第2.5話 第2話の裏で

 生徒会長・黒崎千尋が個別任務に向かった後詳しくは第2話を見てね、残された生徒会室の二人。


「私は生徒会副会長の桃乃一夏。ちなみに役員は全員あなたと同じ一年だから、仲良くしようね。

 で、さっそく仕事の話をするけど……」



「——というのがうちの生徒会の通常業務。細かいことはその都度教えていくね」

「わかったわ」

「ところであなた……アイドルの黄瀬七葉で間違いない?」

「え、うん」

「どうして生徒会に?」

「理事長……に言われて」

「本当に? ヒロくんが目当てだったりしない?」

「ヒロくん……?」

「黒木千尋……さっきの生徒会長だよ」

「あいつ⁉ ないない! なんで私があいつ目当てで生徒会に入るのよ!」

「だって普通転校してすぐ生徒会なんて入らないでしょ?」

「まあ、そうかも」

「でもアイドルが転校してきていきなりヒロくんに惚れるなんて……ラブコメじゃあるまいしあるわけないか」

「そうよ! あんな失礼な奴誰が惚れるものかってのよ!」

「失礼?」

「あいつ私のこといきなりゴリラとか言うのよ⁉ そりゃ確かに引ったくりと間違えて蹴り飛ばしたのは悪かったわよ。でもだからって……」

「あの時の金髪ゴリラ⁉」

「…………」

「…………」

「よく聞こえなかったわ。もう一度、言って下さる?」

「引ったくりを捕まえようとした正義の金髪美少女さん……?」

「…………はぁ。ま、そうよ。

 ほんとあいつのせいで最初からクラスで変なイメージ持たれるところだったわよ。

 別に可愛いだけでやってくつもりないからいいんだけど。一応最初は……」

「そうだ。アイドルやってるなら、あの時みたいな蹴り飛ばすとかって印象的にマズいんじゃないの?」

「問題ないわ。あんたも少しは私のこと知ってるなら分かるかもだけど、私は可愛いだけのアイドルじゃなくて、同時にかっこよさも持ち合わせてるの。だからアレは寧ろファンに喜ばれるくらいね」

「まあ間違えて引ったくりを捕まえようとしていた学生にドロップキックしてたけどね」

「…………何か?」

「…………何も?」

「………………」

「………………」

(なんで生徒会の会長・副会長が揃ってこんなに失礼なの? でも……)

(私の乙女センサーがこの子をヒロくんに近づけるなと言っている。でも……)

「「……これからよろしく」」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る