罪を背負いし者

   〜前回までのあらすじ〜 やで。


 知性と美貌を兼ね備えた女神『カアク』に選ばれし少年『ユウト』…彼は秘められた力に目覚め、魔王『メルセ=デス』に挑む覚悟を決める。

 カアクは誓う…例え自分が犠牲になろうとも、生きとし生ける者の為に平和な世界を取り戻すと…

 たった一つの真実に立ち向かう!

見た目は美少女、知能は全能の女神…

その名はっ

 「ぐっふぅう!!!いいところやったのにぃ!


 僕は、たまらずチョキをカアクの鼻の穴に打ち込んだ。

「……なんだか、怪しい雰囲気だったので無理矢理止めました。それに、色々突っ込みどころがあり、気が付けば指を突っ込んでいたんです。すいません…」

 

「あんたなぁ!ウチは神様なんやで!?こんな事してしょされたいんか?」

 イヴェと呼ばれた敵は『神の怒りカアクの暴力』により殲滅された。

僕の手にあった刃は元のメダルに形を変え、再び目の前に姿を現したカアクは鼻を摩りながら「でもなぁ、中々ええ感じやったわ。ユウトとウチの相性バッチリやね。ぽっ♡」と、頬を赤くする。


「何が『ぽっ♡』だ!それに『オノマトペ(注1)』を口で語るな!」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

(注1)オノマトペ

自然界の音・声、物事の状態や動きなどを音(おん)で象徴的に表した語。音象徴語。擬音語・擬声語・擬態語など。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「ところでカアクちゃん、魔王って何?名前も色んな意味でヤバいし、そもそも僕は協力するって一言も……」

 その言葉に…そう、奴です。

日本が誇るRPGの原点。国民的ザコ敵!その名もスラリン!

 奴の様に赤く燃え盛り、大きく裂けた口元で、カアクはこう言ったのです。


「契約不履行やと…罰金一億円やなぁ?

ほれ、契約書に書いとるやろう?」

彼女の指差す先、僕のメダルのフチに!?

『途中で放棄した場合、契約元の指示に従う事』と刻印されていた。


 新手の詐欺…だ…全てが理不尽だ!


「…と、いう訳や!これからも宜しくな。

ユ•ウ•ト♡ 早速やけど…」

 そう言ってカアクはこれからの事を話し始めた。

 まず、魔王というのは冗談で、ここは現実とLINKしている世界の裏側バックサイド?だという。

 

 そして今しがた戦ったイヴェとは、問題となっている『怨怒症エンド』の原因にあたるらしい。

 「イヴェの毒素は、見ての通り充満しとる。それが、現実世界に流出しとるんや…」


 ふと思う、「カアクちゃん、僕、普通の人間ですが…この状況大丈夫なんでしょうか?」

 その問いに対し帰ってきた答えは、「ウチと契約した時点で大丈夫や」という実に曖昧なものだった。


「そんな心配性なユウトに朗報や!『物語』には優しくてプリチーなヒロインが必要やからなぁ。とっておきの別嬪べっぴんさんを用意したるわ!」

 ……強引がここまで来れば立派な侵略ですが、悪い話ではない様です。

 既に諦めていた夢、初めての3次元彼女が出来るのかもしれません。

 更に、アニメとかでヒロインといえば、それはそれは可愛いに決まってます。


 しかし、カアクちゃんが発した次の言葉に、僕は耳を疑う事となりました。

 彼女は言いました…

「ヒロインは……『オオゴリラ』やっ♡」


       【次回予告】

 皆様お待ちかね!? ヒロインがいるってさ!

 一抹の不安を胸に立ち上がれ! ユウト!!

  次回!『現実とは』

            お楽しみに!!


––– 僕の歴史に、また新たなる1ページ!

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