【はやラジ!】第6回 ゲスト:一ノ瀬柚子【メモリーズ4期生/早川はやて】




「みんなー! こんばんはやてー! メモリーズ4期生の早川はやてだよー!」

『こんばんはやてー!』『こんはやー!』『珍しい組み合わせだから楽しみにしてたゾ』 



「今日は『はやラジ!』第6回放送に来てくれてありがとー! 柚子ちゃん先輩のリスナーさんもたくさん来てくれているみたいだねー、枠開始前から待機中の人がもういっぱい! 緊張してきたー!」

『そんなに緊張しないでもろて』『1期生の大先輩とのコラボだからね、仕方ないね』『4期生と1期生はもっとコラボしてもろて』『公式とか大人数コラボではちょくちょくあるけど、個人の少人数でってなると少ないよねー』



「あたし自身、柚子ちゃん先輩とコラボするのはこれが2回目なんだよねー。唯一のコラボも公式の大人数コラボだから、実質これが初めてだし! ……ねぇねぇ、今日柚子ちゃん先輩と何話せばいいと思う?」

『今ここで俺らに聞くのか……(困惑)』『マシマロ募集してたやんけ!』『……笑えばいいと思うよ』『シンジ君!?』『柚子ちゃんミュートしてても立ち絵がキレててこわい』『で、出たー! 一ノ瀬柚子のミュート貫通芸だぁー!』



「柚子ちゃん先輩のミュート貫通芸! 相手は死ぬ! ……あっ、ごめんなさい。速報です! たった今メモリーズ所属、1期生の一ノ瀬柚子さんから早くしろとの催促メッセージが届きました!」

「早川?」

「ひぇっ」

『ひぇっ』『ミュートのはずの柚子ちゃんの声が聞こえた』『これもミュート貫通芸ですか?』『集団幻聴の可能性も……』『一ノ瀬柚子を目の前にしてふざけられる早川はやての胆力』『柚子ちゃんを恐怖の代名詞みたいに言わないでもろて』『一部の人間からはそう思われてそうなんですがそれは』『一部の人間(メモリーズ2期生)』



「えーっと、これ以上は流石に本気で怒られそうなので! それでは今日のゲストの方、自己紹介をどうぞ!」













 『はやラジ!』のゲストに一ノ瀬柚子先輩を招くのは、前々回――茜坂マリ先輩を招いた時から考えていた。

 この業界は所謂『セット売り』じゃないが、仲の良い配信者をやたらとセットにしたがる風潮がある。別にそれが悪いわけではない。早川はやてもそれを利用する為に灰猫ユキへ近づいた節もあるし、視聴者も仲の良い配信者たちが見れて嬉しくないはずがないのだから。



 今となっては『灰猫ユキの相方は早川はやて』派が主流にまでなってきたわけだが、あたしと灰猫ユキの相方枠を争っていた(あたしが勝手に意識してただけ、ってわけじゃないと思う)茜坂マリ先輩は、最近だと一ノ瀬柚子先輩が相方枠として見られている。

 本格的にはやてがユキちゃんの相方扱いされた理由は勿論あのオフコラボがあったからこそだと思うけど、ライバルだったマリ先輩が柚子ちゃん先輩とも仲が良くて、更には柚子ちゃん先輩が今は相方と呼べる程に親しい相手がいなかったのもある。

 1人行動が常の人間が2人以上と行動しているのはどうしても目を引くから、コラボ回数が多かったマリ先輩が相方枠として白羽の矢が立ったのもおかしな話ではなかった。



 柚子ちゃん先輩を『はやラジ!』に招くにあたって、あたしはまずマリ先輩から当たってみる事にした。コラボ相手より先に相方に確認を取るのもおかしな話だが、あたしはどうにも一ノ瀬柚子という先輩が苦手なのだ。そも苦手な相手をラジオに招くな、という話は一旦置いておくものとする。

