第8話
部室に帰ったあと、特にこれからやることもないと東村先輩に言われたので、槙也と帰ることにする。
「なぁ槙也、お前は明日部活動体験どうするんだ?暇ならオカルト研究部に行ってみないか?」
一人で部活動体験にはあまり行きたくなかった俺は、槙也に明日の部活動体験について話しかける。
「明日は放課後用事があるので、部活動体験にはいけないのだ。すまないな」
「ああ、いや気にしないでくれ。これは俺のわがままだからな。仕方ない、一人で行くか」
「オカルト研究会に行くのなら気をつけたほうがいいかもしれないな。私がトイレに行ったとき、ミステリー研究部とオカルト研究部の違いについてについて東村先輩から聞いていたんだが、あまり反応が良くなかった。オカルト研究部には行くなとも言われたな」
なにそれ怖い。槙也の言っていることが本当なら行くのがやめたくなってきた。しかし、槙也が嘘を言っているかもしれないので自分の目で確かめないといけないだろう。どういう方向でヤバいのか気になるしな。
「そうか、それでも行ってみようかな」
「武運を祈っている」
「そんな、死地に行くわけじゃないんだからさ」
それきり、槙也と別れる。今日は宿題が出ているので早めに帰らなければと思い、足を早めた。
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次の日の朝、登校していると不思議な光景に出会った。
目の前を髪の長いスラッとした体型の女子生徒が歩いているのだが、その人とすれ違うすべての人が2度見したり、驚いたような顔をする。
俺は気になり、やや早歩きになる。しかし信号に阻まれ、その理由を確かめることはできなかった。
結局学校に着くまでその人を再び見ることはなかった。俺はちょっと落ち込んだ。
「どうした、修。何か落ち込んでいるように見えたのだが」
後ろから最近何度も聞いた声が聞こえる。
「槙也、聞いてくれよ……」
俺は教室に向かいながら先程起こったことについて話す。
「もしかしたらそれは私が昨日の朝見た人物かもしれないな。ほら、クラス中が注目していた美少女がいただろう?」
「あー、あれか。俺が見れなかったやつ。クソッ、見たかった!」
「それほど良いものではないと思うがな。それに見ていなくて良かったかもしれないぞ、あれは些か人を惹きつけすぎるからな」
俺は槙也が何を言っているのか分からなかった。
「まぁ、つまり修なら惚れかねないってことだよ」
よし、こいつを殴ろう。別にいいよな?俺悪くないんだし。
話していると教室に着き、既に柳先生が教卓の前にいた。2日連続で始業ギリギリに来るこの人がいるということは、もうすぐ始業のチャイムがなるのではと思い急いで自分の席に座る。
案の定すぐチャイムが鳴り、柳先生が口を開いた。
「よ〜し、全員揃ってるな。今日はこれから生徒会長による挨拶があるから体育館に10分後集合だ。2,3年は授業してるから静かに移動しろよ。解散」
柳先生は言いたいことだけ言い、教室を出ていった。2度目ともなるとクラスの動揺は少なく、各自で移動していく。
特に誰に話しかけられることもなく体育館へ向入り、空いた席に座る。
横を見ると『白』がいた。相変わらずマスクをつけ、前髪が長いので顔が見えない。顔を見られたくない事情でもあるのか簡単には踏み込んでは行けない領域だと感じる。
暇だったので『白』の本名を聞こうと話しかける。
「あのさ、君の本名ってなに?」
すると『白』はこちらを向き、首をかしげた。
「誰?」
……俺の名前を知らないことは予想済みだったが、認識すらしていないとは恐れ入った。なので、ちゃんと挨拶する。
「名前は佐藤修。教室で君の前の席に座ってるけど、分からない?」
すると『白』は「なるほど」と声を漏らす。
「俺、君の名前を知らないから聞いておきたくてね」
「名前は白」
「いや、そうじゃなくて本名だよ」
すると『白』は意味がわからないとばかりに再び首をかしげた。
「え、もしかして本当にそれが名前なの?」
『白』はゆっくりうなずいた。
名前が『白』なんているのかと衝撃を覚えた俺は、今のご時世当たり前なのかなと思い納得した。
しかし『白』か。親はどういう理由で名付けたのだろうかと気になりはしたが、出会って数秒で聞くことではないだろうと思い、口には出さなかった。その代わり、名字を聞くことにする。
「じゃあ、名字はなに?」
「
「結崎白か。いい名前だね」
「ありがとう」
そう言って彼女は少し微笑んだ……気がした。
仕方ないよね。顔見れないんだもん。
そうこうしていると生徒会長による挨拶が始まる時間になったようだった。
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ちなみに言うと主人公は女子の前では口調が柔らかになります。
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