最初のお話 お話聞きに来ました。
「明日は一日オフィスに居るから何時でも良いから来てー」
そのメッセージとともに
そんな街で育ったがその街にシステムエンジニアの会社があるなんて想像出来なかった。
放課後、翔太郎くんは駅から離れた3階建ての雑居ビルの前に来ていた。1階にはコンビニが入っていた。
翔太郎くんは雑居ビルに意を決して入っていった。エレベーターの定員がたった4名のとても小さな箱に乗り込んで3階まで運ばれた。エレベーターを出たら目の前にドアがあった。他は階段しかない。
つまり目の前のドアを開けたらこの先に寺田克典という人物が居ると考えられる。
翔太郎くんにとって初めての会社訪問だ。
意を決してノックをした。
「開いています。入ってください。」
その声を聞いて翔太郎くんはドアを開けた。
ドアを開けたら小さなオフィスがあった。
「すいません、今日寺田さんと会う約束をした、翔太郎って言います。」
緊張して震えた声を発していた。
オフィスの奥に男性が立っていた。
「あ、待ってたよ。僕が寺田克典です。そこのミーティングスペースに座って待っててね」
そう言われ指さされた場所にはて入り口に
何しろ全てが初めてだ。
「今日はちょうど僕一人だからオフィスにしちゃったけど高校生だとこういうオフィスに来たりしないから緊張してる?あ、これお茶切らしてたからどうぞ」
そう言って翔太郎くんの前に有名なエナジードリンクが置かれ、男性は翔太郎くんの目の前に座った。
「はじめまして、僕は寺田克典です。名刺をどうぞ」
そう言って座っては居るが丁寧に両手で名刺を渡してくれた。寺田克典と名乗った男性はスーツを着た40歳ほどだろうか。目はギラギラしていて、そのせいか歳の割には若く見えた。
「あ、ありがとうございます。」
「えっと進路に悩んでるんだってね。それで
「はい、そうです」
翔太郎くんは知っては居たがインターネット上の事なので嘘かも思っていたが先程貰った名刺には社長と書かれていて緊張が増していた。そのためずっと声が震えている。
「ん~、色々話す前に僕は君の考えを見抜けるんだよね。証明してみていいかな?」
寺田はそう言って翔太郎くんの顔を下から覗き込んで言った。翔太郎くんは今しがた出会ったばかりなのにそんな事出来るのかと訝しげに思ったが頷いた。
「じゃあ、 次の3つの単語の中から、言わないで頭の中で1つ選んで。IT、プログラム、Web」
翔太郎くんは頭の中で選んで頷いた。
「今度はそれに関連するこの3つから選んでね。パソコン、トンカチ、スマートフォン」
翔太郎くんはまた頭の中で選んで頷いた。
「最後にまた選んだものと関連するこの3つから選んでね。エンジニア、大工、農家。」
寺田さんは翔太郎くんを見て言った。
「君が選んだのはエンジニアだろ?」
「…はい、なんでわかったんですか?」
翔太郎くんは自分の幼い頭の中を見られた感じがした。エンジニアの話を聞き来たから頭がそればかりに縛られているのかと感じてしまった。
「簡単なことだよ。君が選ぶしかない選択肢に誘導しているだけ。最初の3つのどれを選んでもパソコンかスマートフォンになる。最後にはエンジニアになる。まぁ、大工や農家もスマートフォンやパソコンも使うだろうけど一般的なイメージじゃないしね。」
翔太郎くん答えを聞いたら納得して感嘆の声を小さく漏らしていた。
「さて、本題に入ろうか。何でエンジニアを弊社に入れたくないかって話だね。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます