第6話 勧誘
そうして全組の模擬戦が修了した。
「それじゃあ、これから生徒会役員の候補者を発表するっす。蒼井 零、有栖院 楪、伊集院 樹の3人っす。仕事の説明などしてから決めて欲しいんで、この後生徒会室に来てもらうっす」
もちろん、そんなことすれば誰も入らないこともある。
実際、去年の三年は1人もいなかったので、楓威が生徒会長二年目であった。
◇ ◇ ◇
「ねぇ、きみ。蒼井 零君だよね?」
声をかけてきたのは、爽やかな美丈夫だった。
「そうですが……」
「あ、僕は
だよ。風紀委員だ。」
「そんな人が自分に何の…?」
「いや、そんな警戒しなくてもいいじゃないか。
要件は一つ。生徒会に入らないで欲しいんだ」
警戒心バリバリだった零に苦笑しながら言った。
「最初から、そのつもりでしたが、理由は?」
「生徒会と風紀委員って仲が悪いんだよね。」
「で、相手の戦力増やしたくない、と。なるほど…」
「そういうこと。じぁね」「あ……」
言うことだけ言って、行ってしまった。
◇ ◇ ◇
零は、香織を連れて生徒会室にやってきていた。
「私も一緒に来て大丈夫なのでしょうか?」
香織は、かなり不安そうだった。
「問題ないだろ。もともと従者って設定だし、」
そう言うと先に中に入っていった。
すでに部屋に全員揃っていた。
「一番遅いっすよ、零君。ん?香織ちゃんは、呼んでいないはずっすよ?」
「従者です。特に問題ないでしょう?」
そういった瞬間に樹ににらまれた。
「ま、確かに問題ないっすね。んじゃ、さっそく説明始めるっす。仕事は簡単で、各所に設置されている目安箱の要望を承認する、しないを話し合うって感じっす。行政権を持っているって言えばわかりやすいっすか?」
「立法権、司法権
つまり校則変えたり、校則破った人に罰与えたりは、どこが持っているんですか?」
「司法権は風紀、立法権は風紀、うち、教員の過半数が賛成したら校則変えれるよってかんじっす」
「こんなんっすけど、どうっすか?生徒会的には、零君と楪ちゃんには、入ってもらいたいんすけど…」
焦ったように樹は聞いてきた。
「なんで僕じゃなくてこいつなんですか!」
「そりゃ単純に強いからっすね。楪ちゃんの、といか結界魔術全てなんすけど、防ぐにはそれ相応の力がいるんすよ」
結界魔術は、半径何メートルという範囲に自身の魔力を放出し続けるというものだ。なので、
無制限に魔術を打てるし、相手を制限できるのだ。消費は、半端でないのだが。
それを防ぐには、纏魔と呼ばれる規模の小さい結界魔術のようなもので耐えるか、結界魔術を上書きするかの二択しかない。
ちなみに零は前者だった。
「そんな訳で零君、きみより強いっす」
「俺は、やる気ないですよ、生徒会なんて」
「そっすか、楪ちゃんと樹君は?」
「やるに決まってます」
「私もやります」
「決まりっすね。じゃ、解散」
その後三人はでていったのだった。
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