第7話 告白

恐怖のバレンタインは終わった

「うぅ・・」誰かが目を覚ます

そこは、真っ白な部屋で、僕はベッドの上にぐるぐる状態でいた


そして・・


ーガチャリー


「優君起きたのー?今日はお外暖かいよ~。一緒にリハビリ兼ねて散歩しよっか~?」


元気な女の子が学校帰りからか制服のまま僕に駆け寄る



「あ、包帯ぐるぐるだねぇ。お母様がやったのかなぁ?もぅ、おっちょこちょいなのに

世話焼きたがるんだからもぅ~看護婦さんがやってくれるのにぃ」



「あっ、聞いた優君?明日からようやく学校再開されるって。あんな事件起きちゃそりゃそうなるよね~」



「立花?」



「ん?りっかちゃんだよぉ~どうしたの?まだ寝ぼけてる?」



「ここ・・どこだっけ?」



「えぇっどしたの!?また具合悪くて意識飛んじゃった?ほらっ良い子良い子~

私はここですよ~わかりますかぁ~」



「そんな子供扱いしなくてもわかってるよ。いくら記憶喪失だったからって、少しずつ回復もするさ」



「あはは、ならよかった~あの時は心配しちゃったからね。もぅ、あんな怖い目に遭わないように

彼女の私が、いっぱい守ってあげるからね」



立花はせっせと、周りを整頓しながら、ついで、車椅子を持ってきていた

そして、まるで介護の様に、ゆっくりと俺をそこへ座らせて散歩に行こうと中庭を目指す



「今日は暖かいね~この調子なら、退院ももうすぐかな?あはは」

立花は笑顔だ



「ねぇ、立花?退院はありがたいけど、でも、僕足がこんなじゃ、学校も満足に通えないし

キミに迷惑ばかりかけちゃわない?」


「何言ってんだよーぅ。私は彼女だもん。当たり前だし、ずっと一緒にいるって約束したじゃない?」



「そ、そうだっけ?あははごめんね。僕のせいで学校行けなくなっちゃって」



「別に良いよ~私、バカなのに好きな事に関しては頭良いから、大検受ければいいだけだし

暫くは優君の介護とバイトで過ごすからだいじょーぶい♡」


「それより、早く優君には立ち直ってもらわなきゃ。・・もぅ、無理に事件の事は思い出さなくて

いいんだからね?明るく前だけ見てこう?」




「あ・・うん」

そういって僕は溜め息をつく


「事件・・か。色々あったのに何も思い出せなくて、なんか申し訳ないな」




「ん・・・まぁ、優君はずっとストーカーされてたんだし、それを庇った修司君も残念な事に

なっちゃったけど、悲しいけど、だからこそ幸せにならなきゃ駄目だよ」



「うん・・。でも、思い出そうとすると頭ばかり痛くなって。それに、この口の変な蒼いできもの

ずっと取れないんだ。何か変なのでも、食べたのかなぁ?」



「ん~・・なんかそのストーカに呪いの入ったチョコでも食べさせられたとかなんとかだったりね」



「ど、どんな呪いだよ・・怖ぇな」



「言ったじゃん。女の子はそれ位大事な想いを込めてチョコを作るんだよ」



「僕はもぅ懲り懲りだな・・」



「そうだよね・・でも、もうストーカーも自死しちゃったし、誰も責める相手はいない。

逆に言ったら、もう誰も優君を傷つける人はいないんだよ」


「それに・・私が彼女・・なんだもん。誰にも傷つけさせない

・・でも、あの時、駆けつけたときはびっくりしたなぁもぅ」



そう、僕は以前からストーカにあってて、バレンタインの日にそのストーカーは

巷で流行っていた「愛の染みこんだ呪いのチョコ」なるものを持って

僕の家に侵入してきたらしい。


それに気付いた兄が、不法侵入のストーカーと揉み合い、ストーカーが持っていた鉈で

殺されてしまい、寝ていた僕も急に襲われ、足を切られた出血多量と電気ショックから

意識を失い、その死にかけの時に警察を呼んで、立花が駆けつけてくれたらしい



何でも立花は、僕にあの時渡したチョコは、違うチョコだったらしい

なので、本物のチョコを届けに来たら、玄関から争う声が聞こえたらしく、

