第45話 御郭良妥莉愛の華麗なる日常

「葵、キスなさい」



 忘れもしない、あの子がこの屋敷に来て、初めて迎えた朝のこと。


 わたくしが言うと、あおいは呆けたような顔をしていました。


 あ、あら……? 思っていた反応と違いますわ。わたくしの予定では――



 ――



 ――――



「うん、ダリアちゃん」


「ふふっ。いい子ね。……んっ、好きですわ葵」


「んっ。ボクも……好きだよ。ダリアちゃん……」




 ――――



 ――




 みたいな感じになる予定でしたのに! なんか変な空気になってしまいましたわ!



「聞こえたでしょう? キスなさいと言いましたの」


 そう言ってみましたが、それでも葵は呆然として……。こっ、これはまずいですわね……こうなったら……っ!


「葵、これは命令よ。キスなさい。それとも、わたくしに逆らうつもり? もう約束を忘れたのかしら? それなら――」



 ――思い出させてあげるわ。



 引くに引けなくなったわたくしは、勢いに任せて、自分から唇を重ねて……





「うぅ……ん……なんでですの……」


 急に映像が遠くなって、うわごとのような声が聞こえました。それが自分の声とはすぐには分かりませんでしたが……


「お時間ですよお嬢様。起きてください。お紅茶も冷めてしまいます」



 今度聞こえてきたのは葵の声。どうやら、夜が明けたみたいですわね。けれど……まったく、何度も言っていますのに。



「今ここにはわたくしたちしかいませんのよ。それに、忘れていることもありますでしょう?」


「で、でも……」


 すると、葵は躊躇うフリをします。いつものように。


「逆らうつもり? あなた、わたしに逆らえる立場だったかしら」


 このやり取りをするとき、顔に薄い笑みが浮かぶのが自分でも分かりますわ。



 葵はその場にしゃがみ込み、わたくしの顔に自分の顔を近づけ、そして――



「ん……っ」



 あっさりと、わたくしたちの唇は重なります。けれど、それだけ。わたくしはこれ以上はなにもしません。だって……



 葵が、わたくしの頭を両手で挟むようにして自分の顔に押し付け、そこへさらに自分の顔も押し付けてきますから。



「んむぅ……っ!?」



 来ると分かっていても、やっぱり驚いてしまいますわね……!


 いつからか、葵はこうして、わたくしを攻めるようになってきました。まったく、かわいらしい顔をして、意外と……っ!?



 あまりにビックリして、わたくしの体は大きく震えます。


 こ……この子! わたくしの口の中に舌を入れようとして来ましたわっ!?


 思わず、反射的に、葵を突き飛ばすようにして顔を離してしまいました……。



「の、喉が渇きましたわ。紅茶戴ける?」




 葵がわたくしの屋敷で働くようになって、今年で十年目。さすがに、紅茶の入れ方も洗練されてきましたわね。


 これを飲まないと目が覚めない体になってしまいましたもの。



「……やっぱり、寝起きはこれに限りますわね」


 褒めたつもりでそう言いましたら、


「これに限るって、どっちのこと? 紅茶? それとも……キス?」


「ぶふっ!?」


 予想外の返しに、わたくしとしたことが、紅茶を噴き出してしまいます。



「きゅっ、急になにを言い出しますのあなたはっ!?」


「どっちも毎朝やっているから、気になっちゃって……」


「そっ、それは……べ、別にどちらでもよろしいでしょう!?」


 基本的には従順なくせに、なんなんですの、もう! 調子が狂いますわ!



