Episode4 「高校生のニートです」
質問を投稿するサイトで「私は高校生のニートです」という言葉を見つけたのだが、「高校生のニート」というのはどういうことなのか。
投稿されていた文章を読んでみると、書いた人物は年齢的に高校へ通っているはずだが、訳があって中途退学してしまい、仕事にも就いていないことから、自身のことを「高校生のニート」としていたようである。しかし、その場合は「17歳のニートです」と言うほうが適切な言い方ではないだろうか。
「ニート」について、『新明解国語辞典』で調べてみると「学校に通わず、独身で、収入を伴う職業についていない(労働意欲に欠ける)若者」と書かれている。つまり、学校に通っている高校生はニートではない。
ここまでの「高校生のニート」は「高校を退学して、仕事にもついていない子ども」のことを示していたが、近年は「高校生ニート」ということを「高校生でアルバイトをしていない人」という意味で使っている人もいるようだ。
「高校生ニート」を話題にしている子たちの中には、高校に通いながら働いていることを美徳とし、家庭環境に恵まれた子を卑下するような投稿もちらほらと見受けられる。学業とバイトを両立している子たちには頭が下がるが、そうでない子を卑下するのは違うように思う。
これはもう言葉の論点から枠をはみ出しているし、今の社会を作ってきた大人たちの問題でもある。だがこれは、「日本の教育方針のあり方」を高校生たちが表現した切実な言葉なのかもしれない。できれば「高校生ニート」という言葉は、広まって欲しくないものである。
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