第29話 文化祭前夜

 ――――



 ――――――――




 ガバッ


 急になにかに引き寄せられるみたいになって、気がつくとさっきまでと視界が変わってる。


 ここは……私の部屋だ。


 それに気づいたとき、スマホのアラームが鳴っていることに気づいた。


 見ると、時間は朝の七時。


 今日は平日だから、もう起きなきゃな時間だ。つまり私は、いま夢を見ていたわけで。夢……夢を……



 うわあああああああああああああああああああああああああああああっ!!



 両手で顔を抑えて、ベッドの上で身もだえる。


 なんて、なんて夢を見てるんだ私は……!


 これじゃまるで、私がさくらとそうなることを望んでいるみたい……いやいや!


 なんだかおかしなことを考えちゃってたので、私は慌てて頭を振る。


 べつに、そういうアレじゃない。これはその……そう! 練習! 練習のせいだ!


 ここ数日、さくらと毎日のように劇の練習をして、がんばってセリフを覚えてきたから。それでその……そのせいだ、きっと。


 でも、『ハムレット』にあんなシーンは……



 …………


 ……………………



 もっ、もう起きよう。今日は大事な日。遅れるわけにはいかないから――




 私たちはいつもとおなじ時間に登校した。


 教室に入ると、もうほとんどの人たちが登校しているみたいだった。


 なんだか、みんないつもよりテンションが高い気がする。クラスの人たちだけじゃなくて、ほかの人たちも。


 学園全体が、浮足立っているというか、ちょっといつもと違う雰囲気だ。


「おーーっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっ!!」


 いつも通りの人もいるけど。でも……



 いつも通りでないのは、ひょっとしたら私もおなじかもしれない。


 変な夢を見ちゃったからって理由以外にも、もう一つ。


「葵ちゃん、玉結び、こんな感じで大丈夫かな?」


「うん。大丈夫だよ、伊集院さん。よくできてる」


 見せると、葵ちゃんからのOKがでた。



 一時間目。私は裁縫をしていた。私以外の人も、ほとんどそうしてる。といって、家庭科の授業ってわけじゃない。


 文化祭の本番を明日に控え、私たちはその準備に追われていた。


 準備っていっても、私たちがやるのは劇なわけだから、出店をやるクラスと違い、するのは主に衣装づくりだ。


 クラスの実行委員の人は、舞台の下見や上映時間の確認のために劇場に行ってるけど。それに……



「それにしても、退屈ですわね」


 ちくちく針を動かしながら、御郭良さんが言った。


「天王洲桜がいないんじゃ、張り合いがありませんわ」


 その言葉の通り、いまさくらは教室にはいなかった。生徒会の仕事で、忙しくしているみたい。



「退屈ですわ……」


 言いながらも、御郭良さんの手は止まっていない。ていうか……


「御郭良さん、裁縫上手だね」


 手つきが手馴れてる感じだ。普段からやってるのかな? 訊いてみると、


「ええ。講師の方を雇って、週一回習っておりますわ。葵も一緒に」


 マジか。そこまでしてるんだ。見ると、葵ちゃんの手つきもなめらかで、テキパキと衣装を縫っていく。



 二人ともすごい。私はといえば……ま、それはいいか。ついさっき針で親指を刺して、葵ちゃんに絆創膏を貰ったことくらい、どうでもいいじゃないか。……結構痛かった。


 もしさくらがいたら……って、いやいや!