 マリ先輩からは肯定的、というより楽観的な返事が来た。変な質問とかしなければ怒られないと思うよ、だなんて当たり前だろう。

 他にいくつかした質問も大体が楽観的、どころか適当になってきたところでチャットは切り上げさせてもらった。柚子ちゃん先輩と1番親しいであろうマリ先輩から彼女の印象を聞いて戦いに備えようと思ってたのに、とんだ期待外れだった。まぁ、しないよりはマシだったと思いたい。



 話が長くなったけど柚子ちゃん先輩を『はやラジ!』に呼んだ理由はつまるところ、茜坂マリを呼んだのに一ノ瀬柚子を呼ばないのか、というオタク特有のコンプ衝動みたいなものに駆られたからだ。それにほんの少し彼女と話したい欲があっただけ。……それだけ!













「……メモリーズ1期生、一ノ瀬柚子よ。今日はよろしくお願いします」

「よろしくお願いします!」

「ところで私の特技に後輩への説教っていうのがあるんだけど、体験してみる気はない?」

「ええええええ遠慮しておきます」

「そう? けっこう好評なんだけど」

『好評(一部の人間)』『好評(メモリーズ2期生)』『さっきからメモリーズ2期生を問題児集団扱いするのをやめろぉ! ただ天然と悪ノリ好きが集まっただけなんだぞ!』『柚子ちゃん構ったらちゃんと相手してくれるから悪ガキに懐かれやすいんだよねぇ』『悪ガキ扱いは草』



「お待たせするのも悪いので早速マシマロいきましょ! ……ね? そうしましょ?」

「やっぱりマリとかユキみたいな奴より、林檎とか早川みたいな相手の方が良い反応してくれるわね。うん」

「あーあー聞こえません! それでは、1通目のマシマロはこちら!」




<こんはや!

今回は事務所の大先輩である一ノ瀬柚子さんとのコラボ回ですが、お互いの第一印象と今の印象が知りたいです!>




「第一印象と今の印象ねぇ……」

「あたしはさっきコメントでもあったけど、1期生の先輩方とはあんまりコラボした経験もないから印象の変化とかはそこまでないなぁ。メモリーズに入る前はなんとなく怖そうだな~って思ってたのだけ変わったけど」

「私も早川たち4期生とはコラボしてなかったから以下同文って感じね。まぁ最近少し印象変わったんだけど」

「え? あたし何か柚子ちゃん先輩にしちゃいました?」

『俺、また何かしちゃいました?』『これが今流行りの奴かぁ』『早川はやてが流行りに乗る……』『は?』『は?』『w』『草生える(真顔)』『もしかして「早川」と「はやて」と「はやり」をかけてる?』『解説ニキやめたげて!』



「私は特に何もされてないんだけど、まぁ印象が変わる出来事があっただけ」

「……もしかして、ユキちゃん関係だったりします?」

「さぁ? っていうか、あの件についてユキとはちょっとばかしお話したけど早川とはしてなかったわね?」

「へ!? い、いや~、その、ユキちゃんがあたしの分までありがたいお話をしてもらったってことで、ここは1つ……ね?」


「別に私は同じ箱のライバー同士が裏でケンカしようが不仲だろうが個人の勝手だけど、それを態々配信に乗せて報告する必要があるかって話をしたいわけ。ただでさえこの業界はちょっとした事でも大火事になりかねない程に杞憂民と呼ばれる人種とアンチと呼ばれる人種がいるのに。結果的に燃えなかったからそれでよし、なんて言えるのはそれこそ結果的に燃えなかったからなのよ?」


『お怒り柚子ちゃん』『はやちゃん目閉じちゃった』『うなだれてて草』『うなだれはやちゃん』『柚子ちゃんは問題児のまとめ役が板についてきたなぁ』『メモリーズを問題児集団扱いするのはやめろぉ!』『問題児は一部だけ定期』『話題ループ定期』



「はい、はい……全部柚子ちゃん先輩の言う通りでございます……」

「ちょっと早川、ちゃんと聞いてるわけ? 適当に返事してない?」

「ちゃんと聞いてますって! っていうか、あの時はあたしだって被害者なんですよ! ユキちゃんがあんな手紙用意してるなんて思ってもみなくて……いやもうほんとびっくりしたんですから!」

「確かに、そう考えると早川も被害者と言えなくもないわね……」

「でしょでしょ!? はい、というわけでこの話題はここで終了でーす! 続いてのマシマロいきまーす!」




<はやてちゃん、ゲストの柚子ちゃんこんにちは~

柚子ちゃんといえば、今や1期生の中でも全体のまとめ役というポジションですが、

メモリーズ内で1番に手のかかるメンバーといえば誰でしょう?

