第2話 訓練という地獄
さらに地獄の日々が1年経ち…。
「今日は、あの試験のリベンジよ。まぁ、条件は前と一緒だから今度こそいけるんじゃない?」
「死ぬのは俺だと思って、軽い感じで言わないでくださいよ!」
しかし、地獄の特訓の成果がここで実を結ぶ。
なんと、フェンリーが目の前のドラゴンを倒す。
「わーお、本当に倒しちゃった!」
「えええっ、もしかして負ける前提でやってました?!」
「ん~、何の事かな~?さー、次の訓練行くわよ!」
「えええーっ、無理無理、これ以上無理で~~す!!」
「あ、逃げるんじゃない!コラ、まてー!」
それからまた1年みっちり訓練をした。
いまでは、殆どの魔法も使えるし、普通のドラゴンなら余裕で倒せる。
訓練内容だ?
…あの地獄の日々を思い出させないで欲しい。
強いて言うなら、毎日魔力切れで頭がくらくらするくらいまで魔法を使い続けさせられた後に、なまくらの剣でドラゴンと死(にながら)闘(う)を繰り広げる日々だったとだけ言っておこう。
そんな地獄の訓練をくぐり抜けた今でも、師匠こと魔女アシュタルには全く歯が立たないのだ。
いや本当、バケモンだよあの人。
流石魔王と言われるだけは…ある。
「さーて、そろそろいいかなぁ」
「えーと、何がでしょうか?」
嫌な予感しかしない。
「え、言ってなかったっけ?勇者として魔王を倒して貰うの!」
「えーと、師匠をですか?絶対無理でしょそれ」
「いやいや、私以外の魔王よ!」
「え、師匠以外に魔王いるんですか?というか、師匠がやった方が早い気が・・・」
「魔王なんて、国の数だけいるわよ。それに私は表立って魔王と戦えないのよ。そんな事したら国同士の戦争になっちゃうからね!(メンドクサイ)」
「あれ、今めんどくさいって言った!?…でも、それだと俺がやっても一緒なんじゃ?」
「何言っているの?アナタは人間じゃない。戦争になるとしても、人間とになるから私には関係ないし、魔王に挑む勇者もどきなんて腐るほどいるから心配ないわっ!」
「俺は人間の国が心配なんですが・・・」
「大丈夫、うち以外の魔王を倒してくれたら平和になるわよ!」
「え、師匠は人間の国を襲わないんですか?」
「は?何言っているの?最後にはうちが人間の国も征服するに決まってるじゃない!」
「えええっ!?」
「なーに大丈夫よ、滅ぼしたりはしないから。うちの支配領土になるってだけよ」
「ほっ」
「まぁ、王族は全員粛清するけどね」
「さらっと、怖い事いわないでくださいよ…」
そして、出発。
「さーて、行くわよ!」
「え!?師匠も行くんですか?」
「当たり前でしょう?一緒に行かないと、本物の魔王かどうか貴方にはわからないじゃない」
「確かに・・・。って、師匠が魔王ってバレたらやばいんじゃなかったでしたっけ?」
「何言っているの?直接戦わなければバレないわよ。それに、ちゃんと人間に化けるしね。えい、メタモルフォーゼ!」
「何気に超高等魔術をさらっと使わないでくださいよ」
「なーに?私の才能に嫉妬かしら?嫉妬深い男はモテないわよ~」
「元からモテないからこんな歳まで独りなんでいいですよー。って、そんなのはどうでもいいじゃないですか!」
「もう、怒りっぽい男もモテないわよ?あ、でもでも。勇者になって魔王倒したら絶対モテるわよ!」
「でも、最後は師匠に負けるんですよね?」
「人生って、儚いわよね…」
「何他人ごとみたいに言って誤魔化そうとしているんですか・・・」
こうして、勇者と魔女(魔王)の師弟というおかしな関係の二人は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます