出会い

お呼ばれの席から離れ城を探索していれば、小鳥の声や猫の鳴き声が聴こえる


聞こえる方に向かえば、後ろ姿だけど黒髪の男の子が小鳥や猫に囲まれていた。


おとぎの国のお姫様の様なその光景に思わず見惚れたが

盗み見は良くないよねそう思い離れようと足を出すと音を出してしまった

ガサ


「だれ?!」


小鳥や猫は逃げ男の子が私の方を振り向く


「ごめんなさい!わざとではないんです!とても綺麗な後ろ姿だと思って!」

「綺麗な後ろ姿?」

「お詫びにこのクッキーを!出来立てホヤホヤなんです!」


ハンカチで包んであるクッキーを男の子に差し出す


「僕クッキーは食べれなくて、、」

「あ、あ、あ!!違うんです!あの甘いクッキーじゃなくて砂糖が入ってない苦めなクッキーです!!」

「え?なんで?」

「なんでとはなんで?!」


もう動揺しすぎて会話ができない

泣きそう


「ははは!!大丈夫だよ?落ち着いて?」

目元を隠れる位まで髪の毛が長い為顔はよく見えないが大笑いされていることはわかる。


「あの、甘いの苦手ですよね。このクッキー良かったら」

「なんで、僕が苦手なの知ってるの?」

「えっと、それは」

「ガーネット!こんな所にいたの?」

「ユーリ貴方すぐ逃げるわね」


私のお母様とあともう1人は男の子のお母様かな?


「まぁ!ランセリア夫人」

「あらオルタンス夫人」

「ランセリア夫人にに名前を覚えて頂けるなんてとても嬉しいですわ!」

「そんな、当たり前の事ですわ」


上品に笑い合う2人を尻目に男の子を見てみると、さっき渡したクッキーを見つめていた。


「ユーリ、貴方甘いもの苦手よねどうしたのそれ?」

「この子に頂いたのです」

「ガーネット苦手な物を渡したの?」

「えっと、あの」

どう答えようか迷っていると男の子が徐にクッキーをひと齧りする。


「本当だ!甘くない、君の言ってた通りだ美味しいね」

長い前髪からチラリと見えるその笑顔はとても綺麗で


なるほど、お嬢様じゃなくて天使様なんだ!


「初対面よね?何故ユーリが甘いのが苦手ってわかったの?」

ランセリア夫人が私の身長に合わせる様に屈む


「あの、えっと実は最初の挨拶の席でみんなと出されているお菓子の種類が違ってるのが気になって、それとなく見てたらずっと甘いものは口にせずに少しのパンを食べてるのを見てなんとなく苦手なのかなと。それで、シェフの方に甘くないハーブやチーズでクッキーは作れないかと相談したんです。そしたら焼いて下さって。」

「まさかあの一瞬の席でそこまで見たの?!」

「・・・はい、それで折角なら食べて頂こうと思って持ち歩いてました。」

「オルタンス夫人、この子は天才なのですか?」

「残念ながら学問に置いては普通なのです、ただ昔から周りの空気を読むのが上手といいますか」


「僕の為に作って持ってきてくれたの?」

「だって、人と一緒に食べた方がもっと美味しくなるって絵本で読んだの。だから君と食べたら美味しいかなって」

「う、うわぁぁぁあああん!」

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