第2話 幼い火焔の王女とテイエ姫

当時 黒の国を治めておられていたのは・・・

天使の様な心を持つ善王、風の王様

薬師の才を持つヴァルーダ様


私にとっては 叔父に当たられる方

私の父親は前のリュース公


二代目のリュース公の双子の弟ワイア伯爵

千年以上続く戦乱を終わらせる為に尽力した一人


私の祖母は白の国に見捨てられた白の王族の娘でした


当時 私の髪や瞳は白の王族と同じもの 

今も猫耳としっぽ以外外見は変わりません

あの頃は女王様達と同じ長い耳でした


史上、初の平和条約で

敵国の人質となり、数年で条約が破られると

すぐに処刑されてしまった 遺体は戻らなかった


それが私の父 ワイア伯爵


私は白の王都に父に会いに来てました

当時 13か14歳だったと思います


母はずっと父と一緒でしたが

妊娠して 黒の王国に一時帰還しておりました


兵士たちが踏み込んで来て、お父様や私達を捕えた

お父様の護衛の武官達は、

その場で切り殺されるか、魔法で殺され


女官達は何処かに連れて行かれました

一人だけ、数年後に逃げて戻って来た


白の王宮の兵士達の住まいで

皆、夜の相手をさせられたという事です

中には、自害した者も


私は、白の王族の一人の元に連れて行かれ

白の王族は天使か妖精の様に、美しい者達が多いのに

とても醜い男


その日の夜には、その男に手込めにされ乱暴され

側室の一人にされました


妊娠 流産

子供が持てない身体になりました


最初の前世 黒の王族、白の王族 貴族達の身体は

長寿である一定の年齢で成長が止まりますが その分成熟は遅れます

本来 子供が出来にくいので 発情期を迎えます

発情期のおかげで子供が持てる身体になったと知らされます


子供の身体に妊娠は重かったのです


あの頃 一番つらかったのは


ある時に馬車に見世物を見せると言って

街の広場に連れて行かれ

馬車の中からあの男は、ニヤニヤと笑いながら


人々が集まった、広場の中央を指を指し

そこにあったのは

晒し首となり、首だけの私の父の姿



絶望の毎日でした

もう生きて故郷の黒の国に戻れないと諦めていました

いつか、あの男を殺す事を夢に見て、それだけを支えに・・

例え処刑されても


そんな地獄の日々は

ある時に突然終わりを告げました


その夜

いつもの様に、私はあの男に抱かれようとした時に

後ろから女の子の声がしました


「その薄汚い手を離せ この外道が!!」

「知ってるぞ!この可哀想な美しい銀の髪と

黄昏の紫の瞳のリュース家の姫に何をしてきたかは

許さぬ!火焔の王女ヴァルジニテ


黒の王女である この私が我が又従姉の姫にした事を

今、この場で償ってもらう!」


まだどう見ても11歳前後頃の幼い綺麗な少女

美しい赤い火焔の瞳が煌めいていました 巻き毛の黒髪も揺らめいて


「黒の王女だと・・確かにあの風の王の子供に女の子がいると聞いたが

お前 なんと無謀な恐ろしき火焔の子とはいえ

まだ子供だ


しかも此処は白の国の王都だぞ 正気か?」


「一人ではない我が守護者の竜人もいる」「二人とも来い」


「はい」「はいヴァルジニテ王女様」


「あ、あり得ない二人の竜人の守護者だと聞いて知ってる

竜人の守護者は一人しか存在しないはずだ!」


「まさか!」

彼女に二人の竜人がかしずく


竜人は竜の顔と鱗を持った人種で怪力と剣の技を持つ無敵の者達

単性で男しかおらず、他の種族

主に人族との間に子供をなす黒の国に住む者達


「我には二人、神達より特別に与えられた

一人は父の竜人の守護者でもある

子供と思い、この私を侮らぬ方が良い


まぁこの場で罪深きお前には死んでもらう!」


「炎の大蛇!!我が敵を焼くがいい!」


「ぎやああ!!」

炎の形の大きな大蛇が出現して身体に巻き付く


「うわああ!!熱い!熱いい!」

「み、水!!魔法の水!!癒しの水!!現れて私を癒せ 炎を消せえ!!」


「無駄無駄!とうの昔に お前の魔法は封じた…ふふ」


「な、白の王族 私の魔法をうおおっ!!熱いい!」


「せいぜい泣きわめけ獣(けだもの)」


「黒の王族 最高の火焔の世代を

怒らせるとこうなる その程度の魔力・・大した事ない」

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