第43話「二人の旅行その9」


「どこ行ってたの?」


「ちょっと、散歩してた」


「起きたら愛斗がいなくて、寂しかった」


「すまんな。というか、朝から流暢な日本語だな」


「どう?」


「普段から日本語で話してください」


「フダンカラニホンゴデハナシテクダサーイ」



ほんとぶっ飛ばしたくなるな。


そんな感じで、旅行二日目です。


とはいえ、今日の予定は草津ではない。


というのも、行きたいところはおおむね、昨日に行ってしまった。だから、今日は別の場所を観光しようということになった。


とりあえず、朝のバスで駅まで向かい、普通電車で、群馬県の県庁所在地・・・じゃないのか。まぁ高崎まで移動。


乗り換えて、上州富岡駅で下車。


ここまで、所要時間にして三時間。群馬って意外と広い。


んで、富岡に来た理由は単純明快。観光のためだ。


世界遺産、富岡製糸場。そこを見学しに来た。


本当なら、富岡製糸場のほかにも、色々回りたいところはあったのだが、時間的な問題から省略。


一泊二日だったけど、マリアも満足してくれたし、俺も楽しかった。


来年になるかもしれないけど、また旅行したいと思えた。



「はぁ・・・sleepy」(和訳:眠い)



帰りの電車、さすがに疲れた。マリアもウトウトしている。



「寝ても良いぞ。起こしてやるから」


「Thank you」(和訳:ありがとう)



そう言って、マリアは俺の肩を枕にして、眠りについた。


俺も便乗して寝たいところだけど、寝過ごしたら、東京を超えて静岡県。そんなことがあってはならないので、根性強く寝ないようにしていたのだが。



「はぁ・・・」



あくびと共に、強まる眠気。正直、かなり疲れてる。


最寄駅までは、あと一時間以上かかるとのことだったので、マリアの頭をお借りして、俺も眠りにつくことにした。


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