ぶっちゃけた話が聞きたいです!>




「はい! というわけなんですが、柚子ちゃん的にはメモリーズ内で1番に手のかかるメンバーといえば……?」

「まぁどっちかよね」

「あら、2択ですか。てっきり1択かと」

『マリちゃん以外におる?』『まぁマリちゃんやろなぁ』『柚子ちゃんとコラボしてる時のマリちゃんすこ』『ふにゃふにゃしてて好き』『茜坂マリと並ぶ一ノ瀬柚子困らせ隊……一体誰なんだ……?』



「1人は言わずもがな茜坂マリ先輩だとして、もう1人は一体誰なんでしょうか?」

「あんたの相方」

「……………………なるほど」

『なるほど?』『これはこれは』『意外……ってわけでもないような』『言われてみれば感』『柚子ちゃん的には手がかかるやろなぁ』『ユキちゃんって意外とポン……』『頭は良いけどポンなのよね』『むしろそこが良い』



「最初は最初で機材の使い方とかよくわかってなさそう、くらいの話だったけど……ある程度付き合いが長くなってきて、あっちも配信とかVtuberに慣れてくると天然が出てきたのよねぇ……」

「でもそこが可愛い!」

『わかる』『わかる』『わかりみ深志(88)』『わかりみ深志(125)』



「はいはいご馳走様です、惚気は私のいないところでやってくださいね~」

「柚子ちゃん先輩キャラぶれてますよ」

「誰のせいよ誰の。ていうか、今更だけどツッコんでいい?」

「はぁ。なんでしょう?」

「私、メモリーズのまとめ役になんてなったつもりないんだけど」

『え?』『?』『もしかしてギャグ?』『柚子ちゃん以外にメモリーズをまとめられる奴なんていないぜ!』『柚子ちゃん……もしかして現実逃避を……!』



「いやいや、え? だってあたしが入ってきた時から、柚子ちゃん先輩が先頭に立って仕切りまくってたじゃないですか?」

「それはしょうがなく……私的にはただ預かってるだけのつもりなんだけど。まとめ役になんて立候補したつもりもないし、押し付けられただけよ」

「あー、えっと、零那先輩……でしたっけ」

「そ。正確には元先輩、かしら。今はもういないし」

『零那ちゃん……』『元気にしてるかな』『そっか、はやちゃん達は面識ないのか』『ゼロとは入れ替わりだったもんな』『零那……俺寂しいよ』『もう1回零那ちゃんの声聞きたいなぁ』『今でもアーカイブとか切り抜き見ちゃう』『元気でいてくれたらそれだけでいいや』



「……なんかごめんなさい。私のせいね、変な空気になっちゃった」

「いえ、気にしないでください。ただコメントを見てると、やっぱり大人気だったんだなぁと」

「まぁ伊達にメモリーズのセンター飾ってなかったわよ、あいつは。今になってなんとか持ち直したけど、急にメモリーズの顔が辞めるなんて大騒ぎだったんだから」

「あたしが入った時は本当に先輩方、特に柚子ちゃん先輩は大変そうでしたね……」

「もう2度とあんな修羅場はごめんだわ。……公式も、何が『零から一へ』よ! かっこつけの気取った言葉使っちゃって……思い出したらまた腹立ってきた……!」

「あ、あはは~。……これ以上は藪蛇じゃすまなそうなので、次のマシマロいきま~す」




<こんはや!

今回の『はやラジ!』は柚子ちゃんとのコラボ、今から楽しみです!

