第4話

セリスの家に来た。

「こんにちは、メルルです」

セリスの家のメイドさんが答える。

「いらっしゃい、メルルちゃん」

「セリス様、メルルさんがいらっしゃいました」

「こんにちは、メルル」

セリスはドレスを身にまとい、お辞儀をした。


セリスの部屋に行くとメルルは言った。

「ベティちゃんは元気?」

「元気だよ」

ウサギの人形が答える。

「いつもメルルの話をしているの」

「セリス、私人形修理士になりたいの」

「そうなの? 合ってると思うわ」


セリスはそう言うと、ベッドに腰掛けた。

メルルはサイドテーブルの椅子に腰掛けると言った。

「それでね、セリスにお願いがあるの」

「何?」

「アストリア王国に連れて行ってほしいんだけど、難しいかな?」


セリスは考えた。

「私と一緒なら、行けるんじゃないかな?」

「アストリア王国は人形遣いの工房がいっぱいあるでしょ? 弟子入りしたいの」

メルルがそう言うとセリスは難しい顔をした。

「アストリア王国の人形遣いは戦争のために働いてるわ」

メルルは悲しそうな顔をした。

「お人形さんたちにそんなことさせたくない」

「うん、メルルならそう言うと思った」


セリスは言った。

「普通、人形遣いは魔石の力で人形を動かすけど、メルルは人形に魂を宿らせることができるでしょう? 人形はそれぞれ意思をもってしまうじゃない」

「うん」

ベティが口を挟む。

「私、セリスとお話出来るようになって幸せよ。 戦争には行きたくないわ」

「メルル、アストリア王国のはみ出し工房って呼ばれてるケリーの店なら悪くないかもしれない」


セリスがそう言うとメルルが食いついた。

「ケリーの店? どんなところなの?」

「超一流の人形遣いなのに、人形の修理しかしないお店よ」

「そこ、弟子入り出来る?」

「ケリーさんは頑固者だから難しいかもしれないけど、ベティを見せれば話くらい聞いてくれるかもしれないわ」


「それじゃあ、私のこと紹介してくれるの?」

「うん、メルルはベティとおしゃべりできるようにしてくれた恩人だからね」

セリスはそう言って、ベティを抱きしめた。

メルルたちは翌週、アストリア王国のケリーの店に行くことにした。

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