第3話 アンハッピーの到来

「修司先輩!ずっと好きでした。だからこのチョコ・・良かったら受け取って下さい」


おーおー朝っぱらからお熱い事で

もぅそこらの女子共からチョコと告白の嵐だ


「みんな、ありがとな。今は登校中だからあれだけど、ちゃんと返事はするからさ

放課後まで待っててね」


そんな軽い言葉に馬鹿な女子はきゃーきゃーいく

女子が求める誠実ってなんだろうと、黄昏れる今日この頃の俺


そうこうしてる間に


「おい、情けない弟君よ、チョコ多いからおまえ持ってろ。せめてモテた気分だけは

味わえるだろ?」



「く、くそが」

そういった瞬間、女子達が怒濤の如色取り取り奇想天外なチョコを俺に預けてくる

兄貴に対しての執着心は正に進撃の巨人の如く巨大だ



「わわ、ちょ、落とすってば。ちょちょ、ちょい待ち・・」


バラバラとチョコを落としたのをあざとい女子達は、何やってんだよってな

感じの冷ややかな視線で睨んでくる


「うぅ・・」


俺はこういうのには途端コミュ障のチキン野郎になる


・・嫌いだこんな理不尽不平等な世界なんて・・ぐす(泣)

そういって落ちたチョコを一つずつ拾っていた時だった


ースッー


「だ、大丈夫・・?・・あのさ、これ・・も、拾ってくんないかな?」


そういって、恐らく自分用のだろうチョコを、俺に手渡す

おずおずと渡したチョコには「お兄さんへ」と、これまたラブちゅっちゅなラッピングが

されている。



見ると目の前の少女は、ジャージ姿で、学生服じゃない

ちょっと奇抜で、清楚ヤンキーみたいな感じだった



「あの、出来たらやっぱり、直接顔見て渡したら?」



「え・・あの、う、うっせぇな。もうしてるけど、さっきから無視られてんだよ」

「だから、と、とりあえず、も、もらっとけよ」



「え、いやだから兄貴はもう先に・・」



「優ちゃぁ~ん・・?その娘、誰かなぁ?知らない娘だけど」

後ろから怖い顔したリリが立っていた



「わ、渡したかんな!」

そう伝えながら、少女は走り去る

見た目はやっぱり、ヤンキーでも超絶可愛らしく見えた


だけど


「あいつ知ってるぜ、何でも切れ者で、教師や他校のヤンキーを締めて乗っ取ったって

噂あるぜ?女番長じゃね?」


「わー、私も知ってる。なんか、自分が気に入った余所の人のペットを奪おうとして

半殺しにしたりで停学なってたとかなんとか?」


俺は通行人の他の学生に声を掛けてみる

「それマ(マジ)?さっきチョコ渡されたんだけど」


「うわーマジ?お兄さんにでしょ?見てた見てたー。やーよねあんな奴。修司さんも気の毒な

メンヘラに好かれちゃったよねーマジ最悪だわぁ」


「へー・・あの娘、修司さんにチョコあげたかったんだね。ふーん」

あっ、やべぇ。なんかリリが怒ってる

そらそうか。ただでさえ恋敵多かったのに


「いや、まぁなんだ。いいんじゃね?年に一度の日だし、兄貴はどうせ多分誰も告白受けねーし

まだ、リリにもチャンスあるって。がんばれよな!」


「・・・」


「ん?どした?」


「う~~ぅ・・もぅ!馬鹿!」

そういってリリは鞄で俺をぶったたき、鞄の角が俺に当たる

直角的な硬い何かがぶち当たり、派手に俺は道路に回転するのであった

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