 キスといい今のことといい、ときどき、この子のことが分からなくなりますわ……いったい、なにを考えているんだか……




 十年前――。


 葵のお父様の会社が倒産した、という話を聞いてすぐ、わたくしはすぐにお父様にある話をしました。



(――「お父様、葵のお父様を助けて下さらない?」――)



 このままでは、葵の家族は多額の借金を抱えたまま路頭に迷うことになる。だから助けてあげてほしい。


 当時から、わたくしと葵は仲が良かった。その理由の一つは、わたくしたちのお父様同士が旧知の仲だった、というのが一つですが、わたくしにとって、葵はかけがえのない人であり、恩人でしたから。


 お父様は承諾してくださいましたけど、当時を思い出すに、おそらくわたくしが何も言わずとも手を差し伸べていたでしょう。


 かくして、葵のお父様はわたくしのお父様の会社で働くことになりました。そして、葵も……。



(――「葵! あなた、これからわたくしのお屋敷で働きなさい! お屋敷に住み込み、わたくしの身の回りの世話をするのです! そうすれば、あなたのお父様を、わたくしのお父様の会社で雇って差し上げます! 一刀両断とはこのことですわ! おーーっほっほっほっほっほっほっ!!」――)



 当時、珍しく不安そうな葵のまえで、わたくしはいつものように……いいえ、いつも以上に、胸を張って言いました。



(――「それから、あなたはこれからわたくしに逆らわないこと。どんな命令にも、必ず従いなさい。いかなる場合においても、口答えは許しません。いいわね?」――)


 いま思うと、我ながら無茶をしたと、思わなくもありません。でも、それも致し方ありません。だって……



 わたくしはどーーーーしても、葵を自分のものにしたかったんですわっ!!



 初めて会ったときから、わたくしは葵のことが大好きです! 葵を自分だけのものにして、わたくしの言いなりにできたらどれだけ幸せだろうと思っておりましたっ!!


 葵に着替えさせてもらったり体を洗ってもらったりしてほしかったのですっ!! もう毎日妄想に耽ってましたものっ!!!



 そして! わたくしは!! その夢を叶えたのですっ!!!



 おーっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほ!!!!



 とまあ、最初は天にも昇る心地でしたけど……



 なんか……思っていた状況と、ちょっと違う気がしますわ。



 わたくしはもうちょっと、甘酸っぱい生活を想像していたんですけれど……変ですわね。どこで間違えたのかしら。


 というか……さむい。わたくし、まだ半裸じゃありませんの。



「葵、早くしてくださる? 風邪をひいてしまうわ」


「う、うん……」



 返事をして、葵は実際にわたくしを着替えさせてくれます。迅速かつ、丁寧に。


 ……この子、毎日こうなんですのよね。こっちは半裸ですのに。下着姿ですのに。自分で言うのもなんですけどスタイルには自信がありますのに! なんとも思わないのかしら?


 そんなの……そんなの……



 すっごく興奮するじゃありませんのっ!!



 好きな子に放置され、お預けを食らっているこの感じ……とてつもなく興奮しますわっ!!



「ダリアちゃん、終わったよ」


「ええ」


 状況も着付けも完璧。思わず、満足げな笑みを浮かべてしまうというものです。


「ありがとう、葵」


「うん」


 答えるや否や、わたくしはまた葵にキスをします。


 ……やはり、葵はすこしも抵抗はしませんわね。



 思うに、多分これがダメなのでしょうね。


 一番最初に直接的なことをしてしまい……しかもそれが間違った選択肢だったために、こんな状況に……。



 たぶんお互いに、引くに引けないというか、真意を測りかねているんじゃないかしら。


 でもだからといって、いまさらキスを止めるのも、なんだか負けたみたいでイヤですし……っ!?



 まっ、また……!? わたくしの思考の間を縫うようにして、口内に舌が滑り込んで……もうっ!


 また、思わず逃げるようにして、顔を離してしまいます……。これも、原因の一つなのでしょうね、おそらく。


 でっ、でも、仕方のないことですわ! だってビックリするんですもの!


 とっ、とにかく、あくまでも冷静を装わなければ。



「もういいですわ。わたくしは朝ごはんをいただきます」


 感情を隠したり抑えたりするのは苦手ですけれど、最近は慣れて来た気もしますわ……。


 なぜか、逃げるようにして部屋を出てしまうのも、いけないことなのかしら。でも……



 どうして、舌を入れてくるのでしょう。立場上断らないのは当然として、なぜ自分からプラスαを?