何事かと危険を察知して警察を呼んだとの事。

警察が踏み込んだ時に、僕を殺す手前だったストーカーは、観念して、窓から飛び降り自殺を

して、死んだらしい



僕はその後、重度の記憶障害にもなったり、足を失ってやばかったり

記憶が少し回復しても、暫く足を失った事でパニックになっていた

が、立花が見舞いで色々教えてくれて、今に至る

僕、彼女いたんだなぁ・・。


「疲れた?」

立花が急に声をかける



「あぁ、ちょっと事件思い出してさ」



「何か思い出しちゃったの?」



「いや、何も、俺、こんな可愛い彼女いたんだなって」



「まぁ、後、この唇付近の青あざがやっぱ気になっちゃって」



「・・・うふふ、大丈夫だよ。お医者さんも心配ないって言ったし、それに」



「私の「魔法のチョコ」も食べたんだから、しっかり解毒できてるって!」



「な、何いれたんだよ!こ、怖ぁぁ~ぁ」


そういって僕は唇を舐める

瞬間、ザザっとノイズが頭の片隅に走る



「あ、あのさ立花?そういえば午後からバイトだろ?今日は天気も良いし、ちょっと暫く

ここで寝たくなったから、先にバイト行ってきていいよ?」



「え?なんで?別にまだ時間あるよ?」



「うぅ~ん、久々に自然の中でゆっくり光合成したいんだ」



「ほら、僕って猫だからさ」



「それいったら本当の猫ちゃんじゃない!笑 



「それに日光浴って言うんだよ?」



「はいはい・・とりあえず涼しくなってきたし、眠気がちょうどいいんだ」



「む~・・わかったよぉ。じゃ、明日から学校は休みだし、朝に又来るね?」



「おぅわかった・・。またな」



「は~い。・・ゆっくり休んでるんだよぉ」


その後立花は、僕を残し、僕の母の知り合いが経営してるカフェにバイトをしに行った


僕はようやく息をつく。

記憶が無いのがあれだけど、ずっと近くで看護されるのもきつい。

そりゃ、車椅子が必要な身体にはなっちゃったけどさ。看護師だっているし

ずっとはさすがにきつい。



立花はトイレや入浴以外、ほぼバイトが無ければ僕の傍を心配だからと片時も離れようと

しなかった。

彼女がいるって最初は喜べたけど、最近僕はこの蒼い唇の痣が痛む時、必ず悪夢を見た

きっと今夜も・・・



その悪夢を見れば、「事件」を思い出すはずだ


そうして、ずっと庭にいるのも気まずくなった俺は、食堂のテレビの前を偶然

通りがかった

すると・・・


ーーーーーーーーー


深夜

俺は、ベッドの中で震えていた

やばい事になった

俺は全て思い出した


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呪いのチョコ(リリは兄貴に呪いを込めたチョコを送り、間違えて俺がそれを食べた)

呪いのチョコ2(杏奈も俺に呪いのチョコを食べさせた)

呪いのチョコの噂(どうやらリリのは相手を呪うチョコ、杏奈は意中の相手を縛る呪い)


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ストーカー(食堂のTVで知った。犯人は押し入ったときには二階で背中を刺されて絶命してた)

殺された兄貴(スタンガンで伸びただけで死んでいなかったという事は・・)

離れないリリ(俺の記憶を戻さないため)


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病室に訪れたふさふさ髪の長期出張から戻った父

(確かに無い時に比べあると美男子しかも、仕事ストレスで髪が無くなり、そして本当は母が怖いらしいから出張に積極的に出てた)


俺の母もヤンデレ?いやメンヘラ?(父母が仲良かったんじゃなく母が一方的だった)

そして、父の口元にも、蒼い痣があった・・

兄がBLなったのも、まさか下手な呪いとでもいうのだろうか?

