第25話「I'm here」


夜、辺りは暗くなり、住宅街では、昼間とは違った静けさが良い雰囲気を醸し出している。


だが、俺にはそんな雰囲気を楽しむ余裕はない。


未だに、マリアとは音信不通だし、家に戻ってきてもいない。


闇雲でも、ジッとしてはいられなかった俺は、必死に探し回る。


でも、見つかるはずもない。



「はぁ・・・どうすれば」



そんな独り言を漏らしていると、突如としてスマホに着信がきた。


マリアかと思い、とっさに画面を確認する。



「姫乃さん?」



発信者は、裕太の女友達、姫乃さんだった。



「もしもし」



なんでこんな時に・・・そう思いながらも、一応 応答はした。



「もしもし、姫乃です」


「はい。愛斗です」


「いま、私の家にマリアちゃんが来てるのですが・・・」


「え、そうなの!?」



まさか、人様のお宅に厄介になってるとは・・・完全に盲点だった。



「何やら、喧嘩したとか何とか」


「そうですね。マリア、今どんな感じですか?」


「なんかしょんぼりしてますね。仲直りしておいた方がいいんじゃないですか?」


「それはもちろん・・・」



ということで、姫乃さんから住所を聞き、マリアを迎えに行くことに。


もう安否はわかり、急ぐ必要もないのに、なぜか必死に走っていた。


それから姫乃さんの家に到着し、緊張しながらもインターホンをそっと押す。


数十秒ほど経つと、玄関のドアが開かれ、そこには姫乃さんの姿と・・・。



「愛斗!」



そう言いながら、涙を流して駆け寄ってくる、マリアの姿があった。


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