Episode4 「足をすくわれる」と「足元をすくわれる」

 ――足をすくわれた。


 ――足元をすくわれた。


 さて、これはどちらが正しい言い方だろうか。

 正解は前者。「足をすくわれた」が正しい。

 「足をすくわれる」という言葉は、「思いがけないことで失敗させられる」という意味で使われる。

 多くの辞書では「足元をすくわれる」という使い方は誤ったとしているようだが、『三省堂国語辞典 』では、「足下をすくう」という形でも使うと書かれていた。(「足元」と「足下」の表記の違いについては、記述がなかったので筆者にも理由は不明である)

 『三省堂国語辞典 』は、新しいものを項目に載せる傾向にある辞書なので、近年使われている言葉が反映されたのだろう。


 そういえば『三省堂国語辞典 』は、近々第8版が出版されるらしい。他の辞書と比較してもリーズナブルな価格なので、気になる方は手にしてみてはいかがだろうか。



【足をすくわれる】『明鏡国語辞典 第三版』

 思いがけないことで失敗させられる。

 ▽近年、「足元を掬われる」とも言うが、本来は誤り。


【足をすくう】『新明解国語辞典 第八版』

 ㊀相手の足を下から上へ急に持ち上げて倒す。

 ㊁思いがけない手段で、相手を失敗(敗北)させる。


【足をすくわれる】『三省堂国語辞典  第七版』

ゆだんをしていて、ひどい目にあわされる。足もとをすくわれる。


【足下をすくわれる】『三省堂国語辞典  第七版』

①「足をすくわれる」と同義。

②まちがいに気づかされ、はっとさせられる。


【足をすくわれる】『三省堂現代新国語辞典 第六版』

 油断していてそのすきをつかれ、ひどい目にあう。〔俗に「あしもとをすくわれる」とも言うようになった〕

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