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ネットや噂で調べたら、意中の相手を呪いで自分だけに縛りつけたり出来るチョコらしく

作り方は、自分の経血、人体の一部、蠱毒の血、その他・・で作ったチョコを食べさせる

普通は、まぁ、ちょっと相手に不幸が訪れるだけらしいが、人の呪いや怨嗟が込められると

食べた人は逃げられなくなったり、唇に蒼い痣が出来るらしい


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「優~ぅちゃん?思い出したのぉ~~」

「あ~あ。思い出しちゃったら、もう駄目だぁ。でも、いいやもう。」



「りり!?」



「おかしいなって思ったんだぁ。いきなり中庭で俺って言ったから・・」

「記憶戻りかけてる時に運悪くお父さんが来たり、優ちゃんはネット検索して調べたり」



「きっと・・ね?全部わかっちゃったんだよねー昼間のTVで」

「そうだよぉ。せっかく勘違い女の杏奈に全部の罪かぶせてさ」



「邪魔な変態兄貴ごと、なんとか始末出来たのに」

「うふふ・・面白い事にね?私、優君のお母様と気が合うんだぁ」



「何故かって?それは似たもの同士だったから」

「ただ盲点だったのは、修司に渡す死のチョコレィトを、間違って貴方に渡した事」

「別なチョコ持ってたんだけど、慌ててて間違えちゃった」



「修司君のはねぇ、呪いのチョコで約束を破ったら死ぬ呪い」

「私にゆすられてるのにまぁだ愛しの優君にちょっかいかけるから、最初は戸惑うBL兄弟も

いいかと思ったけど、調子こくからさぁ」



「で、杏奈のは、きっと好きな相手を呪って自分だけ見させる奴・・でもね」

「欲張りさんで、不幸な事故に巻き込まれた優君はね、二つの呪いのチョコ食べちゃった」



「でも、全部完食してなかったからね。あわててもう一つ作った、即席の

呪力弱らせる為のチョコ・・ふふ。女の子の日じゃなかったから、直接切ってその血を用意

したはいいけど、不完全になっちゃった。」



「優君が記憶を思い出さなかったら、チョコに入った優君への愛だけが固定されて」



「私とずっと幸せ家庭や人生が築いて行けたのに・・思い出しちゃうからさ」



「この場合は、呪力がぜーんぶ跳ね返って、私達、不幸になるしかないんだよ」



「なら、いっそ、二人で永遠に溶け合おう?優君のチョコ・いっぱぁい私に食べさせて」



「私の心も体も全部優君のモノだから」



「二人はこれで、永遠だよ♡」



「そ、そんなチョコ、ある訳・・それになんで二人殺したんだ」



「バレたらいやだし、杏奈はどうせ、乱暴に加担した修司と私を殺すはずだったし

邪魔だったからだよ?誰も邪魔しなければ、こんな事にならなかった」



「そ、そんなの知らない!じゃぁ杏奈も被害者だったんじゃないか!」



「優しい優君・・確かにそうだけど、呪いのチョコ使って、どうせ修司君も殺そうとしたはずだし

何より・・」



「私からアナタを奪おうとした・・それが罪なんだよ」



「残念だよね・・私も残念・・ハッピーバレンタインにできなかったから。でもせめて」




「アンハッピー★バレンタイン♡優君・・あなたを甘く、深く愛してるよ」




「「告白」遅くなってごめんね・・・ほら、そろそろお迎えの時間だよ」




「いやだぁぁぁぁぁぁぁ!!」





ちゅ♡「ハッピーバレンタイン」


ーーーーーーーグチャッァッーーーーーーーーーーーーーーーーーー

臨時ニュースをお伝えします

昨日深夜に、病院に入院していた鏡見優(18)さんが、行方不明となりました

不可解なのは、本人のものと思われるほぼ全ての血液量が床に散乱していたらしく

遺体は今も尚、発見されていません。が、警察機関が現場を調査していますが

生きている可能性は、ほぼ、現場の血液量からして絶望的だと判断を下した模様



・・あっ、ここで続報です


合わせて行方不明となってる篠枝立花(18)さんも病院に来たのは確認されたのに未だ

捜索は難航していましたがなんと先ほど、警察が



手首が庭に落ちていたのを発見した模様で、こちらも生死について絶望的だと思われ

引き続き警察は捜索を続ける模様です



最近怖い事件が続きますので、次の話題は明るい話にしましょう

天然リポーターの朝倉さーん


はいぃ朝倉ですぅ・・



こちらは、バレンタインが終わり次は、ホワイトDayが近づいて参りましたねぇぇ

そこでですね、最近幸運が訪れるというおまじないが込められたチョコが流行ってるそうで

そこから新商品開発に繋がったとの事で、お店にお邪魔させてもらってますぅぅ・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・終

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偽利愛(義理チョコ) 手児奈 @tekonyas-tekona

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