Kapitel II(第二章)

第27話「文化と価値観の違い」


季節は巡り巡って、夏がやってきた。


マリアも日本の生活に慣れてきて、俺はマリアとの生活に慣れてきた。


相変わらず、狭いワンルームで二人暮らしなので、色々と不自由はあるが、それでも、今のところは何事もなく生活ができている。


そんなある日・・・。



「I want to travel!」(和訳:旅行したい)


「旅行? まぁいいけど」



大学は夏休みだし、ずっと家に引きこもるのもなんか嫌だし。


マリアが行きたいと言うなら、旅行に行っても良いだろう。


良いのは良いんだが・・・。



「どこ行くんだ?」



そこが問題である。あと予算。


そう、特に予算だよ。




予算。





「Anywhere」(和訳:どこでも)


「えぇ・・・マリアは行きたいところないのか?」


「Italy?」(和訳:イタリア)



海外かよ。


さすがに予算オーバーです。



「欧州は旅費が高くつくので却下」


「おーしゅー?」


「ヨーロッパ」


「Ah~」(和訳:あ~)


「国内でお願いします。あと、そんなに長期間は行けませんので」



バイトもあるし、そもそも予算が(ry



「Short term?」(和訳:短期間?)


「イエス」


「About a week?」(和訳:一週間ぐらい?)


「はい?」



一週間って、十二分に長期間だと思うのですが・・・。


というか、一週間も国内のどこに行くつもりなんだよ。



「アバウト ツーデイス」(About two days)


「You must be joking!?」(和訳:冗談でしょ!?)


「え、えぇ・・・」



じょ、ジョギング? ← こいつ英単語分かってない。


何が言いたいのかさっぱり分からないが、とりま理由を聞いてみよう。



「なんで一週間が短期間なんだ?」


「Isn't that common sense?」(和訳:それが常識じゃないの?)


「そ、そうなん?」


「For travel, everyone goes in a week or two」(和訳:旅行なら、みんな一週間から二週間ぐらいで行くよ)


「マジかよ。よくそんな休み取れるな」


「Is there no paid leave in Japan?」(和訳:日本には有給休暇はないの?)


「いやあるけど」


「・・・?」



なんでそこで不思議そうな顔するんだよ。


あれか? 有給休暇あるならなぜ休みを取らないのかと疑問に思ってるのか?


それはだな、マリア。



「日本人は有給休暇を全然消費しないんだよ」



まぁもちろん、そうじゃない人もいるけど。



「It's a waste」(和訳:もったいないね)



ここに来て文化の違いに驚かされるとは思わなかった。


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