第2話 自己紹介と

入学式は特に何事もなく終わり、LHRとなった。


「はじめまして。これから1年間このクラスを担当する羽鳥はとり 雄志ゆうしです。魔術関連の授業を全て持ちます。よろしくお願いします。」

 そう自己紹介したのは、気弱そうな男性だった。


 魔術学院の教諭は、魔術協会に加盟している者がほとんどで、どちらかといえば研究者気質の者が多い。羽鳥教諭もその1人なのだろう。

 

その後、零達は宿舎のことや今後のガイダンス等を受けていった。


「さて、これであらかた説明が終りです。今日はもうこれで終わりですので自由にしてくれていいですよ」


 そういうと教諭は、教室を出ていってしまった。


「じゃあ、みんなの親睦を深めるためにも、自己紹介をしよう。初めて出会った人がほとんどだろうしね。」

 1人の生徒がそういうとほとんど全員が賛成した。


「それじゃあ、君から始めてくれ」


「ん?あぁ、蒼井 零だ。よろしく頼む」

 それだけ言うと、零は座ってしまった。

 無論、クラス全員が呆れた目を向けていたのは言うまでもない。


「私は、自己紹介なんてしないわよ。ここには魔術を教えてもらいに来ているわけだし。クラスメイトと馴れ合うつもりなんてないから」


「ちょっと待ってよ。有栖院さん――」


「気安く名前で呼ばないで。私はもう寮に戻らせてもらうわ」


「そんなやつ放っておこうぜ、伊集院いしゅういん


「はぁ、わかったよ…今日はもう解散にしよう」


そう言われてみんな自分の寮に戻って行った。


「寮に戻らないのですか?」

そう声をかけてきたのは、やはり香織だった

「あぁ、もう少し待っててくれ。」

しばらくすると、羽鳥教諭が教室に戻ってきた。


「やっぱり来ましたか、羽鳥先生」


「まだここに居たんですね。理事長に呼ばれています。案内しますね」

そう言って理事長室まで先導していった。

     ◇    ◇    ◇


 理事長室内にはいると、妙齢の女性がすわっていた。


「お久しぶりです、伊集院理事長」


零が初めてにこやかに話し始めた。


「ハア…再会そうそう嫌な予感がするわ」


心底嫌そうにそういった。


「? あなたが呼び出したのでしょう?ま、それは置いておいて、あなたの息子さん素晴らしいですね。さすが御三家である伊集院家の御曹司おんぞうしです。」

「フフッ本気で思ってないくせに」

言葉とは裏腹に、表情かおはうれしそうだ。

「さて、時間もないしさっさと本題に入るわ。

成績についてよ。」

「あぁ、それについては、もんだいないですよ。潜在魔力量や固有魔術ユニークの秘匿等は任せますが。」

「構わないわ。それでいきましょ」


双方同意し、おわりだと思われたが…


「最後に、有栖院 ゆずりはについてだけど…死んでても、生きててもどちらでもいいみたいだから気をつけてね」


「善処します。」

そういって零は理事長室からでていった。

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