁の月「絶対の月」"

赤色の三日月がシンボルマークだ。



第三騎士群本部を眺めていると

大扉から、二人の人影が見えた


それが少しづつ近づいてくると、

その影の持ち主は、見たことのある人物だった



「おーーーい!!」


「……カレン!!

と、誰だったか……」


「俺だよ俺!!

アーフィンだよ!!」


「隊長!!久しぶりです!」


ひよっこ戦士と人気者女子が

笑った顔でそう言った


「二人とも元気そうで良かった。

それで君達は……その笑顔を見れば

結果は分かるか…!」


編入試験はここ、第三騎士群で行われる


その編入試験とは、

一日目は第一試験は普通の体力測定だが、

それから選考で残った人が

二日目以降の"新兵決定戦"という

トーナメント式の一対一をし

最後まで残った人が騎士団に入ることが出来る


そのトーナメントがA〜Iブロックに分かれて

1週間の間、開催される



「あぁ……!!

二人とも、編入試験の難関、"新兵決定戦"で

優勝したぜ!!

でも、男と女で編入試験は分かれてたんだな!

カレンさんとも戦いたかったぜ…!

それはそうと……」


「どうした?」


「俺……"ハンネバル・ドーヴェル"団長と会ったぞ…」


「……"親父"と会ったのか」


「えぇ!?あれ騎士さんの親父さんだったのかぁ!?

……そういえば騎士さんもドーヴェルって名前だったか

自己紹介されたことなかったからわからなかったぞ」


「……親父は、元気してたか?」


「年老いて少し痩せ細ってるけど

多分…それでも、俺なんかの数百倍は強えぇよ

静かな人だったけど、

歴戦の猛者って感じで……凄かった」


「……そうか。」



それから少しして、

カレンとアーフィンは見学ということで

炎部隊と共にこの場に滞在させ

私は第三騎士群隊長に挨拶しようと

本部の中へと入っていった……




第三騎士群本部 修練場


入り口から入って右の突き当たりに行くと

大きな体育館があるが、

いつもは修練場として使われている




「ハッ!!

フッハァッ!!」


数百はいる男達が、竹刀をそれぞれ持ち、

稽古をしている


その先頭に一人立って、稽古をしている男の人がいた


私はその人に向かって言った


「どうも、第三騎士群隊長

"アイザイア・ネスト"さん。

いつもながら、華麗な剣捌きですね。」


「……貴方は第七騎士群の……

これは失礼した。今は戦に向けて

鈍った勘を呼び戻そうとしていた所だった!!」


この白い鉢巻を巻き、

黒い帯、白い柔道着を着て

竹刀を振っていた30代半のおじさんは

第三騎士群隊長

"絶対の力 アイザイア・ネスト"


隊長の中で、一番の身体能力を持ち

実力だけで9人の隊長の一人となった人物だ



「……執務室で話をしましょう!!

丁度第三騎士群のオーナーは居ない所だ!!」


「そんなに大声で言わなくても分かりますよ。」


「よーしお前ら!!

後は自主練に励め!!」


ハッ!!


数百もの人が、揃って返事をした




スタスタスタ……


ガチャ


「ジオルさん……どうぞ、こちらへ」


二つある、高級そうな長椅子に座る


「さて……アイザイアさん

今回、謎の獣が出たとの話でしたが……

それはあの"ビースト"で間違い無いですか?」


「目撃者によれば、

毛深く、大きな牙が特徴的と聞きましたが……!」


(ビーストと言うことで大丈夫そうだな)


「なるほど……では、

今回立てる作戦はビースト用の作戦で良さそうですね

それではそのビーストの

具体的な情報を聞かせてください」


…………………………


「なるほどなるほど。

午後3時30分頃、エース集落街南区花園辺りに

謎の獣が出現。

数は5体、死傷者無し、目撃者4名……」


「ジオルさん!

なんだかこれ、不思議だと思いませんか!?」


「……人間に身体能力と数で勝っているのにも関わらず

死傷者無し…襲わなかったのか…妙ですね。」


「そうなんだ……私も話を聞いた限りでは

何故目撃者を殺さなかったかが不思議で……

人間と同等の知能があるなら

目撃者を殺していくらでも証拠隠滅出来たのに……」


「……」


ダッダッダッ


「大変です!!アイザイア大隊長!!」


一人の赤色の制服を来た隊員が

声を荒げながら言った


「どうしたのだ!?」


「謎の獣がまた現れたとのことで……!!

それも今回は数えきれない程の数で

人々を襲ってきました!!」


「何!?

今すぐ第三騎士群の隊員を全員集めろ!!」


私はそれを聞いてどこか引っかかる


(……ビースト、何を考えているんだ…?)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る