Column2 溶ける、融ける、解ける。

 ――氷がとける。


 この文に当てはまるの「とける」は、「溶ける」「融ける」「解ける」のどれでしょうか。



 正解は全てです。「解ける」は判断に迷った方もいらっしゃるかもしれませんが、雪や氷、霜などが水になる場合は「解ける」も正解なのです。

 では、次の例文はどうでしょう。


 ――かき氷がとける。



 今回も全て当てはまりそうでしょうか。それとも「溶ける」ですかね。いやいや、「融ける」かもしれません。いいえ、「『解ける』だ」というご意見もあるかも……。

 では、答え合わせをしましょう。正解は「溶ける」です。

 氷のお菓子である「かき氷」の場合は、多くの場合「溶ける」が使われます。「融ける」は、辞書のなかで「溶ける」と一緒くたにされている上に同じ意味合いなので(漢字の成り立ちは違います)、「融ける」としても問題ないようですが、常用漢字表外の漢字ということもあって、表記としては「溶ける」が多いですね。あとは「融ける」が理科や化学などの教科で登場する漢字なので、食べものには「合わない」と思う方もいらっしゃるかもしれません。


 そういえば、現在NHKで放送中の朝ドラを見ていたときのことですが、2代目主人公がかき氷を食べるシーンがあって、そのときの字幕には「溶ける」と記載されていました。

 一方で、最近読んだ小説に氷菓子が登場したのですが、材料となる氷がとける様子を「解ける」と表現していました。

 その小説はミステリー小説に部類されているようなので、主人公が謎を解くという意味でも「解ける」が使われていたのかもしれません。もしかすると、大きい氷として登場していたので「溶ける」よりも「解ける」のほうがいいと思ったのかも。いや、それとも冷蔵庫がない時代の話なので、自然の中から切り出してきた氷がとけるので、「解ける」としたとか。それとも「解氷」という熟語から来ているのかも。「解氷」は「春になって海・湖・川などに張った氷が解けること(『明鏡国語辞典 第三版』)」とあるので、そこから「解ける」と使ったのかもしれない……などなど。

 一つの言葉に注目しただけで、色々なことがありますね。


 ちなみにこの話をした理由は、下記のリンク先にあった漫画を読んだからです。

 大まかな内容を説明しますと、お子さんの宿題を親御さんが見たとき、答えは「氷がとけるは、『溶ける』」だと思ったのに、宿題の正解は「解ける」だった、というもの。

 親御さんは納得いかなくて、ネットで調べたようなのですが結局のところよく分からなかったようです。

 私は辞書で調べてみたのですが、それぞれ違うことが分かりました。

 例えば『新明解国語辞典』だったら、「氷がとける」は「溶ける」。一方で『三省堂国語辞典』では、「氷が解ける」としています。『明鏡国語辞典』『大辞林』『大辞泉』では、どちらも可としています。三者三葉ですね。


 確か「解く」「溶く」というのは小学生で習う字だと思います。この問題について教師をしている友人に問うたら、「それは教科書で載っていることをテストで確認しているから、『溶く』が正しくても、授業で出ていたのが『解く』だったら『解く』が正解にしている」とのこと。賛否両論がありそうな返答かもしれませんね(汗)

 興味がありましたら、下記に張ったリンク先で読んでみて下さい。



<参考リンク先>

【漫画】氷って「溶ける」じゃないの?娘の漢字の宿題で大混乱!「溶・解・融」…苦闘する父に、共感続々

https://maidonanews.jp/article/14472078?page=2

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