第4話 模擬戦 ①

※模擬戦当日

 零は、これから試合が行われるであろう闘技場の中で、他人の試合をみていた。

ちなみに、香織は有栖院 ゆずりはの警護(ストーカー)をしている。


「久しぶりっすね。今日は、1人っすか?」


「えぇ、入学式以来ですか。香織は用事で外してますよ」


「あの子香織ちゃんって言うんすか。自己紹介忘れてたっすからねぇ。あ、名前は桐ヶ谷きりがや 楓威ふういっす。これでも生徒会長っすよ?」


どや顔でこの自称生徒会長は、そんなことを言い始めた。


「不思議な名前ですね。――生徒会長がそんな格好で大丈夫なんですか?」


零は、呆れたように聞いてきた。


学院うちは、制服のアレンジなんて自由っすから。ま、風紀委員がうるさいんでほどほどにした方がいいっすけど。」


「きをつけます。」


色々突っ込みだらけだったが、零は素直に了承したのだった。


「そう言えば君の名前、まだ聞いてないっすね」

「蒼井零と申します。以後お見知りおきを。」

そんな硬い言い回しをする零をみて、楓威は笑いだした。

「ぶっあはははは、別にそんな固くならなくてもいいっすよ?っとどこいくっすか?」

「この次、試合なんで会場にむかいます。」

「そっすか、ま、応援してるっす。」


◇ ◇ ◇

零が入場したとき、すでに対戦相手である有栖院 楪はそこで待っていた。

「あなた、蒼井 零君ね?」

「御三家の者に名前を覚えてもらえているとは光栄だな」

「あなたしか、自己紹介してないもの」


それから審判が仕切り始めた。


「勝敗は、敗北宣言、失神、そして、張ってある障壁がきえた時の負け。時間無制限、スタートの合図はこの、アラームだ」


3…2…1…GO


「《付与系 = 水(中級) = 遅延魔術》」


「《放出系 = 火(初級) = 遠隔操作》」


二人同時に術式を構築した……が、


火球ファイヤーボール


組み合わせた構成の差によって楪が攻撃してきた。


「――――!!」


「《放出系 = 水(初級) = 高速発動》 水壁ウォーターウォール


「へぇ、今のを防ぐか……なかなかやるわね。」


楪はそう驚いたように溢した。


「なら、近接戦闘これはどうかしら?」


「《付与系 = 無(初級) = 高速発動 》加速アクセル


彼女は剣を構え、ふみこんできた。


液状化リクイファクト


零が、戦闘開始時に仕掛けておいたトラップを発動させた。

今度は楪が驚く番だった。沼の出現によってあしが封じられたのだ。もちろん追撃する零。

だが、、、、

「《放出系=火(上級)=遠隔操作》炎弾ボルケニック-フレア

《付与系=火(中級)=高速発動》炎纏フレアウェア

 楪の並列処理によって零は吹き飛ばされ、トラップも蒸発させられた。

 並列処理とは違う魔術の術式を同時に構築していく技術だ。


「少し舐めてたようね。ここから本気でいくわ。」


「《火属性結界魔術》煉獄世界インフェルノ


結界魔術とは、自身の領域(結界)内に属性、もしくは固有魔術を転写し、タイムラグなしに固有魔術、通常魔術が扱えるというもの。

 結界内では、術者はタイムラグがなくなるが、相手は、逆にタイムラグが大きくなる上固有魔術の発動が不可となる。


「これで終わりよ。爆轟デトネーション


皆がこれでおわりだとおもったが、


「あぁ~、負けだ、負けだ」


障壁も割れておらず、無傷の状態ででてきた。

だが、零は片手を挙げこう発した


敗北宣言リザイン」と。


「勝者 : 有栖院 楪」


ブザーの音が鳴り響き試合は終了したのだった。

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