セ界の話聞きたいです
コピペエンジニア
最初のお話 お話聞きたいです。
「あぁ…進路どうしよ…」
職員室から出てきたばかりで一人愚痴をこぼす高校生。西日が照らした廊下はオレンジ色に染まっている。その中で一人肩を落とし佇む彼の名前は
今しがた職員室で進路が決まっていないことについて担任に色々言われたばかりである。就職、進学も決めておらず親にも相談していない。
親に相談しにくい訳が彼にはあるのだ。彼の母親は幼い頃に亡くなった。父一人で育ててくれたが経済的な余裕はない。さらに彼にはまだ中学生の妹が居る。彼が進学した場合、妹の今後、高校、大学と進学はさらにきついものになると考えてしまっている。
もちろん奨学金なども考えたが奨学金返済を考えると経済的に厳しいと聞くし、翔太郎くん自信、返済不要の奨学金や特待生を狙えるほど学力はないのも理由だ。
担任に言われた「進路のことを考えろ」という言葉が翔太郎くんの頭の中でずっと反響している。進路のこと、家族のこと、お金のことを色々考えてもまだ高校生の彼だけでは解決することは出来ないし、何にしろ彼一人の問題ではなく家族の問題だ。
帰宅の途に付いた翔太郎くんはスマホを見て進路の事など色々調べてみた。が、現代社会では大卒が基本になっている。Fランでも大学は出た方良いという検索結果を見てお金がない事に絶望している。
その検索結果の中のWebページに「学歴不問。システムエンジニアになりませんか?」という求人広告を見つけた。
翔太郎くんはSNSアプリ
※Whisper《ウィスパー》とは海外のSNSアプリで200文字程度の短文を
彼はWhisperでシステムエンジニアについて調べてみた。
「人手不足で売り手市場」
「学歴なんて関係ない」
「文系でも出来る」
「月収で50万で年収600万」
「未経験で簡単になれる」
進学する必要もないし文系の彼でも未経験からなれるなら進路に悩んでいる翔太郎くんには夢のようだ。
そんな中で違和感を覚えたアカウントがあった。アカウント名は実名のようで
何故、翔太郎くんが違和感を覚えたかというと「学歴無くても文系でも未経験でもエンジニアになれるよ!でも弊社には来ないでね!」こんなウィスプをしていたのだ。
「なんで誰でもなれて人手不足なのにこの人の会社には来ないで欲しいのだろう?」と翔太郎くんは違和感を覚えたのだ。
進路の事に思い悩んでいた翔太郎くんは関係ない他人なら相談できるかも知れないしと思い、質問をダイレクトメッセージで送った。
「はじめまして、ウィスプを見ました。今高校生で進路に悩んでいます。たまたまシステムエンジニアという職を見つけてWhisperで色々調べて僕でもなれるかも知れないと思ったのですが学歴無くても文系でも未経験でもなれるのに、あなたの会社には入って欲しくないんですか?」
翔太郎くんはダイレクトメッセージを送ってからこんな無知な質問をした自分が気恥ずかしくなって後悔した。
「あんなんに騙されたらダメだよ…プロフィール見たけど近くに住んどるやん。直接話してみる?」
全く知らない人から会おうと言われて困惑する翔太郎くんだが誰にも進路悩みを相談出来ないのもまずいと思い覚悟を決めてダイレクトメッセージを送っていた。
「お話聞きたいです。」
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