はやちゃんと柚子ちゃん、中々に珍しい組み合わせですがもし次にコラボするならどんな事をしたいですか?>




「はい! というわけなんですが……まず、もしまたコラボを誘ったとして受けてくれます?」

「内容次第としか言えないわね」

「断られなかっただけよし! じゃあ折角なので、今考えたコラボ内容で次にコラボしましょう!」

「いやいくら何でも話が急すぎない?」

「まぁまぁ、善は急げと言いますし。今決めたとしても明日コラボしようなんて言いませんから」

「言われても断るだけだから言いたければ言ってもいいけど?」

『はやちゃんと柚子ちゃんってタイプ違うから何がいいのかな』『はやちゃんはマリちゃんタイプよね、ゲームメインで』『柚子ちゃんは雑談とゲーム半々だからユキちゃんタイプだな』『今日ラジオ枠だったし、次はゲーム希望!』



「ちょっとコメント欄を参考にしましょうか……今日ラジオ枠だったから、次はゲーム枠が期待されてるわね」

「ゲーム! いいですね~! あたし、柚子ちゃん先輩と輪っか持った運動ゲームしたかったんですよ!」

「いや初耳だしやらないし、そもそもオフラインでやるつもりなの一体どこに需要があるのそのコラボは」

「えー!? なんでですか!」

「場所とやる事は違っても毎日椅子に座って作業している人間には拷問以外の何物でもないでしょう、それ」

「だからこそですって! 大丈夫、最初は痛いかもしれないけど段々と気持ちよくなってきますから!」

『※健全な話です』『段々気持ちよく……閃いた!』『通報』『はやちゃんは比較的つよつよだけど、柚子ちゃんは運動のイメージが……』



「とにかく。私は絶対に運動系のゲームなんてやらないわよ」

「そんな! じゃあオフラインで何やればいいんですか!?」

「いつの間にオフラインは確定になったのかしら」

「逆にオフラインでやらないんですか?」

「ねぇ早川、このコラボ始まってから薄々思ってたんだけど、ちょっと馴れ馴れしくなるの早くない?」

「そんな事ないですよ?」

『また柚子ちゃんを弄り隊のメンバーが増えてしまった』『柚子ちゃんが構っちゃうから~』『年下後輩からやたら好かれる柚子ちゃん』『やっぱ人が良いからやろなぁ』『反応が良いの間違いでは?』



「オフラインコラボしましょうよ~! オフライン~! 今ならなんと灰猫ユキも付いてくるんで~!」

「あら、それはお得……ってなるわけないでしょ。大体、ユキに許可取ったの?」

「取ってないけどたぶんオッケーです!」

「それはオッケーとは言わないから。それにユキがオフコラボなん、て……」

『ユキちゃんのオフコラボ計画と聞いて』『柚子ユキ派の俺が通りますよっと』『え!? 今はやちゃんとコラボすればユキちゃんも付いてくるのか!?』『これはコラボするしかねぇ! うおおおおおおおおおおおおお!』『お前どこの誰だよ』『百合の間に挟まるとか許されませんよ……』『俺女だし』『はいはいおっさん』



「いいわ、やりましょうオフコラボ」

「本当ですか!? え、ユキちゃんいります?」

「えぇ、私は早川はやてオフラインコラボに灰猫ユキのセットを注文するわ。こっちからは一ノ瀬柚子と茜坂マリで行かせてもらうけど」

「マリ先輩も!? ……ちなみに許可の方は?」

「今日明日コラボするわけじゃないんだし取ってるわけないでしょう。その辺含めて4人で日程調整してから告知するから、リスナーは首を長くして待っててもらう事になるわ」

『ユキはや+柚子マリのオフコラボとか俺得すぎる』『いつまでも待ちます』『ありがとう』『神に感謝』『※ユキちゃんとマリちゃんにはまだ許可取ってないです』『ゲームでも雑談でも楽しみ』



「えーっと、そんなわけなんで……この件は後日また改めて報告させていただきます!」

「どんなに遅くても3ヶ月以内……今年中にはやりたいわね」

「さてさて、では次のマシマロです――――」





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る