力の行方と…

「どうぞ、不束者神ふつつかものですが、これからも宜しくお願いしますわ……えへっ♡ なんか照れるわ…ほんまに…」


「……照れるな、そして勘違いされる様な言い方はしないでくれ。僕は3次元を既に諦めている。それと…不束者だけでなく卑怯者と乱暴者の三冠達成トリニティハイブリットおめでとうございます。」

 わかっていたが、彼女は人の話を聞く耳は持ち合わせていないのだろう。

 目を輝かせながら、「ウチらの門出を皆んなが祝福してくれてるみたいやわ♡」と、両手を広げてクルクル回るカアク。

 お花畑の中ではさまになるだろうが、紫色のモヤが掛かった不気味な店内……更には呻き声の様な音響が空気中を震わせているこの状況…

 これを祝福という彼女はどうかしているのだろうか? いや、どうかしてる。


 そんな呑気な思慮の最中、『それ』は唐突に姿を現した。

 カアクの言っていた『敵』なる者…

大きな一つ目の紫色球体…その周りには小さな触手が蠢き、先端からは紫色のガスの様なものが時折噴出していた。

 それが1…2…4体と、増殖し始め気付けば僕達を取り囲んでいた。


「あかんっ!IVEイヴェや!ユウト、契約行使するんやっ!!」

 仕事を背中で覚えろ教えて貰えるとは思うなよと言う社風は良く聞きますが、これも中々酷いですよカアクさん。

「契約行使って!?」


「メダルを握って『罪』を認めるんや!ユウトは『性』人との交じわりコミュニケーションの希薄さや!」

 カアクがイヴェと呼んだ化け物達がフワフワと近寄ってくる。悪い予感と悪寒しか感じられない!

「意味がわからん!具体的にっ!」


「悔い改めよ!『サガ』の有罪ギルティをっ!」そう言い掌を僕に向けるカアクちゃん。


「…ぎるてぃ? さが?」そう発した刹那、手の中のメダルは真紅の刃と形を変えた。

そして、カアクは『よっしゃ!』という掛け声と共に、その刀に吸い込まれてしまった。


「ええっ!?カークちゃん!?何がどうなって……こうなった!?」明らかに狼狽ろうばいする僕の頭の中に、彼女の声が響いた。

『これで、やっと干渉出来るわ!さて、コイツらを倒すんや!』

 

 ここから先は…あまり語りたくないのですよ……と云うのもですね、真紅の刃と化したメダルと自称神様の暴れっぷりは凄まじく、

イヴェをバッタバッタ切り倒して行ったんです。

 僕はというと、その刃に掴まるのが精一杯で、暴れ馬に引き摺られる罪人の様に、それはそれは哀れな姿だったのです。

 時折頭の中に響く『不浄なる者達に告ぐ…シニサラセやぁぁ!

我が断罪の刃をもって無に帰るのデスこのゴミムシどもめぇぇ!』というカアクちゃんの声に、僕はとんでもない邪神と手を組んでしまったのだと、実感したのは言うまでもないでしょう…


       【次回予告】

 敵を撃破したユウトとカアク…

そこに明かされる真実と契約の代償とは!?

  次回!『罪を背負いし者』

            お楽しみに!!


––– 僕の歴史に、また新たなる1ページ!

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