第15話 命令


「ゾラ」

「はい」

「あなた、私の言うことは何でも聞いてくれるのよね」

「はい。もちろんです」

「やって欲しいことがあるの。……私を殺して。今、ここで」

「え……」

「これは命令です。聞けるわよね、ゾラ?」


 ユリエはゾラを見上げて薄く笑った。

 ゾラは動揺して、不安げにユリエを見返した。


「それは、どうして……」

「もう苦しいのは嫌なの」

 ユリエは説明した。

「怖いのも嫌。そうでしょ?」

「はい……」

「どうせ殺されるなら自分が作ったモノに殺される方がいいじゃない」

「そうでしょうか」

「そう。──さあ、ホムシミュラ・ゴーレムとして最期の使命よ。命令を実行なさい。私を殺してあなたも死んで。ゾラ」


 ゾラは俯いて、手を膝の上でギュッと握りしめた。

 そして顔を上げると、はっきりと言った。


「──お断りします」

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