排水の神

 ……僕たち、初対面ですよね?


「それに、何!?そのストラップ?もしかしてオタクなの?」

 彼女は僕が鞄にぶら下げている『埴輪ハオちゃん限定版、覇王モード』を指差さす。


 ……あのぅ、あなた「誰ですか!?」

やっと声が出た。


「わっ!喋った!?」

「口がついてるんだ!喋るよ!」

僕の中に怒りが込み上げ、つい言葉を荒げてしまう。


「な、何よ! アニメなんて所詮、最後ファイナル幻想ファンタジーなんだからっ! 現実を見なさいっ!」


 これ以上は僕の精神が、もちそうにありません…誰か、僕に『レイズ』を…


「リラちゃんの言う通りやな」

うぉい!カアクよ、誰が『デス』を上乗せレイズしろと…

 ––– ん? ちゃん?


「そうだよ、彼女が『大御 リラ』そして、俺のパートナーって訳」

 そう言って、いつの間にか僕の肩に腕を掛けてきたのはイケメンの青年。

 その青年に向かってカアクは手を振り、「あっ!ナロゥの兄ちゃん!」と、駆け寄っていった。


 彼は邪神の兄様あにさま邪兄’sジャアニーズですか。うん、カッコいい…

 それより、『彼女』がリラちゃん?

 

    ……今、僕は理解した。

 訪れる天啓!もしくは僥倖!

これが噂に聞く『ツンデレ』というものか! 世界サクシャ采配かっ!?


 遂に始まったんだ、俗に言うご都合主義!ハーレム展開の入り口ッ!!

 僕は意を決して、生まれて初めて同世代の女性に語りかけた。

 「リラさんだよね。僕、ユウト。なんだか変な事に巻き込まれちゃったけど、これからよろしくね」

 そして、自分の持つ最大限の爽やかさを醸し出し、右手を差し出した。

 きっと、『仕方ないわね』とか言って頬を染めながら握手してくれるはずだ。


「キモい、近寄らないで」





 ––– この世は不条理に満ちている。

そう、僕は知っていたじゃ無いか。

『持たざる者』は『持つ者』に敵わない現実を。

 だが、「カアクちゃん? 優しいヒロインと仰った筈ですが…」


「……記憶に、ございません」

出たよ!たかだか数話前の話だよ!?

そんな記憶力の無い神様政◯家に任せているこの国の未来とはっ!?

僕の感情は過激マユコ的に暴発した。

「このハゲぇ〜!!話がちがうだろぅ!!」


「ハゲちゃいます!フサフサしてますぅ〜」


 そんなやりとりを眺めていたイケメン兄様のナロゥだったが、「お楽しみのところ、申し訳ないけど…… 裏側世界バックサイドに引き込まれた。来るぞ!」と、真剣な表情を僕たちに向けた。

 彼の言葉に辺りを見渡すと、いつの間の事だろうか、僕達を取り巻く世界は人の姿が消え、薄紫色の霧掛かった世界に変貌を遂げていたのだ。


 その様子に、『ふぅ』とリラが一息つくと、続けて呟く。

「ギルティ…『ショウ』 来なさい、ナロゥ!」

 彼女の手には青いメダルが握られていたが、その掛け声と共に眩い光を放つと、青い銃へと形を変えた。

 そしてナロゥはその銃に吸い込まれた。


 なんか…カッコいい。そんな僕の呑気な思考の中、カアクが叫ぶ。

「ユウト!アンタも早よ罪を!!」

気がつくと、僕達は既におびただしい数のイヴェに囲まれていたのだ。

 だから、僕は焦ってしまった。

「びゅうてぃ、さが!」

確かに、佐賀の自然は素晴らしい。

それに比べて、僕は恥ずかしい…


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

佐賀県の気概に満ちたHPをご存知ですか?

『ロマンシング佐賀』で検索してみよう!

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


       【次回予告】

 遂に物語はシリアスな展開へ!

迫るイヴェとは別の『何か』…

ユウトとリラの運命はっ!?

  次回!『おシリアス』

            お楽しみに!!


––– 僕の歴史に、また新たなる1ページ!

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