 なんか、ちょっと変なことを考えちゃってたので、慌てて顔を横に振る。


 べつにさくらは関係ないじゃん。いたからどうなるってわけでもないし。もう、なんか最近こんなことばっかり……



「い、伊集院さん、ちゃんと手元見ないと」



 グサッ



「危ないよ……」


 葵ちゃんが忠告してくれたっぽいけど、それを上回る速さで私がやらかした。



 また、針が私の指に勢いよく突き刺さった。




 五分後。私は劇場に来ていた。


 二回もケガをしてしまった私は、クラスで作業をしていた実行委員の人から、劇場の準備を手伝うように言われた。


 劇場で行われている作業は、プログラムの確認、照明の調整、使われる音楽の確認と、それに劇場の掃除だ。



 前半はほとんど実行委員の人たちの仕事だから、私がやるのは掃除だ。


 劇場には、もう掃除をしている人が何人かいた。……どうしよ。いや、掃除をしに来たんだけど、なにからしたらいいんだろ?


 知らない人に話しかけるのは、ちょっと私には敷居が高い。おなじクラスの人……うーん、あんまり話したことない人はなあ。生徒よりも先生の方が、まだ話しかけやすいかも。


 そう思って、先生を探していると……あ。



 見つけた。先生じゃなくて……さくらを。


 さくらは、劇場の端でだれかと話していた。多分上級生。リボンの色から考えて……二年生かな?


 だれだろあの人。私は知らない人だ。生徒会の人? それとも、二年生の実行委員の人かな……? ちょっと、ちょっと気になって、見てたんだけど……



 目をそらす。べつに目が合いそうになったってわけじゃないけど、話を終えたらしいさくらが歩き出したから、つい……


 えっと、どうしよう。そらした視線をどうすればいいか分からなくなる。


 まえにもこんなことがあったっけ。駅で視線が合って、思わず視線をそらしてしまった、あのとき。いまは視線が合っていたわけじゃない。多分、さくらは私に気づいてもいない。だからあのときみたいに、罪悪感なんてない。それなのに……



 もう、やめやめ。いちおう仕事しに来たんだから。掃除しなきゃ。




 掃除が一区切りつくと、お昼の時間になった。


 裁縫で戦力外の私は、クラスの何人かの人たちとお昼の買い出しへむかう。葵ちゃんと御郭良さんは裁縫が上手だから、作業を優先。だから私は、あんまり話したことのない人たちと買い出しに行くことになった。


 だからどうってこともないんだけど、やっぱりさくらと一緒にいるときとは違う。どうしたって気を遣う。だから、ちょっと精神的に疲れてしまった。



 お昼は近くのコンビニで買った。白鳥峰学園の購買部では、パン屋から直接卸してもらった焼き立てのパンを売っているんだけど、今日はかなり混んでいたので、外のお店を利用したクラスは多かったみたい。コンビニには、私たち以外の生徒の姿もあったし。



 お昼ご飯をすませた後は、私は作業に戻ることになった。


 午前中から作業していた人は、気分転換も兼ねてべつの作業へ。私は家庭科室に移動して、ミシンを使っての衣装づくりに戻る。


 手作業じゃアレだったけど、ミシンを使ってならなんとか……うん。


 家庭科室には、劇をするクラスがミシンを使っているみたいで、結構賑わっている。私もそこに交じって、作業していたんだけど……



 終わりそうにないな……


 いちおう、今日以前にもちょっとづつ作ってはいた。放課後に用事がない人で集まって、型紙を作って紙に製図して……みたいな作業。ここら辺は、御郭良さんが中心になってやってた気がする。衣装に使う布も、御郭良さんの知り合いの手芸店から買ったものらしい。いちおう、友達がそうやってるわけだし、私も何度か残って手伝ったことがあるけど……