 まさか、わたくしのことが好きなんですのっ!?


 いや……でもこの子、わたくしの下着姿や裸を見ても、たいして反応を示さないのよね。



 好きな人への反応がそれって、考えによっては異常な気がしますわ。でも……


 じゃあ、なんでかしら……?



 ああ、もうっ!


 わたくしをこんな気持ちにさせるだなんて、一体どういうつもりですの!?



 もうわたくしには、葵の気持ちが分かりませんわっ!!




 はやく漕ぎすぎないように注意しつつ、しかし自転車の速度は緩めません。一刻もはやく登校しなければ!


 わたくしのお屋敷から自転車で十分ほどのところに、私立白鳥峰学院はあります。


 時間は朝の七時前。生徒はもちろん、先生方さえまだいらしていない方も多いでしょう。



「おはようございますわっ!!」



 礼儀として、挨拶をしながら教室のドアを開けますが……ふふっ。いつも通りの結果に、わたくしの頬は緩んでしまいます。


 教室には、まだだれの姿もありません。つまり、今日もわたくしたちの勝ちですっ!←(?)



「やりましたわ葵っ! 今日もわたくしたちが一番ですわよっ!!」


 満足のいく結果。葵とも喜びを分かち合いたかったのですが……



「ねえ、ダリアちゃん。こんなに早く来るの、もうやめない?」


 なぜか葵は困ったような笑顔で困ったような声。……あ、あら?


「なにを言っていますの!? 御郭良みかくら家長女のわたくしが二番になるなど、決して許されない話です! なら、登校するのも一番でありませんと!」


 なぜかしら? どうしてか、たまに葵との温度差を感じてしまいます。


 仕方ありませんわね。では、もう一つの理由を出しましょう。



「それに、この時間に来る理由は、それ一つではありません」


 それを教えるしかないようね。わたくしは扉を閉めて、葵の顎を掴むと無理やりに上をむかせます。



「ん……っ」



 葵の口をふさいだときに聞こえてきたのは、鼻息のような声でした。


 ふふっ。この子、学園でするときはいつもより顔を赤くするんですのよね。顔を赤くして、唇だけでなく、体までわたくしに押し付けて……



「んむぅ……っ!?」



 こ、この子……! 今度声を漏らしたのはわたくし。葵が、また舌を滑り込ませてきたから。


「ぁん……っ」


 だれですの今の声……葵? いえ……わたくし!? わたくしが、あんな声を出すなんて……い、いけませんわ……! なんだか、変な気持ちに……!


 体をよじって逃げようとしても……この子! また体を押し付けてきて……もうっ!



「っ!」


 わたくしは葵を突き飛ばすみたいにして体をはがすことで、ようやく逃れることに成功しました。


「もっ、もういいですわ。だれかが来るかもしれませんもの」


 クラスメイトが来るまでまだ時間はありますが……万が一ということもありますものね、ええ。



 まったく、本当に読めない子……




 クラスメイトの方々が来始めたのは、大体二十八分後。わたくしは一人一人に挨拶をします。だって、挨拶は大事だとお父様もお母様もおしゃっていますもの!


 ……あら、そろそろですわね。ドアの前で待っていることにしましょうか。


 やがて、ガラッとドアが開いて入ってきたのは、二人の女子生徒。



「ごきげんよう、伊集院いじゅういんさん! そして来ましたわね、天王洲てんのうすさくら! 今日こそあなたとの決着をつけますわよっ!!」


 わたくしはその片方にむけて宣言します!


 その女子生徒の名は、天王洲桜! わたくしのライバルですわ!!



 忘れもしない入学式の日、わたくしは新入生代表としてあいさつをするつもりでした。それなのに、代表挨拶をしたのは天王洲桜! しかも入試では全教科満点の首席合格というじゃありませんの! わたくしは二番目! とんでもない屈辱です!


