第9話 知らぬのは誰?

王宮を訪れたテイエ達 それは数年後王女が14歳になった頃である


ティエは、王宮で人にすれ違う度に

彼等は暖かい眼差しで

うやうやしく、頭を下げる


中には話しかけて

ティエの美しさを誉めたり

彼女に深い同情とこれからの人生が幸せであるようにと祈ってくれたり

彼等が持っていた最高級の宝飾品を渡したりする者も

少なくなかった


そして、ワイア伯爵が

いかに人々に尊敬され、今なお愛されているかを語った


そっと浮かんだ涙を拭う

ティエ


「お姉さま?」エリンが心配そうに顔を覗き込む

「あ、ご免なさい 少し驚いたの


お父様達がこんなに深く

人々に愛されて尊敬されてるなんて思わなかったから


姿が白の者に近い私の姿を

嫌う事なく受け入れてくれるなんて信じられない」


「ティエお姉さま」

ワイアットが優しく背中を撫でた


「あ、ヴァルーダ王様にヴァルジニテ王女様」


「おお、来たか!どうかな黒の王宮は

王宮にそなた達が滞在出来る部屋を用意させたゆえ

いつでも遊びに来るといい


まあ、私は戦や政務で王宮に居らぬ事も多いが

ヴァルジニテ王女もいるし

ワイア伯爵の友達の大貴族達もおるから

生憎、妻の王妃は三年前に他界したが」

王女の頭を撫でる風の王


「よく来てくれた!!歓迎する、うふふ

また逢えてとても嬉しい叔母様 ティエ姫、エリン姫

ついでにリュース公ワイアット兄殿」


「私はついで、ですか・・・まあ良いですが」

口元を歪めるワイアット


そっと小声でワイアットに言うヴァルジニテ王女

「なんじや・・不満そうじやな・・くくっ

ちょっと、鍛えてやるか!リュース公ぐふっ!」

「い!!」

顔色を変えるワイアット


「ワイアット兄様

後でまた、剣と魔法の稽古をお願いしますね

しばらくは滞在されるのでしょう

また明日も宜しくお願い致しますわ・・・くくっ」


「いや・・あの、その」

首を左右にふるワイアット


「ねぇお願い、うふふ」

「逃げるなよワイアット

此処で逃げたら、後の仕置きはもっと怖いぞ・・くく」


「は、はい」

涙を飲んで覚悟を決めるワイアット


「おお、そうか、そうかワイアットよ

まだ王女は幼い故に手加減を頼むぞ」

にこやかな天使の笑顔の風の王


「はい」

ひきつり笑顔のワイアット


ティエもだが、エリンもまた勘が良く


そろそろヴァルジニテ王女の正体には気がついてる

二人仲良く、そっとワイアットの為に

手を合わせたりしてる


そんな日々の中で

少しずつティエの心は癒やされゆく

見会いの話やティエに想いを寄せる者達も現れたが


見会いの相手は大抵、年寄りで

想いを寄せる者達も

若過ぎたり、性格に少々、問題があったりで

ワイアットが全て断った


もちろん、ヴァルジニテ王女も影で話を

壊したりしている


エリンは、ヴァルジニテ王女の気持ちに

気がつき

しばし、悩んだがヴァルジニテ王女を応援する事にした


更にはエリンは母親にも打ち明け、なんと説得に成功した

まだ何も知らないのは

ティエ本人とワイアットと風の王ヴァルーダ達

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