 それでも、今日中には終わらないかもしれない。私と一緒に作業している人もそう思ったみたいで、どうしようかみたいな話になった。


 まあ、どうしようもなにも、こうなっちゃったら方法は――




「あら、学園にお泊りですの?」


 事情を聴いた御郭良さんが、とくに驚いた様子もなく言った。


「まあ、そうですわね。いまの進捗状況では、下校時間には間に合いそうもありませんし。仕方がありませんわっ!」


 なんだろ。なんか、ちょっとうれしそうな顔をしてる気もするけど……思ったより冷静だなこの人。ちょっと意外かも。



「伊集院さん? どうかしまして?」


「うぅん、なんでもない。ちょっとボーっとしちゃって……」


「あらそう」


 御郭良さんは、とくに気にした様子もなく引いてくれる。


 よかった。「わたくしがすべて仕上げてみせますわ!」とか言って無茶すると思って……とは言えないし。



 でも、それはないか。御郭良さんって、さくらが絡まなければ基本的に常識人だし。


 とか思っていると……


「つーばきちゃんっ」


 肩に重みが来た。何度か悲鳴上げちゃってたけど、さすがに慣れた。それに、この重みも、ちょっと心地いいし。……いや、本当にちょっとだけね。


「生徒会はいいの? さくら」


「うん。仕事は、本当に、いくらでもあるんだけどね。でも、ずっとそれだけってわけにもいかないから。交代で自分のクラスの様子を見ることにしてるの」


「そうなんだ……」


 てことは、またすぐに生徒会に戻っちゃうのかな。



「ね、さっきクラスの子から聞いたんだけど、みんな、今日はお泊りするの?」


「うん。このままだと終わりそうにないから」


 あれ? なんか、あたり前のように止まる流れになっちゃったけど、白鳥学園って泊まり込みしてもいいのかな? 気になって訊いてみると、


「大丈夫だよ。先生に言って、職員室に許可書を提出すれば」



 さくらがそう言ったところで、ちょうど実行委員の人が戻ってきた。さくらが言った通り、泊まり込むことを担任の先生に報告して、許可書を提出してきたらしい。


 学園に泊まるってことが決まって、クラスの人たちはなんだかテンションが上がってるっぽい。けど……そっか。泊まり込むのか。



「伊集院さん、どうかしたの?」


 気づくと、葵ちゃんがちょっと心配するみたいに眉を寄せていた。いけないいけない。


「うぅん、なんでもない。ただその……私ね、学校にお泊りするなんて初めてだから、緊張しちゃって」


「中学生の時は泊まらなかったの?」


「う、うん。OKではあったんだけど……用事があったから、泊まれなかったんだ……葵ちゃんは?」


「もちろん泊まりましたわっ!」


 葵ちゃんが口を開きかけたところで、なぜか御郭良さんが声を上げた。



「わたくしたちのクラスは終わりましたけれど、ほかのクラスの方が人手が足りなくて困っているご様子でしたので。困っている方を助けるのが、我が家の家訓ですもの!」


 御郭良さんは胸を張って言ったんだけど、


「ダリアちゃんはね、一度学校にお泊りしてみたかったんだよ」


 一瞬で葵ちゃんにネタばらしをされていた。


「あ、葵っ! 余計なことは言わなくていいのです!」


 顔を赤くして言う御郭良さん。それを見たさくらが「あはは」と笑った。



「ダリアちゃんって、そういうところかわいいよね」


「でしょ?」


「うるさいですわっ!」


 なぜか逆ギレ(?)。でもたしかに、この人妙なところで子供っぽいっていうか、かわいいところあるよなあ。



「一度泊まってみたかったのです。そういう、非日常体験と言いますか、そういうことに憧れていたもので。まあ、いざ体験してみると、べつにどうということはありませんでしたが」


 同時にクールというか、冷めてるけど。


「そういうあなたはどうなんですの? 学校に泊まったことはありまして?」


「あるよ。中学生のときは、わたし実行委員だったから」


 そうなんだっけ……。中学のときは、あんまり詳しく知らないんだよね。さくらとは、学校はおなじだけどクラスが違ったから。


 そっか。てことは、今回が初めてなんだ。さくらと一緒に文化祭やるの。



 ……………………



 ……あれ? いやいや、それはべつに関係ないし。だからどうってこともないんだから。それに……


 さくらは生徒会があるんだから、一緒に回ったりはできないだろうし。




 それから、さくらはまた生徒会の仕事に戻って、私たちは作業に戻って、途中に休憩をはさんで……そうこうしているうちに、外はすっかり暗くなっていた。


 時計を見ると、もう午後の八時を回っている。普段なら、とっくに完全下校時刻を過ぎて、みんな寮に帰っているころだ。


 それなのに学校が賑わってるっていうのは、ちょっと不思議な感じ。御郭良さんじゃないけど、〝非日常体験〟っていう感じがする。


 学校に残っている人たちは、みんなどこか楽しそうで、正直言って、私もいつもと比べてちょっとだけテンションが上がってる……と思う。でも……



(また、やっちゃったなあ……)



