story4
--灼熱地獄の方がだいぶマシだぞこりゃ。
「一体どんな食材使ったらここまで料理を破壊できるんだ…。」
「ん?今なんか言った?」
「いえ、なんでもこざいません!美味しいですねぇこれ!」
一家の大黒柱、善宗でもこれである。
家庭内の母が握る権力というのは、本当にすごいものだと改めて思った。
なんとか地獄を生き延びた俺は、自室のベットへ寝転んだ。
父の善宗。さっきはああだったが、実は意外とすごい人だ。
株式会社“任丹堂”で、10年前に大流行したゲーム機“Pocket-α”の
ゲームソフト、“color palette”の考案者であり、メインエンジニアでもある。
今は任丹堂を辞め、フリーランスでエンジニアの仕事を引き受けている。
スマートフォンで“newS”を開いた。
5年前にサービス開始されて以降、多くの国民が使っている
日本の大手SNSだ。
主な機能は、100文字以内の文章や写真の投稿、
他アカウントの投稿に対する閲覧、“いいね”、
そして一番の便利機能が、他アプリとの紐付けだ。
“newS”の親会社“across”は、複数のスマートフォン向けアプリを開発、
運営している。その中に、動画投稿サービス“all movie”や
音声配信サービス“Timesline”がある。
これらの利用に、“newS”のアカウントを紐づけると、
自動的に“newS”の利用者たちに広告を通じて宣伝されるのだ。
まあ要するに、承認欲求の強い陽キャ様が
欲を満たすために使うものってことだ。
ではなぜ俺が使っているか。それは…もう皆さんお分かりだろう。
“陰キャを脱する5の方法”に書いてあったからだ。
--あ、木村が投稿してる。
『テスト前最後のカラオケ!!クラスの奴らと行ってきたぜ!
“チューイングラブ”歌ってきたぜ!』
--チューイングガムのcmかよ。
おっと、これもダメだ。
下手なツッコミは陰キャの象徴らしい
毎度お馴染み、“陰キャを脱する5の方法”の悪例にあった。
--さて寝るか。
「youth-Ⅲ!睡眠を計画して。」
ありゃ?反応がない。
こりゃ壊れたな。
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