第6話

「ケリーさん、荷物は何処へ置けばいいですか? 」

メルルが聞くとケリーは答えた。

「屋根裏部屋が空いている。ほこりを払えば住めるはずだ」

ケリーは続けた。

「工賃は安いぞ。ただし三食は保証する」

ケリーは椅子に腰掛けると机に向かった。

「よかった。ありがとうございます」


メルルは素直に喜んだ。

「ケリーさん、セリス、ありがとう。」

「でも工房もあんまり余裕ないんでしょう? 」

セリスがケリーに言った。

「ああ、まあ、お嬢ちゃんの一人くらいは食っていけるよ」

「そうですか」


「いつから来ていいですか? 」

「一ヶ月後くらいかな」

「待ちきれません」

「そうはいってもこちらにも都合がある」

そう言いながらケリーは手がけていた人形の修理を再開した。

「そうですね、ごめんなさい」

メルルはケリーの手元を興味深げに見ている。


「メルル、あんまり居るとケリーさんのお邪魔になるわ」

セリスが言った。

「そうね、それじゃ一ヶ月後からよろしくお願いします」

「わかった。ちゃんと両親の承諾を得てくるように」

「はい」

メルルは嬉しそうに頷くと、セリスに抱きついた。

「やったよ、セリスちゃん」

「よかったね、メルルちゃん」


メルルはどうにか工房に弟子入りが許された。

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