 思わずため息が出てしまう。


 衣装づくりもひと段落して、教室はすっかりお泊りムードだ。


 今日みたいに、ちょっと不思議な空気というか、いつもと違う空気は嫌いじゃない。でも……



 その空気に乗るというか、入っていくのは、ちょっと苦手だ。


 だから、私は逃げてしまった。あのときみたいに。



 十月も後半の夜は、ちょっと肌寒い。いまみたいに屋上にいると、よりそう感じる。時折吹く風も、ちょっと冷たい。といって、教室に戻る気にはなれなかった。


 あの空気はちょっと、私には、なんかなあ。葵ちゃんや御郭良さんがいても、ちょっと居づらい感じ。せめてさくらがいれば……って、いやいや!


 だからどうしてさくらが出てくるんだ。そんなの、べつに……



「っ!?」



 そのとき、急に強い風が吹いた。まるで、私の変な考えを吹き飛ばすみたいにして。


 反射的に髪とスカートの裾を抑える。思わず悲鳴まで上げちゃった気がするけど、大丈夫だよね? べつにだれも……



「…………」



 見てないし、と思ってたら、見られてた。


「さっ、さくら……」


 よりにもよって、一番見られたくなかったやつに。


 いつの間にか、屋上の入り口にさくらが立っていた。



「ここにいたんだ。もう、探しちゃったよ」


 言いながら、さくらは私の方まで歩いてくる。


「どうしたの? こんなところで」


「……ちょっと気分転換。風にあたりたくなって」


 なぜか視線をそらして答えてしまう。さっきまで妙なことを考えちゃってたからかな。なんか、朝の夢といい、今日はさくらのことばっかり……いやいや、だからこういうところだ。



「そっか。今日は朝から忙しかったもんね。疲れちゃった?」


「べつに……疲れてるのは、さくらの方でしょ。生徒会はいいの?」


「うん。いちおう一段落ついたから」


 そう言ったさくらは、あまり疲れているようには見えない。こういうところ、本当にすごいと思う。私とは大違いだ。



「べつに、疲れてるわけじゃないの」


 私の口は勝手に開いていた。まるで、言い訳をするみたいに。けど……


「ただ、ちょっと、その……」


 勝手に開いたくせに、すぐに回らなくなった。ああ、もうっ。どうしてこんな……


「教室で、みんなと遊びすぎちゃった?」


 もごもごしてるうちに、核心を突かれた。すごく遠回しに、だけど。でも、おかげで私の頭は冷静になる。


 頷きだけで返事をして、それから言う。



「私、さっき一つウソついたの」


「ウソ?」


「中学生のときは、用事があったから学校に泊まらなかったって言ったでしょ? あれ、ウソ。本当は、用事なんてなにもなかったの」


 あのときのことは、いまも覚えてる。


 今日みたいにみんな盛り上がっていて、なんだかとても楽しそうで……



 でも、私はその輪の中に入っていくことができなかった。べつに、仲間外れにされたわけじゃない。私が一人で勝手に怖気づいて、逃げてしまっただけ。


 あの輪に入っていって、一緒に盛り上がっている自分の姿が、私にはどうしても想像できなくて。水を差しちゃうかもしれないから、なんて言い訳をして。


 べつにそれで困ったことはない。文化祭の話をするときに、微妙に疎外感みたいなのがあったような気はしたけど、でもそれだけ、それだけだ。



「じゃあ、どうして今回は残ることにしたの?」


「それは……」


 あれ? そういえば、なんでだろ? あたり前みたいに残っちゃったけど……私、なんで今回は帰ってないの……?