 御郭良家の長女たるもの、なにに対しても一番でなくてはなりません! だからこそわたくしは、入学式からずっと天王洲桜に色々なことで勝負を挑んでますのに……



「ダリアちゃん、今日も元気だねー」


 いつもの通り、のほほんとした天王洲桜。なんて緊張感のない人でしょう!


「今日はどんな勝負する?」


 な、なんか……ちょっと軽すぎませんかしら?


 もっとまじめに聞いてもらわないと困りますわ! ここはハッキリ言っておきませんと!



「ちょっとあなた! 真面目に聞いてますの!?」


「聞いてるよ。勝負するんでしょ? なにする?」


「あなたやっぱりふざけてますでしょう!」



 まったくなんて人ですの!?


 でも、今日こそ証明して見せます! あなたよりも、わたくしの方が優れていると!


 


「おーーっほっほっほっほっほっほっほっほっ! ついにこの時が来ましたわ!」


 待ちに待った時間がやってきて、わたくしは思わず高笑いをしてしまいます。


「今日こそあなたを倒して見せますわ! この……テニスで!」



 三時間目の科目は体育。そして競技はテニス! これはもう、勝ったも同然ですわ!


「ほうほう、プロに教えてもらったことのあるわたしに挑むとは、すごい自信だねえ」


「そのくらい、わたくしにだってありますわ! 世界ランク十位の方にご調教いただきましたのよ!」



 クラスメイトの方々がわたくしを見てきました。ふふっ、驚かせてしまったようですわね。それもそうでしょう。だって、プロの方に教えていただく機会なんて、滅多にありませんものね!


 そしてわたくしは、そのプロの先生に褒められるくらいの腕前! 今日こそ年金の……いえ、年貢? だったかしら? ともかく、納め時です!




「さあ、始めますわよ!」


「うん。サーブはダリアちゃんからでいいよ」


 コートに移動した後、あろうことかそう言われました。まったく、やはりふざけた人!



「そうはいきませんわ! いついかなる時も、勝負は常に公平でありませんと! 先攻後攻はきちんと決めます!」


「そう? 真面目だなあ」


 あなたが軽すぎるだけではなくて?


 わたくしがラケットを回し、天王洲桜は表を選択。結果、先行は彼女でわたくしは後攻となりました。



「じゃあ、行くよ」


「ええ。いつでも……」


 どうぞ、というよりも早く、天王洲桜のサーブは見事にわたくしのコートに入りました。……って、えぇっ!?



「や、やりますわね……!」


「ありがとう。じつはね、テニスは小さいころからやってたんだ。お父さんに言われて」


 そういえば、天王洲桜のお父様はこの学園の理事長を務めているお方。であれば、学園とおなじ教育方針を子供に用いておられても不思議はありませんものね。


 わたくしとしたことが……ぬかりましたわ……!



「ダリアちゃん!」


 とか思っている間に、ボールをバウンドさせていた天王洲桜が、



 カッ



 と見事なサーブを。



「っ!」


 やりましたわ! さっきはちょっと不意を突かれましたが、そう何点も取られるわけにはいきません!


 いかないのですか……くっ! 意外にやりますわね!


 わたくしも点を取れてはいますが、それを上回るスピードで取られてしまっています!



「やりますわね天王洲桜! このわたくしと渡り合うなんて!」


「ダリアちゃんこそ! テニス本当にうまいんだねっ!」


 なんて、ちょっと強がってみましたが……


 

 まっ、マズいですわ……! このままじゃ……って、あら?



 いつの間にか、歓声が聞こえるような……? 気づけば、わたくしたちのコートの周りには、生徒たちが集まっていました。


 そしてその中には……葵もいるじゃありませんの! これはいよいよ負けられませんわね!



 ……あら? 気のせいかしら? なんだかさっきより、天王洲桜のサーブが強くなっているような……?



