第5話 模擬戦②

零たちの試合している時、香織は楓威と一緒にいた。

「めっちゃいい試合してたっすね、二人とも」 

「そうですね、まさか《結界魔術》が使えるとは思いませんでした」

「本当どうやって耐えたっすか、あれ?」

心底不思議そうにそう呟いた。

「さあ、たまたまなのでは?」

「そんなわけないっすよ。《結界魔術》防ぐなんて、どんな偶然っすか」

「知りませんって。」

「ふぅん、そっすか。まぁそういうことにしておくっす」

楓威はそんな説明で納得したのだった。

「もう行ってしまうのですか?」

「ま、注目してた試合もおわったっすからね。これからもよろしくっす。香織ちゃん」

そういって楓威はさっていった。

◇◇◇

零が闘技場の外にいくと、すでに楪がまちぶせていた。

「あれ、どうやったの?」

「あれって?」

「惚けないで。私の結界魔術のことよ」

「そんなこと言うとおもうのか?黙秘する」

実際零のやったことは単純で、並列処理で魔力をただ纏うことと、最上級水属性魔術で相殺した、といったかんじである。

「なら、魔術に関して教えなさい」

「何故?そもそも仲間どうしで切磋琢磨するのが、学院というものだろう」

「その理論なら、あなたもクラスメイトなんだから、仲間でしょ。それに、自分より強い人に教えを乞うのは当然じゃない」

「はぁ、んじゃあそれでいい。、な」

「フフッ、それでいいわ。これからよろしくね」

言うことだけ言うと、どっかに行ってしまった。

「全く身勝手なやつだな」

零は思わずそう溢した。

◇◇◇

香織の模擬戦相手は、伊集院 いつきだった。

「あなたはクラスメイトの泉 香織さんですね

あなたに言いたいことがあります。















初めて見た時から好きでした。付き合ってください」

「却下します」

即答された樹だった。

「なぜですか!?」

「私は零様の下僕ですので、」

「な――!?あの男が―――許せない」



「静粛に、これから模擬戦を始める。」

3…2…1…0

ブザーが鳴り響いた。


 二人とも《加速》を用いて、近接戦をしていた。

樹は一撃の威力で、香織は速度で勝っていて

互角な戦いをしていたが

「《放出系=風(初級)=通常魔術》カマイタチ」

つばぜり合いになったとき、樹が斬撃を放ち、香織を吹き飛ばした。

「この試合は、なんとしてでも勝たせてもらいます。」

そのまま追撃を行い、香織の首筋に剣を突き付けた。

「まいりました。」

「勝者、伊集院 樹」

審判がそう宣言して試合は終了したのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る