「大した理由はないよ。ただ……みんな頑張ってるし、そんなときに帰るって言ったら、水差しちゃうかもしれないでしょ? だから、それだけ……」


「……そっか」


 相変わらず、私の口から出てくるのは言い訳みたいな言葉だけだ。さくらの返事は短い言葉だけ。呆れられちゃったのかな……



「わたしね、椿ちゃんのそういうところ大好きだよ」



 …………


 ……………………



「はぁっ!?」


 あまりに変なことを言われて、変な声を出してしまう。


 えっ、え? なっ、なに? だ、大好きって、どういう……



「そうやって、自分よりも人のことを考えて行動できるところ」


 ああ。なんだ、そういう意味か。ていうか、前にもあったよねこういうこと。ビックリした……


 大丈夫かな? 動揺したこと、バレてない、よね……?



 気を落ち着かせると同時に、ちょっと罪悪感も出てくるのが分かる。


 だって、私が学園に残ったのは、クラスの人たちのことを考えたんじゃなくて、もっと個人的な……



「ねえ、椿ちゃん。文化祭、楽しめそう?」


「えっ? なに急に」


 まだ始まってもないんだし、そんなこと訊かれても、ちょっと困る。劇が不安ではあるけど……


「いちおう、生徒会長としていろいろ準備してきたから。どうせなら楽しんでほしいの」


 たしかに、このところ、さくらは帰りが遅くなることが多かった。



「……そういうさくらはどうなの? 明日は、やっぱり生徒会の仕事?」


「うん。でも、ずっとってわけじゃないよ。交代で自由時間はとる予定だから」


「そうなんだ……」


 ってことは、一緒に回ったりも、できるってことかな?


 あ、でも生徒会の人と約束してるかも? でも……


 誘うだけなら自由だよね。ダメならダメで、べつにそれはいいし、うん。



「ねっ、ねえ、さくら」


「? なあに?」


 不思議そうな顔のさくら。ど、どうしよう? やっぱりやめようかな。だって、もし断られたら……いや!


 決めたじゃん、もうちょっと素直になるって。訊くだけ、そう、訊くだけ訊いてみよう。



「わっ、私と一緒に、文化祭回らないっ?」


 ほとんど勢いに任せて訊いてみる。と、


「えっ?」


 訊き返された。


 聞こえなかったのかな? 声上ずっちゃった? じゃあ、今度はもっとちゃんと……



「だっ、だから! 一緒に文化祭、回ろうよ……」


「……ゑ?」


「だから、文化祭を……もういい! やっぱりなんでもないっ!」


「あん、待って待って! ちゃんと聞こえてるから!」


「じゃあなんで訊き返すの!」


「ご、ごめんね? まさか、椿ちゃんから誘ってくれるなんて思わなかったから。ちょっとビックリしちゃって」


 それから、さくらは笑ったように見えた。……多分。



「ありがとう。すごくうれしいよ。一緒に回ろう?」


「うん……でも、いいの? 生徒会の人と約束ない?」


「もちろん。べつに約束してたわけじゃないから。わたしを誘ってくれたのは、椿ちゃんが初めてだよ」


「そ、そうなんだ……」


 意外だな。さくらのことだし、生徒会の人からは、当然誘われているものと思ってた。



「えへへ。楽しみだなあ、一緒に楽しもうね、椿ちゃん」

「まあ、うん……」


 楽しそうに笑うさくらだけど、私は顔を上げることもできなくなった。


 ……そっか。私と一緒に文化祭回るの、楽しみなんだ。


 本当は、私も楽しみだよって、そう言いたかったけど……



 まだ、そこまで素直になることはできそうになかった。

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