第4話 黒の国境の街 その宿
「到着は明け頃だろうか国境の街、黒の国には着くから」
「はい」
その王女の言葉通り
黒の国の国境の街にたどり着きました
街で一番の宿の上等な部屋を取り
風呂に入れられ上がった後には 用意された最高級の絹の服を纏い
食卓には黒の国 高価で貴重な食材で作られた温かな食事が並んでました
王女は既に食卓の席に座り
頬杖をつき、私が来るのを待ってました
「どうだ、食欲はあるか
疲れてるなら先に眠っても良い 食事は温めれば済む事だ」
心配そうに聞く王女
「いえ、大丈夫です
有難うございますヴァルジニテ王女様頂きますわ
ああ、故郷の黒の国の料理
二度と食べる事はないと思っておりました」
「あら?あのヴァルジニテ王女様
竜人の守護者の方々は?」
「別の部屋にいる
此処と同じく上等な部屋で今頃は食事をしてるだろう
うん・・・誰か部屋に来るようだな」
扉のノックをしたと思うとすぐにその部屋の扉が開く
「ヴァルジニテ王女様!!なんと無茶な事をなさるのですか!
我らに黙って黒の王宮から抜け出し、勝手に
父王様の竜人の守護者を連れ出して」
「ああ 父王の側近のゲルドニスか
朝早くから騒がしい
お前達がもたもたしておったから
我が又従姉の姫君を救いだした
ついでに国境の警備軍の一つの砦も潰したから
感謝しろ」
「捕らえた兵士達の捕虜百人との交換話は、
どうせまた、捕虜を返しても知らぬ顔をするだけだ
あの無慈悲で冷酷な白の宗主は・・」
「だから助けに行ったが何か文句あるか?
それに父王ヴァルーダ父上様にはちょっと借り受けたいと
許可は頂いたぞ」
「・・砦近くに捕虜がいたから 逃げたとは思うが?」
「あの、ヴァルジニテ王女
私の大事な従姉のティエ姫を助けてくれたのですか?
彼女は白の王都だと聞きましたが」
「ああ そうだ王都にいたが 何か?
我は子供だが、火焔の世代だぞ・・・ふふ
お前も来たか
まだ二十歳になったばかりの我が又従兄のリュース公ワイアット殿」
「テイエ姫はお前より1つか2つ上だったな」
「ほら、部屋の中だ 行ってやるがいい 皆で食事だ、まだ食べておらんだろう」
「はい王女様」
「ティエ姫、ワイアット殿だぞ、こっちは側近のゲルドニス・・あのゲルドだ」
泣きながらティエは二人を見つめる
「ああ、ワイアット
なんて大きく立派になられましたね
茶色のくせ毛に緑色の瞳はあの頃のまま・・・」
「ゲルドニス様、お久しぶりです
生きてまたお会い出来るなんて信じられない」
「ティエ姉さま!」ワイアットが彼女を抱きしめた
「王女様、感謝致します!有難うございます」
「うむ、良かった良かった
ワイアット、姫は敵国の白の国でとても辛い日々を過ごされた
心も治癒出来る薬師に
心優しい思いやりのある女官達を手配しろ
それから良く眠れる茶に必要なら薬もだ」
「はい、王女様
さあ、二人とも食事が冷めない内に食べるが良い」
「七歳前後の女の子とは思えない対応ですね」デイアル
「そうですわね うふふ」白いしっぽがゆらゆらりんするテイエ
「・・・お姫様を敵から助けた騎士さまって感じ?
微妙に正道からずれてるけど」
「そうよねえ
流石 あの豪快なヴァルジニテさま」
「長い黒髪のくせ毛 赤い瞳
ヴァルジニテ様も完璧なバデイだったけど 絡むと妖しいかも くくっ」
わやわやと騒ぐ他のギャラリーたち
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