 まあ、いいですわ! 今日こそ見せて差し上げます! わたくしが勝つところを――!




 と、思っていましたのに……


「今日も負けてしまいましたわ……」


 授業が終わった後、わたくしはのどを潤すために自動販売機へと葵とともに向かいました。その道中、思わずため息が漏れてしまいます。


 食堂前の自動販売機は少し距離があるため、この時間帯は人がすくないのですが……仕方ありませんわね。葵の好きなココアは、そこにしか売っていませんから。



「ざ、残念だったね」


「もうっ! 今日こそは勝てると思いましたのに!」


「で、でも、惜しかったよ。一セットは取れたじゃない?」


「確かにそうですが……」


 自信があっただけに、ちょっとショックです。それに、せっかく葵も見ていましたのに……



 わたくしはため息をつきつつ、なにを買うかを選びます。……紅茶……もあるにはありますが、ここにあるようなものはちょっと。お水にしましょう。


 葵はいつも通りココアを買って、わたくしたちは帰ろうとしたのですが……


「ダリアちゃん」


 急に葵に名前を呼ばれたかと思い、振り返ると……



「んむぅっ!?」



 口の中いっぱいに、甘い味が……これは……ココア、かしら……?


 そして鼻先には――



「っぷは。 葵!? なんなんですの急にむぅ!?」


 また口を塞がれ、広がるのはココアの味……けれど、なにかが変。味が薄い。まるで水で薄めたみたいな……変な味。葵とキスをしているのに、こんなのって……



「っは。……大丈夫だよ、ダリアちゃん」


「はっ、はぁっ? なんなんですの!? あなた、わたくしにこんなことっ!?」



 ってまたですの!? いい加減になさいな! って言いたいですけど、口が塞がってて無理ですわ!



「はぁ……。あのね、ダリアちゃん」


「は、はぃ!?」


 もう訳が分かりませんわ! なんだか頭がボーっとしてきました。ど、どうしましょう……


「大丈夫だよ」


「なっ、なにが……」



「ダリアちゃんは、ずっと一番を取れてるよ。ボクの中で」



 急にそんなことを言われたので、またわたくしの頭は真っ白になってしまいました。


「ボクを助けてくれたあの日から、ずっと一番のままだから。だから、これからも一番でいてほしいの」


 ……なっ、なに? なんなんですのこの子は! 急にこんなことを言うだなんて! けれど……



「そ、そんなの……当然でしょう? 言われるまでもありません」


「じゃあ、堂々としててよ。いつもみたいに」


 葵はまっすぐにわたくしを見て、まっすぐな言葉をかけてきます。


 だからかしら? わたくしは、葵から目をそらすことができなくて……でも、そうですわね……こんなの、わたくしらしくありませんわ! 御郭良の長女たるもの、いかなる時も常に堂々としていませんと!


 わたくしは葵を抱き寄せて、その口を自分の口で塞いでやります! そう、だってこうするのはわたくしの仕事ですもの!



 口の中に広がるのは、先ほどまでとおなじココアの味。けれど……どうしてかしら? さっきまでとは違って、ハッキリと味を確かめることができました。それは……そう、とろけるように、甘い味。



 なぜかしら。いつも通っている学校のはずなのに、まるで初めてきた場所みたいに感じます。


 いつもより頭がふわふわとして、いつもより体が熱くて、そしていつもより……葵を愛おしく感じる……



「覚悟なさい、葵。わたくしの許可なくあんな真似をするなんて……お仕置きが必要ね」



 大見得を切りましたが……いつまた舌を入れられるのかと思うと、ドキドキしますけれど……あら? 珍しく入れてきませんわ。どうして……


 い、いや! 別にいじゃありませんの! これじゃまるで、わたくしがそれを求めているみたい! そんなこと……! ないと思い……ますわ……。でも……



 このキスは、今までで一番甘いキス、ですわね――

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