第3話
ポナの街に来て4年。
メルルは16歳になった。
「メルル、将来は何になるの?」
母親が家族での誕生日パーティの時に聞いた。
「私、人形修理士になりたい」
「人形修理士?人形遣いじゃなくて?」
「うん、古くなったり傷ついた人形を直してあげたいの」
メルルがそう言うと父親は厳しい顔で言った。
「人形修理士は人形遣いの工房に入って修行をしないといけないぞ」
「それに、人形遣いではなく修理だけでは、うまく食べていけるかわからないぞ」
父親はそう言って、難しい顔のまま、ごちそうを一口食べた。
「メルル、あなたは実際にどうしようと思っているの?」
母親が聞いた。
「セリスのお家は有名な商人でしょう? アストリア王国にも行ってるって」
「アストリア王国には人形遣いの軍隊があるし、工房も多くある」
父親が言った。
「一度、セリスにアストリア王国まで連れて行ってもらって紹介してもらおうと思ってるの」
「たしかに、ポナの街ではメルルの人形修理の腕は認められてきてるけど」
母親が心配そうに言った。
「アストリア王国は一流の人形遣いが集まっているから認められるか難しいと思うわ」
父親も母親も、メルルが人形に魂を込められることは知らないままだった。
「でも、行ってみたい」
「わかったわ、セリスさんに迷惑をおかけしないように気をつけてね」
こうしてメルルはセリスにアストリア王国に連れて行ってもらうため、相談に行くことにした。
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