ダメ男の話
「……嘘でしょ!? あの人が浮気した挙句に子供まで作っていたなんて!」
「……」
「ねぇ! スリムトは本当は何処へ行ってるの!? 仕事なんて嘘なんでしょ!」
使用人が重い口を開け、私へ話した事はスリムトが愛人の家へ行っているという事だった。
普段から仕事と表し嘘を吐き、父上が贈った屋敷へ遊びに行っているらしい。
しかも、その事は父上も知らないそうだ。
「全くもう……行くわよ。案内して頂戴」
「行くって何処に……もしかして、お屋敷へですか!?」
「それ以外ないでしょ、それとも何か問題でも?」
スリムト、貴方がどんな生活をしようと、私がそれを邪魔するつもりはありませんでした。
ですが、貴方が仕事と偽って浮気をし、挙句に子供まで作る様な人なら……今までの関係を見直す必要がありそうです。
それが貴方の為にもなるのですから。
「その……旦那様が浮気して子供がいたとなると、マルセーニャ家の名に関わると思いまして」
「だからこそよ。浮気を原因に離婚すれば、父上にもスリムトの周りにいる人にも迷惑が掛かるわ。そうならない様に穏便に済ませたいの。まぁ、今更スリムトを許そうとは思わないけどね」
「そうですか……分かりました。準備してきますね」
浮気の調査がバレない様に変装し、馬車に乗り向かったのは、浮気の現場である屋敷。
私の家に比べれば小さいけれど、それでも立派なお屋敷ではある。
仕事の為と言って手に入れた屋敷で、浮気した挙句に子供を作るだなんて……。
屋敷の前で暫く待つと、浮気相手の女が堂々と現れ、表にあった馬車に乗り込んでしまった。
「あの服装は平民よね。なのに、あんな立派な馬車に乗ってるなんて……後をつけて頂戴」
バレない様にコッソリと、浮気した人が何処へ向かうのか調査する。
すると……彼女はとんでもない所に向かっていた。
「嘘でしょ!? スリムト以外とも浮気をしているっていうの!?」
浮気相手の女が着いたのは、とある貴族の屋敷。
そこの主人であろう人が、浮気相手の女と馬車を降りたのを見てしまう。
あまりのショックで気絶しそうになり、私の頭は真っ白になった。
「そんな……うそでしょ……今日は結婚して一周年の大事な日なのに、スリムトはあんな女と浮気してたなんて……」
スリムトが今日という大事な日に家にいれないのも、仕事があるから仕方ないと思っていた。
せめて、仕事から帰って来た夫を労わろうと、その為に準備をしてきた。
それなのに……こんな光景を見る事になるなんて……。
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