館の秘密
また…フラグ立ったぁ!
今回こそ絶対だ。『彩子荘』ごときのレベルじゃない!! まごうなきホラー展開だ!
『自由に行動していい』なんて、やんごとなきアルマによる…ブラフだぁあ!
「ユウトくん、大丈夫かい? 泳ぐ視線がホラーになってるよ?まさか、
––– ホラーは散々ですよ!? 何故ツカサ先輩はこんなに肝が据わっているのですか? 僕は自分に
「ユウト、ウチらは分かれて調査する。その方が効率いいからな。夕方あてがわれた部屋に集合や、十分注意しいや!」
カアク達の真剣な眼差しに、状況は
「それと…万が一の場合の為、『コレ』を渡しとく。無くしたらアカンで?」
そういうと、カアクは僕に赤い結晶体のカケラを握らせた。
「カアクちゃん? これは?」
彼女達は僕の問いに答える事なく、姿を消した。
「なんだよ…カアクのやつ」
僕の悪態にリラは「神といえど、予想外の状況に余裕が無い感じね。ユウト、私達もできる事をしましょう」と、
その後、僕達は庭で踊り続ける住人達に話を聞いて回るもしかし、先程の『少女』の様に言葉を話す人物はおらず、何の情報も掴めないままでいた。
そんな中、ハムが尻尾を振りながら小さく吠える。どうやら、ついて来いとでも言っている様だった。
小走りのハムの後を追うと、ちょうど館の裏手側、そこには鉄格子の扉に南京錠がかけられた地下への下り階段が暗い口を開けていた。
「なんだか不気味だね。鍵が無いと入れない…か」
鉄格子を揺らす僕を不意に地下から流れ出す空気が包み込む。
その冷気を含んだ腐敗臭に僕達は鼻を手で覆った。
「な、なんなの?このニオイ… 気持ち…悪いわ」
リラと同様に表情を歪ませながらツカサ先輩は、耳を垂らす怯えた様子のハムに「ここには何があるんだい?」と、尋ねる。
ハムの『クウ〜ン』という悲しげな鳴き声からも、この先に恐るべき事実が隠されているのかもしれない。
「そろそろ日も暮れるわ。一旦、ナロゥ達と合流しましょう」
リラの一言で、僕達は部屋に向けて歩き出そうとした時…
『ここに…来ないで』
地下から白い作務衣の少女の声が聞こえた気がした。
•
•
•
「待っていたぞ、リラ」
僕達が三階に準備された部屋に入ると、既にカアク達の姿があった。
そして、苦々しく語るナロゥの話は、僕の理解が及ばない内容だった。
「ここの『
ナロゥはそう言い終えると、『クソッ!あのアルマって女、何考えてるんだ!?』と悪態をつく。しかし、その気持ちは僕にもよくわかる。 ナロゥの話が本当であれば、それは
「じゃあ、『巣』はそこにあるんじゃない?」
リラの言葉に、リスタが「そんなに上手くいかんのじゃ。やはり
……僕が鉄格子の扉の前で聞いた声は空耳では無かった。
「彼女を…助けなくちゃ」僕の思いが口から溢れる。しかし、眉をひそめたカアクが絶望の事実を告げた。
「あの子は…手遅れや。もう『脱皮』が始まっとる…あの姿を見るのは可哀想や」
……脱皮?人間が!?
僕の疑問を察した様にカアクは続けた。
「ユウトは『ロブスター』を知っとるか?アレは脱皮をしても『テロメア』が短くならんのや。つまり…理論上不老不死って事になる…あの女『アルマ』は、それを人間の遺伝子に組み込んで実験しとるんや…」
「テロメア…寿命遺伝子の事ね。どおりであの紋章…確か…ロブスターの脱皮って内臓ごと『全て』入れ替えるのよ。つまり…」
「そうや、リラちゃんの言う通り『脳』まで変わってまう…つまり…別人になってまうんや。ここの庭で踊ってる人みたいにな」
カアクに続けてシブは細い顎に指を当てて呟いた。
「だから
…アルマ…なんて事をしているんだ!?
言いようのない怒りと恐怖を覚える中、隣を見るとツカサ先輩も痛いほど拳を握りしめていた。それを心配そうに見つめるシブは「ツカサさん、私達でこんな事を阻止しないとね」と、語りかけるが…
ツカサ先輩は何も聞こえない様に…
「やっと…見つけたぞ…」と拳が震える。
僕が見たことがない先輩の表情、その…瞳の中には狂気が宿っている様だった。
【次回予告】
なんだか…コメディーじゃ無くなってきたね? 色々大丈夫かな?
ツカサ先輩も不穏な様子だし…
それにしてもなんて恐ろしい実験なんだ!?
ユウト達は果たして無事に目的を果たせるのか!?
次回!『突撃!館の晩御飯!』
お楽しみに!!
––– 僕の
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