パラメータ開示

バブみ道日丿宮組

お題:愛の霧 制限時間:15分

パラメータ開示

 ゲームでいうパラメータがこの世界では表示される。意識を集中して表示させたい場所に念を送ると、出てくる。

 街のガイドやら、翻訳やら、ショートカットやら。

 正直なところ転生してきて役になってるのだから、ロールプレイングゲームというのはかなり完成度が高いのではないだろう。

 もっともパラメータが出てしまう分、その人の個性というのは失われてる。例えば、冒険者になりたいって人が腕力や速力が弱かったり、発明家になりたいって人が知識、知能が低かったりっていう感じだ。

 親は『パラメータが高い職業になりなさい』という。

 これは何も間違ったことじゃない。

 ちなみに僕はといえば、能力が表示されない不審者として登録された。

 個人的に調べたところ、限界値がいくつも超えてしまってるがためにこういう扱いになったらしい。転生させた神さまだか、偉い人はそういったことまで頭が回らなかったのかもしれない。

 もっとも僕としては平凡に生きていたいのでそれでも構わない。

 ただ……困ったことがある。

 それは好意を持たれると、ピンク色の霧がかかるということだ。これはおそらくその人だけを見てほしいという機能なのだろう。晴れでも曇りでも雨でも構わずその人がいるだけで霧は発生する。

 人に好かれて悪いという気分にはならないけれど、学校に通う身としては少し厄介だ。

 なにせいじめっことして有名なやつに目をつけられてしまってる。いついかなる時になにかされてしまうのではという暗い考えに支配されながら通い続けてるのだが……。

 いじめっこは僕に好意を持ってる為に必要以上に迫ってくる。取り巻きたちがクラスメイトたちを散らせるかなおたちが悪い。

 いっそのこと嫌われてしまえばいいのだが、なかなかうまく行ってない。なにをやっても好感度があがるようで霧は消えやしない。

「もういいかな? 授業が始まるので……」

 今日もまた絡まれてる。

「いいじゃん、サボろうぜ」

 そういうわけにいかない。平凡にするために平凡なりに努力をする必要がある。どこかの貴族に嫁ぐとかそういうのもあるし、内申点は高いほうがパラメータが見えなくたって強みがでてくる。

「サボるわけにはいかないのでーー通してもらいますか」

 今日は個室に呼ばれてたため、入り口にいじめっこの子分たちが陣取ってた。

「許可がでてないんですよ、ごめんなさいね」

 つかえない。

 誰かに仕えることはいいことかもしれない。でも、誰かの言いなりになり続けるのはもっともつかえない。最適の部類だ。

 授業まで後数分だ。しかたない……強行突破でいこう。

「な、なにをーー」

 子分たちが声を発する前に、絞め落とした。使うことはないって思ってたけど、意外に便利かも。

「それじゃ」

 騒然としたいじめっこをその場に残して僕は教室へと向かった。

 僕の凶暴性に怖がることを祈ってーー。

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パラメータ開示 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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