story5

“youth-Ⅲ”は睡眠に特化したヘルスケアシステム。

自分の疲れ具合などから最適な睡眠時間などを導き出し、

教えてくれるのだが…。


壊れているのなら仕方ない。


「父さん。“youth-Ⅲ”壊れてんぞーー。」


「え⁉︎嘘ーー!まあまあ高かったのに…泣」


善宗が最近買ったAIphoneで、“youth-Ⅲ”の新型を注文した。


--俺いらないって言ったのに。


まあともかく、仕方がないので、そのまま寝ることにする。

機械に頼ることなく眠りにつくのは何年ぶりだろうか。


とは言っても、「寝る」を実行するのは僕なのだが。


ベッドに横になると、急に今日1日分の疲れを感じた。


運動したわけではないが、

少し筋肉痛のような感覚もある。


気がつくと、寝ていた。


〜 〜 〜


目が覚めると、勇者に転生していた。


「っしゃーーー!俺主人公きた!!」


周りにいる大人にすんごい引かれた。


--うるせえ、黙って平伏しやがれ平民が。



さて、どういうストーリなのかを理解しなければならない。

敵は誰なのか。なぜ敵なのか。なぜ俺は勇者なのか、

ヒロインは誰か、人と関わらないでクリアする方法はあるのか。


--あ、まずい。また陰キャになっちまった。


みなさんが想像するのは“陰キャを脱する5の方法”だろうが、

実はあの本無くしたので新しい本をネットで買っておいた。


“陰と陽の差をなくせ”(北日本大学教授 伊切真久里)


この本、実に面白いのである。


「バロン!バロン、どこにいるの?」


女性の声が聞こえる。どうやら母親のようだ。


「ここだよ!!」


まあまあの声で叫んだのだが、応答はない。


「バロン?バロン!!!」


っていうか周り見てなかった。

ってことで見渡してみると…。


なんか、森にいた。


--あれ、さっき俺を冷たい目で見てきたやつは誰だ?


「おい、お前。大人しくしろ。」


男にナイフを首元に押し付けられた。


ちょっと待て。主人公なのにいきなりピンチかよ。

あ、そうか!このピンチを脱して実力を認められるのか!


--よし!


「おらああああああ!」


縛られた手をうまく使って、ナイフを持った男の顔を攻撃。

怯んだ隙に立ち上がって逃走…。


いやだめだ。ここで逃げたらせっかくの

実力を認めてもらうチャンスを台無しにしてしまうかもしれない。


顔を抑えて倒れている男に、飛び乗ってダメージを与え…

ようとしたとき、誰かが来た。


「おーーーい!大和⁉︎何してるの、学校遅れるわよ!」


しゃもじ持ったお母さんが来た。

2070になってしゃもじとか、時代遅れとか言う次元ではない。


--いやちょっと待てまさかこれ…


夢か⁉︎

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