めっちゃもらえるやん
@MemeF
プロローグ
鈍い音が暗闇に広がっている。しかし、それに気付く者はいなかった。やがてそれは止まり辺りに静けさが戻った。この静けさを壊すかのように荒々しい口調で大柄な男は口を開いた。
「チッ、まだ死なねぇのかよ。めんどくさいな」
そして男は徐にナイフを取り出し、目の前で倒れている華奢な男に突き刺した。それは華奢な体をしている男を殺すのに十分な行為であり、大柄な男はそれきり振り返りもせず去って行った。
残された男は流れた血が多く助からないと悟りながらも定まらない思考で自分の人生に思いを馳せる。思えばその男にとって人生とはひどくつまらないものであり、生きる目的など有りはしなかった。
自身の人生を振り返るのをやめた男はたった一つの心残りである少女が無事なのか、これからも生きていけるかが不安であった。今不安になったところで全てが遅く、取り返しはつかないと分かっていても、その男は意識が消えるまで願い続けた。
「彼女のこれからが幸多きものでありますように」
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「んあっ!!」
ゴツンッ!と大きな音が響いた。どうやら頭に何かが落ちてきたようだ。
「タライ?なんでタライが落ちて来るんだよ……。ってここどこだ?」
そこは俺にとって見たことあるような、ないような部屋だった。その部屋は生活感のあふれる何処にでもありそうな部屋であり、何故この部屋を見たという感覚があるのか不思議に思いながらも、部屋の観察を続けていると自分がベッドの上に座っていることが分かった。
「寝間着も着てるしどういうことなんだよ」
すると突然部屋のドアが開いた。
「シュウ、早く起きなさい」
入ってきたのは30代前半頃の女性だった。いきなりのことに気が動転した俺は何も返事せずにいると「あら、起きてるじゃない。早く降りてきなさい」と言って出ていった。
どういうことだ?あの女性は誰だ?彼女は俺のことをシュウと言ったのか?と、疑問は尽きないがとりあえずドアを開けてみることにした。ドアの向こうには階段が続いており、あの女性が言った「降りる」とはこれのことかと一人で納得し降りていく。
「シュウ、おはよう」
階段の先にはいくつかのドアが続いており、その一つを開けると、挨拶が返ってきた。反射的に「おはよう」と言い、その女性の反応を待つ。
「どうしたの?シュウ、座ってご飯食べなさい」
「あの、聞きたいことがあるのですが」
「え?」
その人はなにかに疑問を持ったようだがそのまま続ける。
「あなた、誰ですか?」
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一つ分かったことがある。
どうやら俺は小学生に転生したようだ。
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