裏切り者と舞踏会を
ねえ、ジャームに堕ちた時のこと、覚えてる?
私は覚えているわ。
私は望んで、そちら側へ堕ちたんだもの。
もう一度あなたに会って、あなたと同じになって、今度こそ終わらせるために。
アトアなんてこの世界には必要ない。
私はずっとそう言い続けてきた。
言っても戦ってもそれが分からないのなら、分かり合えるまで殺し合うしかないんでしょうね。化け物同士は、殺し合う以外に何もできないのだから。
大丈夫。あなたがどうすれば激情をぶつけてくれるのかはよく分かってる。この間まで、ずっと一緒にいたんだもの。
カウンターを傷つけるならセカンダリを、セカンダリを傷つけたいのならカウンターを傷つけるのが一番効果的。
それはあなたにも、とってもよく効くでしょう?
それにしても、還ってきてまでまだそんな研究を続けているなんて、滑稽ね。
もはや自分を助けられないものを、どうしてそう求め続けられるの?
それは私たちを再びこの地獄へ呼び覚ましただけじゃなく、次はもう救えないと、残酷な事実を突きつけるだけの道具なのに。
そしてその先はないと、ここで終わってくれと彼らは言う。
どうしてそれを受け入れられるの?
あなたも一度そこに堕ちたなら、分かっているでしょう?
彼らはお願いする事しかできない。
私たちがその気になれば、いくらでもその先へ進めるのに。
私たちジャームは終わりなき獣。
一度そこへ至ったなら、戻ってきたからといって、全てがなかった事にはならない。
私たちが今目にしているものなんて、儚い夢に過ぎない。
覚めない夢なんて、終わらない夢なんてないの。だから……私が終わらせてあげる。
―――さあ、化け物は化け物同士、殺し合いましょう?
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