02開幕
「ふんふんふ~ん♪」
暖炉の炎が静かに揺らめき、部屋の中を灯してた暗い部屋のベッドにはネグリジェが畳まれていて、その主の育ちの良さを物語っている薄暗いベッドに射す灯りの向こうでは一人の少女が鼻歌交じりに部屋の奥へ進んでいた
「今日はねぇ・・特別な日になりそうだから、あっちがいいかなぁ、あっ、こっちの服がいいかなぁ・・」
「う~ん・・もぅどれも着たような服ばかりになっちゃってきたからなぁ。ふふっ」
そういって少女は自身の肌を鏡の前で見つめる腰に片手を当て、もう一方では神妙な面持ちで自分の肌を嘗め回す
ふいに少女は呟いた
「汚っない体」
そういって少女は踵を返す その様は女王の様に鮮やかで軽々しい足取りで正に優雅な足取りだった
「デモニ!起きてる?・・ってまだ寝てるわね、あいつ」
「デモニ!呼び声には答えなさいと何度も言っておいたはずでしょぅ?」
そういった瞬間、館の中全体に響くような眠たげな声が響いた
「う~ぅ?なぁ~にぃ~ママ?まだ夜だけど、、あ~ぁっ!ひょっとしてエサの時間?」
「違うわよ!それに誰が貴方のママなのかしら?いつから私がそんなのになってた訳?「ママ」じゃなくてマスター・・いえ、お嬢様でしょ!」
「う~ぅ?おじょじょしゃま?」
「お嬢様!朝から使い魔如きが手を焼かせないの!ちゃんと私の名前を呼びなさい!」
「うぅ~まだ眠いぃ」
「今日は何の日かわかってるでしょ?待ちに待った、お出かけの時間でしょ。デモニ」
「お、、でかけ?・・あ~ぁそうだぁ!今日だっけ?撲の出番?御馳走?」
「えぇそうよ。沢山食べていいのよ?お腹減ってるでしょ?ずいぶん待たせたもんね」
「うんうん!わーい。じゃぁ起っきする~ぅ。あれ?おじょじょは何やってたの?」
「ふふ・・待ちに待った特別なお客様へ会いに行く日ですもの・・それなりにおめかししようかなって」
「ただ、どの服も飽きちゃって・・ほら、どれも着た服ばっかりでしょうし、「あそこ」に行けばきっと、汚されてしまうもの」
「あ~だからかぁ。納得!うんうん。だったら撲、この間分捕ったアレがいい!あの変わった服ならどんな場所でもへいちゃらで、負けないよ!」
「ふふ・・・あぁ?あれね。確かに、まだ着こなせていないでクローゼットに閉まっていたままだったわね」
「ふふ、朝のお風呂も入ったし、じゃぁお着替えしようかしら?デモニ、さっそく仕事よ」
「うぇ?何のお仕事?」
「まずは出てきなさいな。世話が焼ける使い魔なんて聞いた事もないわよ。いいわ。一緒に出してあげる」
そういって、指をパチンと鳴らす。その瞬間、少女の瞳がギラギラと陰り、紫の瞳へと変わる
「幻像の館・・エナの館よ・・私の声に応えなさい・・」
そういって両手を上に掲げ、部屋の中が光に包まれる
「さぁ、カーテンコール・・ドレスアップの時間よ」
そういって又、パチンと指を弾くその指先から魔力の色が弾けて、円を描き、瞬く間に小さかった部屋の形が大きく開け、大ホールの様になったそしてそこには、大きなクローゼットが出現した
「おぉ~すごいすごい。」 デニモが歓喜する
「ふふっ・・もぅあらかたの事は覚えたからね。さっ、デニモ。次は貴方の番よ!現界しなさい」
「はーい!呼んで~」
「こら、仮にも主人に対して失礼よデニモ!気安く舐めた口聞かないでくれる。飯抜きにされたいの?」
「わわっごめんなさ~い」
「謝るのも禁止・・あなた、それでホントに太古の伝説の鬼なの?いい?少しはプライドを持ちなさい!」
「それが私、永遠の悪夢を超えた王、シャーゼロット・リレイズに相応しい僕なのだから」「おーぉほっほっほー!!」
リレイズと名乗った王女は、女王特有の笑い声をあげる
「っと、ちょっとお下品でしたわね。ではそろそろ召喚致しますわ」
「我が使い魔として封じられた太古の鬼よ、汝、破壊するもの、汝、現我が僕なりて、悠久の眠りから今こそ解き放ち、自由を与えん」
「我が声に応えよ・・汝の名は無限の破壊者」
「デニモ!いざ此処に召喚せし、役目を果たせ」
そういって長い秘呪を唱え、足元から光がさざめきを放つついで、天井の壁から何かが落ちてきた
と、
PON!!
なんとも可愛らしく、小さい悪魔が少女の前に現れた
「あ・・あら?」
「痛っ!・・・うぅ、又失敗してる、リレーゼ、下手っぴ。全然成長しない」
「あっ!あなたに言われる必要ありまして!全く、口の減らないガキだこと!」
「わわわ・・久しぶりに出てきたからって殴らないでよ~ぅ。あっ、お着替えは?」
そういった途端、館に轟雷が轟き、遠い玄関の方から衝撃音が聞こえてきた
「わわわっ、びりびり怖いっ・・なにぃ?」
「あら・・何かしら?珍しいこと」
そういって唖然としたままのデニモを放置し、クローゼットの扉を開ける
「デニモ、、この服がお気に入りなったんでしょ?早く私の魔力を吸って封印を解いてくれる?」
そういって光のクローゼットに相応しくない禍々しい鍵を付けられた錠膳にデニモは、息を吸い込み口元に蒼白い光を溜めて、次の瞬間まるで炎を出すかの様に錠を破壊したその瞬間、奇妙で恐ろしい怨嗟の声が響き消えた
そのすぐ後に、壁にもたれかかった誰かが、暗闇に溶けながら語りかけてきた
「おやおや・・まだ準備していなかったのかい?レディ?遅刻は厳禁だよ・・さっきの轟音は・・キミならもぅわかっているよね?」
「あら、博士・・ごぎげんよう・・いえ、おはようが先かしら・・・うふふ。私今、とってもいい気分だわ」
「そうかぃ・・察してるなら、早くゲートへ来てくれないか?招かれざる客人はどうにも乱暴でね
そろそろ研究室まで着きそうなんだ。並の召喚獣相手じゃ歯が立たないそうでね」
「私のモルモットや素敵な研究物を傷つけられたくないのでね。それに、キミの大事な者も・・ね。・・お願いできるかな?」
「ふふ・・・面白い事になってきたわね。ねぇ博士・・見て、あの凛々しい姿・・変わってない・・あぁ、あの時のまま、清純で、清廉で、聡明で、幼くて可愛くて・・・虫唾が走る、、いい子ちゃん」
「懐かしい、けど、招かれざる旧友のおでましね・・。でも、残念。私は意地悪だから、絶対に返してあげない・・えぇそうよ」
「絶対に帰してやるもんか」
魔装に身を包んだ悪の令嬢は、踵をかえすと、悪魔の笑みを浮かべながら、歩を進めるのであった
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