第6話

        〜遡る事、一年前〜





あるお昼の時間、学園のテラスで婚約者のユーリをいつもの様に来るのを待っていた。


「にしても、今日は来るのが遅いわね」

いつもだったら授業が終わり真っ先にテラスに来てるのに。


「ガーネット!!!!ガーネット!!!」


声がする方に振り向けば物凄い勢いでユーリが走ってくる。


「ど、どうしたのユーリ」

「一回!一回だけ婚約破棄させてくれ!そしてすぐ婚約しよう!結婚しよう!」


息を切らしながら、私の肩に手を置く

その手は震えていて


「とりあえず、椅子に座って落ち着いて?そして理由を聞かせて?」


ユーリの前に紅茶を置き落ち着くのを待つ


「ガーネットはエレナ・ランセット嬢を知ってる?」

「確か、男爵から養子になり転入してきた人よね?」


色んな意味で有名な男爵エレナ・ランセット

転入して早々に次から次へと男を誑かしている。

所詮は噂だろうと気にしていなかったが実際にエレナ嬢が男性の肩に頭を置くのを見た。

それが一人だけだったらわからなくもないがコロコロ変わる男性にこれは本当だと信じざるおえなかった。


そして次々と落ちていく学園の男性達。


貴族が通える学園の為、その中には第二殿下や宰相の息子、騎士団長の息子、大規模商会の息子やらなんやら

全員が落ちた


しかも全員が婚約者がいるにもかかわらず


貴方達それはないと思う


「それで、そのエレナ様がどうかした?」

「今エレナ嬢が次々と学園の生徒を虜にしてるのは知ってるよね?


第二殿下とかあともろもろの王宮に将来支える者が仕事や、接待、婚約者をほったらかすとは何事か?!


って激怒で、宰相や騎士団長も凄い怒ってて


商会のところはこの国を敵に回すと商売にならないってわかってるから便乗してるよ」

「それは、なんとまぁ・・・」

「それで縁を切るって突然そのような事をしてしまうと混乱させるからこの一年様子を見てそのままだったら再教育だけど、何か大きな事をしたら追放だって」


余程第二殿下の信頼がないのか殿下の側には影がいるそのため、随時様子を見られている。

常に殿下の周りにいる者も必然的に陛下の耳に入ので、それで宰相や騎士団長もご立腹の様子。


殿下はそれに気づいてはいない、つまりやりたい放題している訳だ。


マリア様達の為にどうぞエレナ嬢と愛を育んで、追放されてほしい。


「あれ、でもなんでユーリがそんな極秘な事知ってるの?」

「実は陛下直々の命で、僕からも陛下達を見張っていてほしいって言われて。

多分僕にも近づいてくるから、どこまでエレナ嬢がやらかすか見てて欲しいんだって」

「あらー、それはこれから大変ね。それでは、こうやって一緒にお食事する事もなくなるのね」


私とユーリはこの学園に入ってずっと一緒にいた為突然引き離されると思うと少し寂しい。


「それは大丈夫だよ!!ガーネットとの時間がなくなると僕死にますがって伝えたら、じゃあ自分のペースで構わないって言われたから!!これからも一緒に食べようね!」


ニコニコと笑うユーリが私の手を握る。

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