第1話

 あの女性はこの体の母親だったことが判明した。母には一応寝ぼけていたと誤魔化してはいるがいつボロが出るかわかったものではないので、常に気をつけていこうと思う。

そして自分の名前は佐藤修さとうしゅうらしい。やはりあのとき母が自分に呼びかけたのが名前だったのだ。そういえば起きたときに落ちてきたタライはどこかへ消えていた。不思議で済ませていいものなのか判らないが、真相の究明手段がないので一度おいておくことにする。

 ところで自分は小学生に転生したようだ。転生と言ってもこの体の元の人格があったはずなので、どういうことなのか考えるのだがさっぱり分からない。そもそも前の人生の記憶もあやふやでどこの誰だったのかすら分からない状態だ。確実に言えることは、彼女いない歴=年齢だったということだけだ。悲しい。

 せっかく前世の意識があるので今世の目標を決めることにした。ズバリ彼女を作ることである。今小学生だし、幼馴染の一人や二人作れるでしょ。頑張るぞー!おおーー!




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 と、そんなふうに気楽に思っていた時期が俺にもありました。

 気づけばもうすでに高校生。幼馴染なんて一人もいない高校に入りましたよ。えぇ。なんでそんな高校に入ったかって?そんなの俺に幼馴染なんていないからだよ!

 小中学校の時は友人の一人二人居たんだが何故かみんな俺とは違う高校に行ったんだよな。もしかして俺嫌われてる?いやいや、そんなはずない。あんなに仲良くしてたのに、ねえ?よし、気持ちを切り替えよう。今日は高校の入学式なんだ。これから俺のラブコメは始まる!

 登校中にそんなことを考えていると、いつの間にか今日から3年間通うことになる高校が見えてきた。高校の名前は楠木くすのき高校。かなり自由な校風が売りの公立高校だ。周りを見渡すと、俺と同じ新入生だろう人たちがやや強張った表情で玄関に向かっている。俺も遅れては行けないと止まった足を再び動かし、自分が割り振られたクラスを確認し、1-3教室へ向かう。

 校内は今日が入学式ということもあってか比較的きれいであり、新品の上靴と廊下がキュッ、という不快な音をたてる。気にせずそのまま教室へ向かい、ドアの前で立ち止まる。あまり止まっていると不審がられるので数秒で心の準備を整え、ドアを開け放った。

 瞬間、教室中を静寂が満たし、教室にいたほとんど全員が俺の方へ振り返った。しかし、それはすぐに両隣の教室から聞こえてくる騒がしい音に打ち消され、次第に教室に喧騒が戻っていった。


 (え、今のなんなの?めっちゃ目線向けられたんだが?俺、なにかしちゃいました?)


意味が分からなかったが、知り合いもいないこの状況で気楽に初対面の人に話しかける勇気も持てず、そんなものかと納得し、席へついた。

 それからボーッとしていると、このクラスの担任であろう男性が入ってきた。


「皆さんこんにちは、これから一年君たちの担任をさせてもらう、柳康介やなぎこうすけだ」


 それで挨拶は終わりとばかりに入学式の説明へと移っていった。どうやら座る席は自由らしく、30分後には始まるから体育館へ行って座るようにとだけ言って教室を出ていった。初っ端から売りにしている自由を全面に押し出した姿勢から、本当にそれでいいのか?と疑問を持つが、それは他のクラスメートも同じらしく、動揺が広がっていった。

 その後、誰からともなく立ち上がり体育館へと歩を進める。途中気になるものも見えたが、入学式の時間も迫っていたため、後で見に行こうと決意する。そして入学式が始まった。




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 と、まぁ突然殺し合いをさせられるわけもなく、流れるように入学式は終わった。しかし、何故校長先生の話は毎回長く、退屈なのであろうか。もし、自分が校長になったら短く終わらせよう、とあまり意味のない将来の目標を立てる。

 入学式のあと、再び教室に戻ってきた俺たちはいつの間にか教卓の上に立っていた担任である柳先生に促され、自己紹介を始めることになった。

 自己紹介は失敗されることが許されない。なぜなら初めて会う者たちにとって第一印象を決め、これから付き合っていくか、いかないかを決める大事な儀式だからだ。何を話そう、ここは一発ギャグでも決めて笑いを誘うか?いや、流石にリスクが高すぎる。失敗した場合、高校3年間のボッチが決定してしまう。

 そんなことをあれこれ考えていると、一人目の自己紹介が始まった。


「始めまして!僕の名前は赤城青哉あかぎせいやです。これから一年よろしくおねがいします!」


 心の中で俺は舌打ちした。一番が爽やかイケメンかよ!?俺をこのクラスに入れたこと恨むぞ!楠木高校!

 そしていつの間にか俺の前の席の自己紹介が終わり、ついに俺の番がまわってきたのだった。






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始めまして、MemeFと申します。

これが初投稿なので、読みにくかったりするかもしれませんがどんどん改善していきたいと思っているので、アドバイスなどがあれば助かります!

では第一話を読んでいただきありがとうございました。

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