第51話「一難去ってまた一難」


姉貴が我が家に居候して、何だかんだ一週間が経過した。


最初の約束だと、一週間ぐらい居候するとのことだったが・・・。



「帰らないわよ?」


「約束と違くない!?」



帰る気はないようです。



「あのさ、今更感半端ないけど、姉貴はなんで俺の家に転がり込んできたわけ?」



そういえば、今の今まで事情を聞いてこなかったなぁと思い、質問してみる。



「そうね。ちょっと、喧嘩しちゃって」


「え、おふくろと?」


「ううん、違うの」


「じゃ、おやじ?」


「そうじゃなくて、彼氏と・・・」



姉貴のその一言で、俺の目からハイライトが消えた。


というか、背景も南極になった気分だよ。



「彼氏との喧嘩で俺の部屋を隠れ蓑にするな!?」



とりあえず、追い出しました。


まぁでも、さすがにそろそろ仲直りしないとね。


あんまり長い期間拗ねてるようじゃ、本当の意味で二人の関係もなくなっちゃうからさ。



「グーデンモルゲン・・・ Did Sakura go out?」(和訳:おはよ、あれ、さくらちゃんは出かけたの?)



姉貴が帰ったところで、マリアが目を覚ます。


眠そうな目をこすりながら、まっさきに姉貴がいないことに気づく。


ちなみにだが、この一週間、二人は地味に仲良くなっていた。


友情に言葉の壁など、そう高い壁ではなかったということかな?



「帰ったよ」


「That's a pity」(和訳:それは残念)


「これでようやく、この部屋も広くなるよ」


「Aito looks a little lonely」(和訳:愛斗も少し寂しそう)


「んなわけ」


「I have such an expression」(和訳:そんな表情をしてるよ)


「そうなんかな・・・?」



まぁでも、久しぶりに姉貴の顔も見れたし、この一週間、地味に楽しかったからな。ちょっと名残惜しいのかもしれない。



「それで愛斗! 一つだけ何でも言うこと聞いてくれるんだよね!」



嬉しそうに日本語で言うマリア。


そういえば、そんな約束をしていたな。



「あぁ、忘れてないよ」



約束は約束。まぁ一つだけだからな、聞いてあげよう。



「んで、俺は何をすればいいんだ?」


「私と、結婚してほしい」


「・・・はい?」


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